ワインライター

ワインを専門とするライターです。ワインにまつわるエピソードや主観による評価など。気になる古酒の飲み頃なども実体験をもとに検証します。

ワインライター

ワインを専門とするライターです。ワインにまつわるエピソードや主観による評価など。気になる古酒の飲み頃なども実体験をもとに検証します。

マガジン

最近の記事

インパクト抜群の果実味と樽香。家飲みではなくパーティーで飲みたい1本【ザ・プリズナー レッド・ブレンド2019】88点

忘れられないワインというものがあるとすれば、筆者にとってそのうちの1つがこのプリズナーだ。まだワインのことをよく知る前、ふとした機会に購入したことがあった。濃厚な果実味と甘さすら感じるほどの強烈な樽香はインパクト抜群で、印象に残ったことを覚えている。 いわゆる評論家受けするタイプのワインではない。数年ぶりにプリズナーを飲んであらためてそう思った。香りも味わいも当時感じたままの濃密さで、エレガント志向が強まる最近のワイントレンドなどどこ吹く風の甘い樽香にはもはや潔ささえ感じる

    • 見かけたら買っておきたい入手困難ワイン、その味わいは?【ドメーヌ・オヤマダ祝スパークリング2021】85点

      日本ワインは年々レベルアップしている。ワインとしてのレベルが上がっていることもそうだが、それ以上に各産地、生産者の個性が反映されるようになり、何がやりたいのかがはっきりするようになった。 数十年前は海外のワインを目指してヴィニフェラを植え、抽出を強めて樽香をしっかりとつけたワインが多かったが、今は肩の力が抜けた流麗なワインが増えた。かつてのような海外に憧れたワインが悪いわけではないが、そもそも日本の気候は強い酒質のワインを作るのに向いていない。相当なコストとリソースをかけな

      • パリスの審判リベンジマッチ3位の作り手がつくるシャルドネはさすがの品質【レイミー シャルドネ ロシアンリバーヴァレー2021】91点

        シャルドネに求めるものはなんだろうか。人によって違いはあれど、多くの場合シャルドネに期待するのは、白ワインとしてのバランスの良さやボリューム感、そして樽香だろう。 シャルドネはあらゆる白ワイン用品種の中でも特に万人受けするバランスの良さを持っており、果実味、酸味、苦みなどが高いレベルで共存している。味わいや香りを多角形のチャートで表現したならば、すべての要素が大きく、それでいて円に近いのがシャルドネだ。それでいてシャルドネは多くの産地で栽培されており、各地の気候の影響もそれ

        • リッチでエレガントな高級“カリ・カベ”を飲むなら、パソ・ロブレスという選択肢は大いにあり【ホープ・ファミリー ”オースティン・ホープ”2021】94点

          世界でもっともメジャーな品種ともいえるカベルネ・ソーヴィニヨンには大きく2つのタイプがある。 1つはボルドースタイル。多くがメルローやカベルネ・フランとのブレンドであり、バランスのとれた端正なつくりが特徴だ。 もう1つはカリフォルニアの濃厚スタイル。カルトワインに代表されるパワフルで豊満でゴージャスな香りと味わいが特徴だ。むろんカリフォルニアにもボルドースタイルの端正はワインはある。たとえばオーパス・ワンがその代表格だろう。 では、カリフォルニアスタイルのカベルネ・ソー

        • インパクト抜群の果実味と樽香。家飲みではなくパーティーで飲みたい1本【ザ・プリズナー レッド・ブレンド2019】88点

        • 見かけたら買っておきたい入手困難ワイン、その味わいは?【ドメーヌ・オヤマダ祝スパークリング2021】85点

        • パリスの審判リベンジマッチ3位の作り手がつくるシャルドネはさすがの品質【レイミー シャルドネ ロシアンリバーヴァレー2021】91点

        • リッチでエレガントな高級“カリ・カベ”を飲むなら、パソ・ロブレスという選択肢は大いにあり【ホープ・ファミリー ”オースティン・ホープ”2021】94点

        マガジン

        • 85〜89点
          3本
        • 90〜94点
          3本

        記事

          驚異的なコストパフォーマンス、さすがのジャン・クロード・マス【ドメーヌ・アストラック d.A.シャルドネ 2022】87点

          かつて安ワインというと、「安い代わりに品質はそれなり」なのが当然だった。学生の頃に飲んだコンビニワイン、居酒屋の飲み放題ワインなどは、今思うと品質はやはり低かったと思う。当時、ワインは100%ジュースで割った“なんちゃってサングリア”の材料としか見ていなかった。 隔世の感がある。 今やコンビニワインの品質も上がり、安ワインであっても高級ワインと遜色ない品質のものがほとんどだ。細かい部分を見ればさすがに差はあるが、それをどこまで気にするか、という話である。高級ワインのレベル

          驚異的なコストパフォーマンス、さすがのジャン・クロード・マス【ドメーヌ・アストラック d.A.シャルドネ 2022】87点

          シャンパーニュと同等以上の品質で狙い目、オーストリアのロゼ・スパークリング【ブリュンデルマイヤー ブリュット・ロゼ NV】92点

          ロゼ・スパークリングには他のワインにはない魅力がある。まずはなんといってもその美しいサーモンピンクカラー。日本でロゼといえば桜の季節のイメージであり、ロゼワインはまさに日本人として感性がくすぐられる色合いなのだ。 そして、スパークリングであることも魅力である。特に瓶内二次発酵で作られた高品質なスパークリングワインは、適切なグラスに注ぐことで美しい泡を生む。時に鎖のように、時により合わせた糸のように、グラスの脚部分から液面へ向かって途切れることなく上り続けていく。 夕焼けの

          シャンパーニュと同等以上の品質で狙い目、オーストリアのロゼ・スパークリング【ブリュンデルマイヤー ブリュット・ロゼ NV】92点

          高騰続くブルゴーニュ白の代わりにボルドー白はいかが?【シャトー・タルボ・カイユ・ブラン2020】91点

          世界的に人気の高級白ワインといえば、まず筆頭に挙げられるのはブルゴーニュだろう。モンラッシェをはじめ、グラン・クリュは高騰の一途をたどっており、超一流生産者のキュヴェはもちろん、昔なら1万円で購入できたような生産者のグラン・クリュも数万円以上に高騰している。廉価な広域ワインですら、5,000円程度は支払わなければならない。これではとても晩酌には使えない。ブルゴーニュはそのすべてが高級ゾーンに入ったと思っていいだろう。 では、ブルゴーニュの白ワインのような高級感を味わえて、な

          高騰続くブルゴーニュ白の代わりにボルドー白はいかが?【シャトー・タルボ・カイユ・ブラン2020】91点