見出し画像

これだけ!非専門医のための不整脈薬物療法

スクリーンショット 2020-09-14 22.19.02

不整脈初期対応は、誰もが避けられない!


「先生、●●さんのアラームが鳴ってます!タキってます!」


どんなドクターでも、
 ① 不整脈で困っている患者に出会うこと、
 ② 自分の患者のモニターで不整脈が出てしまうこと、
はあるでしょう。

病院勤務の若手医師が、そんな場面に直面したとき、

「とりあえず専門医に相談する時間がない、とりあえずなんとかしたい。」

という場面で役立つ内容をお届けしたいと思います。

「抗不整脈薬なんて勉強してないよ!」

 抗生剤ならよく使うからまだしも、抗不整脈薬なんて勉強してないよ!
 副作用も多いみたいだし「おっかない」。しかも結構「エビデンスがない」って話もよく聞くし、正直ちゃんと勉強しようなんて思わなかった!

 そんな方が多いと思います。僕も研修医のときはまったく同じ気持ちでした。

 でも、いざ臨床の場にいると、「ケッコー不整脈で困る」んです。

「勉強しようと思ったことはあるけど、教科書難しくない?」

 そんな経験をするたびに、「やっぱり最低限は対応できるように勉強しとこうかな、、、とか思うわけです。

 でも、「いざ教科書を開くと、あっけなく挫折した」という人も多いでしょう。「教科書、難しすぎない?」と。せっかくのモチベーションが台無しになりますよね。

 抗不整脈薬は種類がたくさんあって、さらには「シシリアン・ガンビット分類」なんていう「抗菌薬のスペクトラム表」みたいなのまで出てきて、とにかく抗不整脈薬は難しそうな印象になっているんです。

 みなさんの問題ではなく、教科書の問題だと思います。ひとえに「ざっくり分かりやすい教科書的なものがない」ことが問題だと思います。

 だから、本記事では、「え、これだけでいいの?」というくらい登場人物(抗不整脈薬)を絞って紹介します!

 たった4種類!まずはこれだけ覚えましょう!


① まず覚えるクスリはこれだけ!

Ⅰ群:サンリズム
Ⅱ群:オノアクト
Ⅲ群:アンカロン
Ⅳ群:ワソラン

② Ⅱ群とⅣ群は、「そういえばよく使ってるじゃん」

 よく見ればⅡ群とⅣ群は割とよく使う薬ですね。

 Ⅱ群はβ遮断薬だし、Ⅳ群はカルシウム拮抗薬(CCB)です。

 点滴薬でβ遮断薬はオノアクト(ランジオロール)だけ知っていれば良いし、点滴薬でCCBは、ワソラン(ベラパミル)とヘルベッサー(ジルチアゼム)だけ知っていれば良い。

 まずはこれらを使いこなせるようになりましょう!

 そうすれば、あとはⅠ群とⅢ群だけ分かれば、ひとまず抗不整脈薬については、「いったんオッケー」ですよ!

③ I群とⅢ群、これが分かればオッケー!

 Ⅰ群といえば、ぶっちゃけサンリズム(ピルシカイニド)だけ知っていればOK!(余力のある人は、タンボコール(フレカイニド)も知ってると良いかも)
 Ⅲ群といえば、みんな知ってるアンカロン(アミオダロン)

 いろんな本にあれやこれやが書いてるけど、これだけ知っていればまずは大丈夫!

 どうですか?「肩の荷が降りた」と思っていただければ嬉しいです!


④ ちょっと各論もみてみましょう!

画像2

心房細動には、どれを使っても良いです。

止めたいなら
 Ⅰ群:サンリズムか
 Ⅲ群:アンカロン(アンカロンは、心臓が悪い人向けです)。
脈を抑えたいなら、
 Ⅱ群:オノアクトか
 Ⅳ群:ワソラン(か、ヘルベッサー)

心房「粗」動には普通の抗不整脈薬は効かない

 と考えて良いので、オノアクトかワソランで脈を落とすしかありません。

発作性上室頻拍には、ワソラン(ヘルベッサーとかオノアクトでも良いけど、わざわざシリンジポンプをつなぐほどでもないです)。

心室頻拍には、アンカロン。(本当はアミサリンが良いという話もあるけど、ここでは覚えることを増やさないために)アンカロン。

迷ったらDC

 迷ってる暇がない不吉な印象のとき、怖い不整脈のときは、迷わずDC(電気ショック)です。

 ぶっちゃけ、「必殺」電気ショックが出来ることは、これらの不整脈薬での治療よりも大事です。これは本当に大事なことです。

致死的不整脈は、DCです。
血行動態が崩れているときも、DCです。
薬が効かない不整脈も、DCです。

DCの難しさは鎮静の難しさ

DCで大事なことは「患者さんの意識」です。
痛みを伴う処置なので、患者さんを寝かすことが大事です。
DCの難しさは、患者さんを寝かす難しさ、そのものです。

DCについてはまた別の記事で述べますね!


まとめ:抗不整脈薬は非専門医は4つだけ知ってればOK

 数少ない登場人物に絞ったことで、なんとなく「不整脈薬のことが分かりそうになった」と思っていただければ幸いです。①サンリズム、②オノアクト、③アンカロン、④ワソラン。これだけ使いこなせれば十分なんです!

 あとは「困ったらDC」です。ではこれにて!


ちょっと突っ込んで勉強した人には下記書籍がオススメ!不整脈薬物療法を、「もっともざっくり」書いてくれている参考書だと自信をもって勧めます。わりと最近改訂されました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?