詩 時とその少女
正午、気付けば 君の髪が
薄風に揺れている
ふとその遠い瞳をみたら
なんだかとても苦しかった
日々の端に今日がある
移ろう色彩に目を向けることを
幼さから止めにしてしまった
いつかの僕は
彼女の希鬱に気づけたろうか
世界に憂いを抱くその心象は
きっと不透明で
けれどもあなたは美しいと
だれかが云ってくれたらよかったのに
世界は その淵を見る者に
なぜか厳薄で
ただ、その末
僕等は 汀で出逢ったのだ
それでも
借りた息で風を描く僕は
風の彷徨で生まれた君の
その哀しみを解せない
君は僕の隣で
ずっと独りだった
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木曜の朝、彼女は
そっと眠りにつく
遠くへゆく時へと
その身を寄せて
僕のそばで
僕の時間を攫って。