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非専門医のための不整脈薬物療法(続)

最初は「ざっくり」で良い

 前回、これ以上簡単には言えないほどざっくり、抗不整脈薬について話しました。専門家には怒られるかもしれない。
 でも、そういう「ざっくり」知識ほど、教科書や本からは学べません。批判を恐れず、「ぶっちゃけ」ていきます。

 では、前回登場した薬について、追加の知識を確認しましょう!

Ⅰ群:サンリズム

 腎排泄が100%です。ですが、抗菌薬の初回投与時に腎機能を気にしなくて良いように、一発目の投与の時はなにも気にせず投与してもOKです!
 連日使うような場面では気にした方が良いかも。でも、それは専門医に任せちゃいましょう。目の前に困っている患者さんがいたら、迷わずいきましょう。

 サンリズム1A+生食100mL、10〜15分で!

 でも、多少心抑制があります。①器質的心疾患がありそう、②すでに心不全だ、という様な場面では「ちょっとビビりながら」使うのが正しい姿勢です。そんなときはIII群アンカロンを使うのもありですよ。点滴で添付文書通り使う分には、経口アンカロン内服患者に起きる副作用「甲状腺機能低下・間質性肺炎」は気にしなくて良いです。

Ⅱ群:オノアクト

 ものすごく便利です。「高い」ことを除けば、、、(泣)
 作用時間が極めて短く、効き過ぎたと思ったら、注射をやめれば良いだけ。心機能抑制も比較的穏やかなので、心不全でも割と安心して使えます。

 救急外来で使いにくい最大の理由は、「シリンジポンプが必要になるので、入院が確定する」ことですね、、、
 その点ではワソランに軍配が挙がってしまいます。発作性上室頻拍(PSVT)などを救急外来で停止させて、帰宅させてあげるのには使いにくい、ということです。

Ⅲ群:アンカロン

 抗不整脈薬の代表選手。だけど他科のドクターからは、ハードルの高い薬だと「食わず嫌い」されている気がします(一方、リスクの割に安易に使われすぎているのがワソランですね)。
 点滴で使うと、限りなくⅠ群に近い作用の仕方をします。経口でずっと飲ませない限り「甲状腺機能低下・間質性肺炎」の心配はないので、「心機能に自信がない人の不整脈はとりあえずアンカロン」でも実は悪くない。
 目の前で火事が起きていたら、もちろん消防車は呼ぶ。けど、待ってる間、自分が何もしないでいるのは嫌!」なタイプの人は、「とりあえず先にアンカロンいっちゃいました!」で全然問題ありませんよ!

Ⅳ群:ワソラン

 異様に高い人気を誇るワソラン。
 心機能が良い人の心房細動のレートを抑えるときによく使われる。発作性上室頻拍を止めるのにも便利。その人気の理由はおそらく「ワソラン1A+生食100mLで15分くらいで滴下」するという便利さ(シリンジポンプいらずで、「落としきったら終了」という潔さ!)だと思います。
 でも、アミオダロンよりも怖いところがありますよ!まず1Aを一気に使うということは、効き過ぎたら手遅れになることもあります。血圧低下心機能抑制は思いのほか強いです。透析患者さんの透析中の頻脈に対して使われて心肺停止で搬送されてきたことがあります。怖さも知った上で使ってもらいたいなと感じる薬です。

とりあえず、まずはこれだけで良い

 知識というのは、あればあるほど良いんですけど、膨大な知識を頭に入れるほど僕たちは賢くない(と思う)んです。だからこそ、知識には優先順位をつけて、「まずはこれだけ覚えとけ!」と教えたいと思います。

 自分の得意分野でそういうことを発信していけるよう、マイペースに頑張っていきます!!今後の記事も、是非興味があれば読んでみてください。よろしくお願いします!!


知っといて損はない「注意事項」

 ちなみに、どんな抗不整脈薬にも共通する注意事項があります。
 特に、以下の3つに注意するように心がけてください(あと、あえて書いていませんが、肝腎機能に注意するのはどんな薬も共通ですね)!

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催不整脈作用 

 「2. 催不整脈作用」については以下を抑えればOKです。

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 心房細動に対しサンリズム(Ic群)を使ったら、レートが逆に上がっちゃった(150bpmとか)、、、なんて場合は、心房粗動(Ic Flutterといいます)になってしまっているかもしれません。心電図を記録して、よーくみてください!

困ったら、必殺DC!

 そして、困ったときのDCですね。救急外来で循環器の医師がやっているところに同席できるかもしれません。一緒にやって、自分でもできるように自信をつけてもらえたらいいな、と思います!


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