これだけ!非専門医のための不整脈薬物療法
不整脈初期対応は、誰もが避けられない!
「先生、●●さんのアラームが鳴ってます!タキってます!」
どんなドクターでも、
① 不整脈で困っている患者に出会うこと、
② 自分の患者のモニターで不整脈が出てしまうこと、
はあるでしょう。
病院勤務の若手医師が、そんな場面に直面したとき、
「とりあえず専門医に相談する時間がない、とりあえずなんとかしたい。」
という場面で役立つ内容をお届けしたいと思います。
「抗不整脈薬なんて勉強してないよ!」
抗生剤ならよく使うからまだしも、抗不整脈薬なんて勉強してないよ!
副作用も多いみたいだし「おっかない」。しかも結構「エビデンスがない」って話もよく聞くし、正直ちゃんと勉強しようなんて思わなかった!
そんな方が多いと思います。僕も研修医のときはまったく同じ気持ちでした。
でも、いざ臨床の場にいると、「ケッコー不整脈で困る」んです。
「勉強しようと思ったことはあるけど、教科書難しくない?」
そんな経験をするたびに、「やっぱり最低限は対応できるように勉強しとこうかな、、、とか思うわけです。
でも、「いざ教科書を開くと、あっけなく挫折した」という人も多いでしょう。「教科書、難しすぎない?」と。せっかくのモチベーションが台無しになりますよね。
抗不整脈薬は種類がたくさんあって、さらには「シシリアン・ガンビット分類」なんていう「抗菌薬のスペクトラム表」みたいなのまで出てきて、とにかく抗不整脈薬は難しそうな印象になっているんです。
みなさんの問題ではなく、教科書の問題だと思います。ひとえに「ざっくり分かりやすい教科書的なものがない」ことが問題だと思います。
だから、本記事では、「え、これだけでいいの?」というくらい登場人物(抗不整脈薬)を絞って紹介します!
たった4種類!まずはこれだけ覚えましょう!
① まず覚えるクスリはこれだけ!
Ⅰ群:サンリズム
Ⅱ群:オノアクト
Ⅲ群:アンカロン
Ⅳ群:ワソラン
② Ⅱ群とⅣ群は、「そういえばよく使ってるじゃん」
よく見ればⅡ群とⅣ群は割とよく使う薬ですね。
Ⅱ群はβ遮断薬だし、Ⅳ群はカルシウム拮抗薬(CCB)です。
点滴薬でβ遮断薬はオノアクト(ランジオロール)だけ知っていれば良いし、点滴薬でCCBは、ワソラン(ベラパミル)とヘルベッサー(ジルチアゼム)だけ知っていれば良い。
まずはこれらを使いこなせるようになりましょう!
そうすれば、あとはⅠ群とⅢ群だけ分かれば、ひとまず抗不整脈薬については、「いったんオッケー」ですよ!
③ I群とⅢ群、これが分かればオッケー!
Ⅰ群といえば、ぶっちゃけサンリズム(ピルシカイニド)だけ知っていればOK!(余力のある人は、タンボコール(フレカイニド)も知ってると良いかも)
Ⅲ群といえば、みんな知ってるアンカロン(アミオダロン)。
いろんな本にあれやこれやが書いてるけど、これだけ知っていればまずは大丈夫!
どうですか?「肩の荷が降りた」と思っていただければ嬉しいです!
④ ちょっと各論もみてみましょう!
心房細動には、どれを使っても良いです。
止めたいなら
Ⅰ群:サンリズムか
Ⅲ群:アンカロン(アンカロンは、心臓が悪い人向けです)。
脈を抑えたいなら、
Ⅱ群:オノアクトか
Ⅳ群:ワソラン(か、ヘルベッサー)
心房「粗」動には普通の抗不整脈薬は効かない
と考えて良いので、オノアクトかワソランで脈を落とすしかありません。
発作性上室頻拍には、ワソラン(ヘルベッサーとかオノアクトでも良いけど、わざわざシリンジポンプをつなぐほどでもないです)。
心室頻拍には、アンカロン。(本当はアミサリンが良いという話もあるけど、ここでは覚えることを増やさないために)アンカロン。
迷ったらDC
迷ってる暇がない不吉な印象のとき、怖い不整脈のときは、迷わずDC(電気ショック)です。
ぶっちゃけ、「必殺」電気ショックが出来ることは、これらの不整脈薬での治療よりも大事です。これは本当に大事なことです。
致死的不整脈は、DCです。
血行動態が崩れているときも、DCです。
薬が効かない不整脈も、DCです。
DCの難しさは鎮静の難しさ
DCで大事なことは「患者さんの意識」です。
痛みを伴う処置なので、患者さんを寝かすことが大事です。
DCの難しさは、患者さんを寝かす難しさ、そのものです。
DCについてはまた別の記事で述べますね!
まとめ:抗不整脈薬は非専門医は4つだけ知ってればOK
数少ない登場人物に絞ったことで、なんとなく「不整脈薬のことが分かりそうになった」と思っていただければ幸いです。①サンリズム、②オノアクト、③アンカロン、④ワソラン。これだけ使いこなせれば十分なんです!
あとは「困ったらDC」です。ではこれにて!
ちょっと突っ込んで勉強した人には下記書籍がオススメ!不整脈薬物療法を、「もっともざっくり」書いてくれている参考書だと自信をもって勧めます。わりと最近改訂されました。
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