「幻の宴」受賞お祝い会メニュー【前編】
7月の記事で、私が応援している「創作大賞2024」の応募作品をご紹介しました。
作品1:dekoさん「北風のリュート」
作品2:ひよこ初心者さん「白山の蛇」
作品3:福島太郎さん「妖精綺譚」
こちらの3名の方々と、コメント欄で創作大賞2024の受賞者の「お祝い会」をしたいですね!という話で盛り上がりました。
残念ながら、9月に発表された中間発表に、3名の方々のお名前はありませんでした。
それでも、10月下旬に開催されるという受賞式の日程に合わせて、もし「お祝い会」を開くことになっていたとしたら…。
ということを勝手ながら妄想させてもらい、この記事を書いています。
応援していた作品にあわせて、こんなワインやメニューはどうだろうかとつらつら考えた、幻のお祝い会です。
dekoさん、ひよこ初心者さん、福島太郎さん、勝手に妄想してしまい大変恐縮ですが、ご笑覧いただけるとありがたいです!!!
ウエルカムドリンク
まず、3名の方々にお集まりいただいた際のウェルカムドリンクは「たこシャン」でどうだろう。
スパークリングワインはお祝い感があるし、まずはシュワシュワと発泡する飲み物で口を潤してもらおう。
たこシャンは、大阪府のワイナリーで「たこ焼き」に合うように作られ、瓶内で2次発酵された本格的なスパークリングワイン。
受賞式が開催されるであろう四ツ谷、そこから一番遠く関西からいらっしゃるdekoさんに「遠路お疲れ様です」の気持ちも込めて。
いざ、乾杯〜!!!
ひよこ初心者さん
ウェルカムドリンクを召し上がっている3名(妄想中)のなかから、トップバッターでご紹介するのは、ひよこ初心者さん。
ひよこ初心者さんの作品「白山の蛇」から、お祝い会のワインと料理を妄想してみる。
「白山」といえば、福井県に「白山ワイナリー」がある。
ひよこ初心者さんが想定した舞台は福井県ではないかもしれないが、「白山」つながりでワインを選んでみよう。
白山ワイナリーは、山葡萄から作るワインを地域の特産品にしようと2000年に立ち上げられた。
そこで、ヤマ・ソーヴィニヨンの赤ワインと、作品が「白」のイメージもあることから白ワインもオンラインで購入。
このワインにあわせる料理は何にしようか。
「白山の蛇」は陰陽師の話。
ふと浮かんだ料理が「白和え」。
陰陽師の食事は精進料理ではないかもしれないが、「白山ワイナリー」の近くには平泉寺白山神社が、また永平寺も近隣エリアにあり、豆腐などの精進料理が有名。
福井県の郷土料理などを調べてみると、クルミ入りの白和えが作られている。
山菜を和えるのが一般的なようだが、秋の味覚としてフルーツの白和えはどうだろうか。
では、調理開始。
クルミを炒ってすり鉢に入れる。
クルミを擦ってから、豆腐も加えて、砂糖、みりん、醤油、塩を混ぜ合わせて和え衣が完成。
福井県ではイチジクもつくられているとのことで、イチジクをクルミ入り白和えにする。
和えるとイチジクの赤い色が見えなくなるので、和え衣はのせるだけにした。
プチプチとした食感のフレッシュなイチジクに、ふわりとクルミの香りのする和え衣が優しく寄り添う。
この料理に白山ワイナリーのdandanブランを合わせてみる。
ブドウ品種は、甲州とヤマブランで、ヤマブランは山葡萄とピノ・ノワールを交配した白ブドウとのこと。
リンゴのようなフルーティーな香り、甲州由来であろう吟醸香もあり、酸味は穏やかで、軽く優しいやや甘口のワイン。
アルコールはあまり強くないとおっしゃるひよこ初心者さんでも飲みやすそうだ。
ただ、イチジクの白和えも白ワインも優しすぎて、ひよこ初心者さんの少しパンチのある作品とはやや雰囲気が違うか?
