普及するとなくなるもの
最近、カメラの月刊誌が休刊になってます。
1978年創刊の「カメラマン」が2020年5月号で、そして、1926年創刊のアサヒカメラが2020年7月号で休刊になりました。
オリンパスはカメラ事業の譲渡を発表しました。
デジカメの出荷台数は減り続けてます。
↓はCIPA一般社団法人カメラ映像機器工業会が発表しているデジカメの統計です。
スマホの出荷台数は、COVID-19の影響で、11.9%減ですが、デジカメはそれ以上の落ち込みです。
ご存じのように、デジカメの落ち込みは、スマホの普及によるものです。
最近のスマホは、写真や動画の品質向上をうたっており、昔は1つしかレンズがついてませんでしたが、上位機種を中心に、2つ、3つのレンズが着いたスマホが主流になってきました。
その増えたレンズは広角用だったり、望遠用だったりして、2つ以上の映像を組合すことにより、ボケなどをデジタル処理できるようになりました。
つまり、レンズ交換式のカメラと同じような写真か、それ以上の写真が手軽に撮れるようになりました。押せば撮れる。アプリで盛ることができる。
デジカメは好きなアプリをインストールできませんので、完全にスマホの勝ちです。
デジカメは時代の流れに乗れなかったのです。
Hasselblad 500C/M planar 80mm f2.8 FUJIFILM PRO160NS
さて、昔カメラはとても高価なものでした。
ライカやハッセルブラッドなどは、家が建つと言われたほど高価でした。今も車が買えそうな価格です。
そして、昔のカメラは、写真を撮るために知識と技術が必要でした。
カメラは特別なものでした。写真を撮る道具であるカメラそのものが趣味性が高かったのです。
今のスマホは、誰でも簡単に失敗なく撮れるようになり、写真を撮る道具であっても趣味性はなくなりました。
デジカメが売れなくなる = カメラを趣味にする人が少なくなる
カメラ雑誌は、カメラや写真が趣味の人が購入してますので、このような状況では、売り上げが減少するのは当然の事です。
話がそれますが、昔はコンピュータ雑誌は山のように発刊されてました。パソコンが職場で普及し、一般家庭に道具として普及しだすと、あっという間にコンピュータ雑誌は休刊に追い込まれました。
趣味性がなくなってしまったのです。
今でも専門書は出てますが、雑誌は趣味性がなくなると存続できないのです。
Hasselblad 500C/M planar 80mm f2.8 FUJIFILM PRO160NS
そして、カメラ雑誌が休刊に追い込まれる最大の原因と思うのが、デジカメと同様に時代の流れに乗れなかったことだと思ってます。
毎月のコンテストを見ても、スマホで投稿された写真はほとんど選出されてません。
スマホ投稿のみのコンテストを見ると素晴らしい写真が沢山あります。
つまり、写真を本業とする審査員が、「それなりのカメラで撮影された写真しか選ばない」ということをしていなかったか疑問があります。
いっぽう、スマホで撮影する人は、雑誌のコンテストの入賞の価値より、「いいね」の価値のほうが高いと考えていることです。
カメラ雑誌は、スマホ写真家の取り込みを積極的に行わない限り、生き残れない状況と思います。
私は、デジカメも銀塩(フイルム)でも撮影して、カメラ雑誌のコンテストにも投稿しますが、投稿しているカメラ雑誌すら購入することは殆どありません。(スミマセン)
これが意味することは、ネットですでに情報収集済みで、数週間から1か月遅れで発売される雑誌にお金を払う価値がないからです。(辛口ですw)
雑誌の強みを生かしたコンテンツを考えてほしいと思います。
(日本カメラ7月号は購入しました。森山大道氏のインタビュー記事が読みたくて。)
Hasselblad 500C/M planar 80mm f2.8 FUJIFILM Velvia100
すべてが散々な状態かというとそうではありません。
数年前から、銀塩(フイルム)のムック本が発刊されてます。
SNSで「人とちょっと違った写真を」がきっかけでフイルムの発色に感化された人が、昔の銀塩カメラや写ルンですで撮影しているようです。
(街でカメラをもっている若い人は銀塩カメラが多い)
もっとも、銀塩カメラではなく、銀塩の写り具合が注目されているので、出版社は勘違いしないで欲しいです。
そしてSONYは、スマホの映像センサを供給することで、傾いた経営を立て直しました。(スマホ1台売れると、映像センサが2~3個売れるなんてイイ商売ですね)
そう、SONYはミラーレスがコケても生き残れるのです。