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「たった3時間の授業」をデザインする

たった3時間、されど3時間をどう有意義に使えるだろう?

今年に入って、医療系の学校での授業を引き受けることが増えました。

とはいっても、いわゆる大学の授業なので、1.5時間の授業が2コマ。つまり合計3時間程度の授業を出張で担当するケースが多いです。

すると、「たった3時間」で、学生さんたちにどんな「価値」を与えられるだろう?ということを考えさせられます。

私は循環器内科医として、臨床現場で働いていますし、得意分野もある、現場のことも教えてあげられる。学生さんたちに質疑応答を通じていろんなことを教えてあげられるだろうな、とは思います。

好みの違う60-100人を満足させられる料理など、ない

しかし、60-100人近い大学生に「いわゆる授業」という形で3時間を共有して、その場にいるみんなに対してこれをやるわけにはいかない。60人もいれば60人それぞれに関心のあることも違うし、前提知識(すでにもっている知識)も違う。60人みんなに「刺さる」面白い話ができればよいのだけれど、それはたぶん現実的ではない。

3時間の使い方、悩ましい。大学の先生たちの苦労はここにあるのだろうな、と思う。もちろん、中学や高校のように、ある程度、すでに決められた学習指導要領があり、そのとおりに授業を展開していくことが決まっていれば、困らない(良くも、悪くも)。ただ、大学生ともなれば、約20年生きてきて、大の大人。小学生や中学生でも個性が豊かなのに、大学生など「まして」だ。

多様な考え方や癖を持つ集団。その中でも、「医療系資格の取得を目指している」という点だけが共通する大学生たち。

彼らに伝えたいことはなんだろう。彼らが3時間で「受けてよかった」と思える授業はどんな授業だろう。と考えます。

すると、やはり「そもそも授業」という形式が無理筋なんじゃないか、という結論に至りそうなのです。

では、与えられた3時間を最大に有意義にするにはどうしたら良いか

大人数を相手に、一人の人間が、みんなのニーズに答え、みんなが受けてよかったと思えるような発信をすることが難しい。しかもそれが3時間、180分となればなおさらです。

わたしの尊敬する教育事業経営者の「マコなり社長(Youtubeで発信されています)は、「人の成長を爆上げ」させる方法は「発言量を最大化」させることだと教えてくれました。そしてその具体的な方法は、2人ペアにすることだとも。

発言量を最大化する、「参加型」の授業

とすれば、私が授業でやるべきことは見えてきました。「みんなの発言量が最大化」するよう、2人ペアのワークを積極的に取り入れ、こちらから適切な「問い」を投げかけ、それに答えてもらいながら、60人以上の大学生みんなが引き込まれていく、みんながイキイキと学びを深めていく「場」を提供できればいいな。

私が「その場」にいる意味はなんだろう。それはファシリテーターとしての役割に違いない。

みんなに適切な「問い」を投げかけ、そして、その「問い」に対するみんなの反応・リアクションをしっかり感じ取ること。
進捗の早いペアには、さらに新たな質問を投げかける。「問い」がしっくりこなくてディスカッションが滞るペアには、別の視点から「違う問い」を投げかける。ヒントになりそうな具体例を提示する。

私は「ファシリテーター」になって「学びの場」をつくるだけで良い

というわけで、「3時間を有意義な学びの場になるよう、ファシリテートするのがベストだろう」というのが現時点での答えです。

現場経験者だからこそ、学生たちが思考しディスカッションする中で生まれた質問に対し、臨場感のある情報を、素早く提示してあげれることが「自分がその場にいる『付加価値』」でもある。ファシリテートするだけなら自分じゃなくても良いはずです。自分という存在が、あえて依頼を受けて、学生たちの前に立っていること。それはこの「付加価値」にこそあるはずです。そしてそれは、「適切な問いかけ」により実現するはずです。

「では、良い『問いかけ』とはどんなものだろう?」

ひとまずのベスト回答が出たところで、次の大きな問いが生まれてしまいました。

「学生たちの学びを最大化する『良い問いかけ』とはどんなものだろう?」

日々、考えさせられます。

独り言のような記事をここまで呼んでくださったみなさま、ありがとうございます。言語化のプロセスにお付き合いいただきありがとうございます。なにか、みなさんにとっても気づきがあれば、嬉しいです。コメント、意見お待ちしております。ではまた。


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