ひよこ初心者さんの「女子高生陰陽師シリーズ」などの作品には、なんともいえない個性を感じる。
「ひよこ」という、優しく柔らかいものだけではなく、苦みや痛みを分かち合いつつ、断罪するような強さもあるように感じる。
黄色いバラの小さな棘のような、爽やかなレモンのキュッとくる酸味や皮の苦味のような、人を傷つけない毒っ気や、酸いも甘いも嚙み分けるような雰囲気がありつつ、自ら「初心者」と名乗る謙虚さやフレッシュさがある「ひよこ初心者」さん。
ということで、もう1品追加。
熟して糖度が増したシャインマスカットの白和えはどうだろう。
緑色のシャインマスカットとは一味違う、円熟味の増した黄緑色のシャインマスカットに、白和えの和風のニュアンスが重なる。
こちらの風味の方が、ひよこ初心者さんの程よく大人な雰囲気が漂う作品と合うかもしれない。
ちなみに、白ブドウは熟すと、黄色く甘くなる。
熟したブドウとワインの組み合わせも、この受賞式シーズンにおすすめ。
dekoさん
さて、2人目にご紹介するのはdekoさん。
dekoさんが、今年の春から夏にかけて、毎朝アップされ続けたのが「北風のリュート」全51話。
創作にかける熱量にストレートに感動した作品である。
このお話のキーワードが「虹」。
主人公の「レイ」のニックネームが「レインボー」であり、最終話でも「虹」がクライマックスに登場する。
「虹」という名の日本ワインを探すと、あった。
北海道滝川市の江部乙にある「えべおつWein(ヴァイン)」の白ワインである。
7種類のブドウ品種から作られたので「虹」と名付けたそう。
黒ブドウは、ピノ・ノワール、ツヴァイゲルトレーべの2品種。
白ブドウは、ピノ・グリ、ミュラートゥルガウ、シャルドネ、ピノ・ブラン、リースリングの5品種。
いずれも、江部乙の環境に合う品種とのこと。
ドイツ系の品種が多いからか、「Regenbogen」=ドイツ語の「虹」の文字も、ラベルに併記されている。
このワインに合わせるのは「レインボーロール」。
このレシピを参考に、色鮮やかな巻き寿司をつくる。
海鮮などの食材を準備。
鯛は昆布締めに、アトランティックサーモンはブライン液に漬けておく。
お米を炊いて、酢飯に。
薄焼き玉子をつくり、キュウリを薄切りにし、アボカドを切ってスダチの果汁をかけておく。
巻きすにラップをしいて、海苔をのせて巻き寿司作りを開始。
まず、サーモンとアボカドのカリフォルニア巻きを作る。
またラップをしいて、赤身のマグロ、薄焼き玉子、昆布締め鯛、海老、キュウリを交互に並べる。
そこにラップを外したカリフォルニアロールをのせて巻く。
巻き寿司を切ってお皿にのせ、とびっこもトッピングして、レインボーロールの完成!
真ん中は、余ったサーモンとアボカドなどを切って和えたタルタル。
そのまわりに、「環水平アーク」をイメージして円形にレインボーロールを盛り付けた。
お味は、地元の魚屋さんで仕入れたネタが良かったのと、この色鮮やかさが相まって格別であった(=自画自賛)。
そして、この巻き寿司に7色ならぬ7品種がブレンドされたワインを合わせてみる。
色調はキレイな明るいイエロー、少し早めに開けておいたワインの香りは開いており、花畑の香り、桃や杏のようや果実の香り、ややスパイスやハーブの香りも、酸味強め、優しい果実味、ボディは軽め。
軽いボディながら芯の強さや飲み応えがあり、海老や赤身マグロに負けず、バランスがとれていて想像以上にいい。
自己主張が強くなくても最後にできることを成し遂げた、レイ達のような「虹」のワイン。
ちなみに醸造者は、何度か紹介しているココ・ファームの元醸造責任者のブルースさん。
さすが、7品種のブドウがよくまとまっている。
📖 📖 📖
長くなったので、3人目の福島太郎さんのご紹介は後編にさせていただきます。
今回もお読みいただきありがとうございます🍷