いわゆるナチュラルワインについて: ビオ、自然派、テロワールまとめ4稿
こんばんは、じんわりです。
ここ数年、所謂「ナチュラルワイン」などと呼ばれるワインが国内外で注目され、一種のカテゴリとして確立されたように感じています。本稿は、所謂「自然派ワイン」「ビオワイン」「オーガニックワイン」と呼ばれる類のワインを便宜的に「ナチュラルワイン」として括って、このテーマと親和性があると考えられる「テロワール」および、プロの間でワインの品質的欠陥とされる要素についての投稿と合わせてまとめています。
「自然派」「ビオ」「オーガニック」「テロワール」といった言葉は全て、一見定まった定義がありそうに思えますが、実は単一の絶対的定義が見つからない厄介な言葉であると私は認識しています。何が厄介かと言いますと、これらの言葉が一部では独り歩きしている感が否めず、結果的に意図せずして消費者さんを欺いていることがあるように感じているのですね。
(2020年3月26日追記:”Vin méthode-nature”なるカテゴリが法的に認められたとのニュースを確認しました。当該カテゴリ法制化を主導した団体のfacebookアカウントです→https://www.facebook.com/SyndicatVinNature/)
以下の投稿内容はワイン常習者の方にとっては最早ご経験済みのお話でしょう。所謂「ナチュラルワイン」を手に取られるとき、注文されるときはハズす(=ワインにがっかりさせられる)確率がやや高くなることを織り込んだ上で購入する、もしくは、この銘柄はハズさないことを知っている、ということでしょう。
ビギナーの方であってもご自身の味覚を強く信じることが出来る方にとっては、「自然」を想起させる枕言葉があってもなくても最終的に美味しいかどうかでご評価されることでしょう。ワインの味香りを感じる際、事前に与えられた言葉のバイアスに引き摺られない、ということですね。
とは言え、大部分のビギナーの方やライトなワインファンの方は、所謂「ナチュラルワイン」カテゴリ特有の不文律や経験則にお馴染みでないでしょうから、味わったときにご自身の期待との乖離を万一感じたとしても、
「売り手側の能書きにこう書いているのだから」
「プロがお勧めしてくれるのだから」
「それ相応の値段なのだから」
「自分が知らない・わからないだけで、きっとこれがワインの美味しさなのだろう。これがスタンダードなのだろう。」
と、半ば自己暗示的に納得してしまうということもなくはない話でしょうか。
ワインへの満足やおいしいかどうかという価値観は皆様固有の唯一無二なものであり、他人である私がそれを侵すことはできないと信じています。反面、万人に共通な「おいしい/おいしくない」の範囲はあるものだとも信じています。現代の加工食品であるワインとて、その万人共通の味覚基準を下回ってくるものが売り物として出回ってしまうこともあるのですね。特に所謂「ナチュラルワイン」として括られるワインは造りの思想・行動上、そのリスクが相対的に高くならざるを得ないのですね。(詳しくは本稿下部の投稿リンクをご参照ください。)
どんな味・値段であれ飲み手が「満足だ」と言うならそれでいいじゃない?というお話はごもっともですね。ワインのみならず世の中には知らないままであった方が幸せなことも多々あるように思います。
また「『サステナブル』なあり方を支持する」ために優先的に「ナチュラルワイン」選ぶという信条もあるでしょうか。エコバッグを活用しスーパーでビニール袋をもらわないという行動と根本の考え方では同じように思います。そのような考え方も素晴らしいと思います。
「この価値観が絶対です」というつもりは全くなく、「経験を重ねることで好きになっていく若干クセのある味香り」と「オフフレーバー(=不快な味香り)」は別物として考える、その方がワイン選びはもっと楽しくおいしくなる、ということを私の経験からただお伝えしたかったのですね。
私は所謂「ナチュラルワイン」が嫌いなわけでも、全てががっかりワインだとお伝えしたいわいけでもないのですね。「ナチュラル」「自然派」「ビオディナミ」とされるワインたちの中で私自身美味しいと感じられるものにたくさん出会ってきました。反面、「やっちまったな(白目)」という経験も少なからずしています。
所謂「ナチュラルワイン」であってもなくても、「ワインというものは(頻度は少ないながら)ある程度の確率でハズレを引いてしまうもの」というふうな割り切った考え方でワインと付き合って頂くのもひとつの方法でしょうか。できることなら、読者の皆様が「飲んでよかった!おいしかった~。」と心から思えるワインに少しでも高い確率で出会って頂きたいなと思うのですね。弊ブログがそのお役に立つのならばこの上ない幸せです。
以下、関連4稿です。
今夜も新しいワインとともに新しい発見を。
さんて!
じんわり