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シャブリで最も良心的な造り手のひとりが生み出すブルゴーニュ・ルージュ【ドメーヌ アムラン ブルゴーニュ ピノノワール 2022】89点

真にすばらしいワインとはなんだろうか。味はもちろんだが、それよりも大事なのは「手に入る」ことだと思う。天文学的な価格になってしまったワインは言うに及ばず、人気と生産量が見合っておらずコレクターアイテムと化してしまったワインにどれほどの価値があるのか。そうしたワインを追い求める趣味を否定はしないし、僕自身もチャンスがあれば買うこともあるが、ワインが好きなほとんどの人にとって重要なのは「適正価格でちゃんと手に入る」ことなのは間違いない。

それでいえば、近年のブルゴーニュはどれも適正価格とは言い難い。ワインショップは「価格は上がったが、ワインのレベルも上がっている」などとのたまうが、そんなことはわかった上でやはりブルゴーニュは高すぎる。最近ではブルゴーニュ・ルージュで1万円近くすることも珍しくなくなった。たしかに技術レベルは上がり、ブルゴーニュ・ルージュでハズレを引くことも少なくなったが、そもそも5,000円も出してハズれる可能性があること自体がおかしいだろう。

ドメーヌ アムラン ブルゴーニュ ピノノワール 2022

そんなブルゴーニュにあって、最も良心的な造り手の一人がドメーヌ・アムランだ。シャブリの生産者だが、コート・シャロネーズで造るブルゴーニュ・ルージュも相当レベルが高い。しかも今なお3,000円を切る価格で購入できるのだから、見逃す手はない。

実際に飲んでみると、非常に完成度が高い。特徴的なのはやや強い果実味。そこにふわりと花の香りが重なる。2022年という良年を表現するかのように、タンニンも意外にしっかりしている。いわゆる「薄旨」と呼ばれるカテゴリに入るだろうか。とはいえ、しっかりとした凝縮感もあるので侮れない。ブラインドで飲み、昨今の価格事情を考えて5000円と予想。思った以上にお買い得で驚いた。

ちなみにドメーヌ・アムランは白ワインのシャブリも非常に高レベル。すっきりというよりは豊満な果実味を楽しむタイプだ。赤でも白でも一貫性があり、信頼できる造り手である。


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