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畳職人・鏡芳昭の「伝統文化論」 〜各界発想源〜

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伝統文化はなぜ消えてゆくのか? なぜ残さなくてはならないのか? フローリングが一般的になり畳文化が縮小していく日本で、今一度、畳業者とい草生産者を結びつけて畳文化の復権に尽力する…
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記事一覧

(1)畳は贅沢な「農産物」 /畳職人・鏡芳昭の「伝統文化論」

(1)畳は贅沢な「農産物」 /畳職人・鏡芳昭の「伝統文化論」

日本の「伝統文化」が廃れてく…、「伝統文化」が消えていく…。そのようなネガティブ記事は山のように目にします。しかし、その理由は果たして、時代の流れだけが原因なのでしょうか? 時代に合わせることだけが解決策なのでしょうか?

伝統文化は今後、どう残していくべきなのか。伝統文化を軽視しがちな現代人はどんなことに目を向けるべきなのか。伝統文化に携わっている職人やその原料の生産者たちはどういう意識を持つべ

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(2)畳業界の今は危機的状況 /畳職人・鏡芳昭の「伝統文化論」

(2)畳業界の今は危機的状況 /畳職人・鏡芳昭の「伝統文化論」

日本の伝統文化である「畳」の業界の衰退の理由は、「日本人が和風より洋風の家に住むようになったから」ではなかった……!

1,300年以上続いた畳の文化が、ここ30年で衰退し始めているのはなぜか。色のついたカラフルな畳、水洗いができて色落ちもしないビニールの畳…。そんな一件面白いアイデアの畳が出てきても、ちょっと目を引く程度の影響しか与えられない奇策に過ぎません。畳業界を、畳文化を、再び復権させるた

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(3)畳業界の衰退の理由は「畳離れ」ではない /畳職人・鏡芳昭の「伝統文化論」

(3)畳業界の衰退の理由は「畳離れ」ではない /畳職人・鏡芳昭の「伝統文化論」

日本の貴重な伝統文化を担っている畳の業界は、なぜ衰退していっているのか。多くの日本人が「畳の部屋は好き」「畳は気持ちいい」と口々に言うのに、畳業界の人間が自分から「日本人に畳離れが起きている」「日本人の生活スタイルが変わったからだ」などと平気で言ってしまう。

畳業界の衰退は、日本人の嗜好の変化や生活スタイルの変化ではなくて、畳業界や畳職人自身にあるとしたら? それが分からずに「畳ブームが再び来な

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(4)畳の未来のために、畳屋ができること /畳職人・鏡芳昭の「伝統文化論」

(4)畳の未来のために、畳屋ができること /畳職人・鏡芳昭の「伝統文化論」

あなたは、自社の商品の原材料が生産されている農地や国まで足を運び、その生産者の思いを自分の耳で聞いたことがありますか? 自社の商品がお客様のところでどのように使われているのか、その目で見に行ったことがありますか?

畳の原材料は、い草。そのい草の生産地はほとんどが熊本県。では、日本全国にいる畳職人の中で、実際に熊本県まで行ってい草を見たことがある人、実際に熊本県の農家の方々と話したことがある人は、

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(5)畳職人が考える、伝統文化の継承とは /畳職人・鏡芳昭の「伝統文化論」

(5)畳職人が考える、伝統文化の継承とは /畳職人・鏡芳昭の「伝統文化論」

畳の時代は終わっていない、むしろこれから!

畳業界は衰退していると言うのは、畳をただの商品として扱って住宅ブームの恩恵を受けて踊ってきた業界人だけで、畳はとてつもなく大きな可能性を秘めているのです。

大正時代から続く畳店の4代目社長であり、また全国の畳店のネットワークを作ったり、畳職人とい草生産者との交流の場を多く作ったりと畳文化の復権に日々尽力されている、畳職人の鏡芳昭さんに、現在の畳業界が

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