一般klis生の図書館訪問記
はじめに
これはklis(筑波大学情報学群知識情報・図書館学類) Advent Calendar 2023の12日目の記事です。前日の記事は「私の興味の変遷と研究室配属という名の自分語り」(macornoさん)、翌日の記事は「双子に関する個人的な話」(ヨヨヨさん)です。
こんにちは。klis21のかっちゃんと申します。私は友人たちと比べて優秀でも図書館オタクというわけではないので一般klis生と名乗らせていただきます。
アイコンを変えてから分かりづらいと不評ですが、太鼓の達人のアイコンだった人です。現在は特にサークルなど特定の団体に所属しておらず自己紹介することがありません。
図書館訪問記
私は旅行が趣味であり、今年に入ってから色々と余裕が出てきたので出かけることが増えました。今年その旅先で訪れた図書館を覚えている限りで時系列順に、紹介していこうと思います。
ただし、感想などは知識が無い学生の意見にすぎず、時間の関係などから見落としている点があるであろうことはご了承ください。
また、図書館名を各図書館サイトのリンクにしているので知りたいことがあれば各自で確認してください。君にサーチあれ
National Library Singapore
いきなり国外です。このシンガポール旅行のために昨年末から節約していたのでシンガポールが今年初旅行であり、National Library Singaporeが初の旅行先図書館です。
Lee Kong Chian Reference Library、National Archives of Singapore、Central Public Libraryなども含まれる建物です。
ナショナルライブラリーですが、開架であり閲覧席も多くあったため私が行った時には大学生らしき人達が勉強をしていました。また、比較的小さめなのかな?という印象を抱きました。
書架はシンガポールの4つの公用語ごとに分けられ、広い通路にはシェルフリーディング用の機械が走っています。
情報リテラシー展示が常設で設置されており、フェイクニュース対策展示やミニゲームもあります。(楽しかった)
そしてこれは完全に余談なのですがおそらく最も近い観光地であるアラブストリートからは意外と歩くのでバスに乗った方が良いです。
十日町市情報館
新潟県十日町市にある図書館で、周辺には火焔型土器を収蔵する博物館や市役所などもある好立地です(十日町市の中では)。
東京駅から越後湯沢駅まで1時間、越後湯沢から十日町駅まで1時間とつくばからは約3時間ほどかかります。越後湯沢からの電車は1時間に1本しかないので要注意です。
図書館戦争の映画で武蔵野第一図書館の撮影が行われた図書館であり、図書館戦争公開10年ということで展示が行われていたため訪問しました。基本的には写真は撮れないのですが企画中だったため許可を得て撮影しました。
図書館戦争の映画を観た人ならばわかると思うのですが、段になっている構造が特徴的でブックトラック動かすの大変やろなあとか勝手に思っていました。
かいけつゾロリを所蔵しています。
国際子ども図書館
恥ずかしながら今年になるまで訪れたことがありませんでした。
「東洋一」の夢 帝国図書館展に行きたいと思っていた時期に東京で遊ぶ用事があったので行きました。
「名建築で夕食を」に登場していたこともあり、食堂を利用してみたいという気持ちもありました。
図書館として排架の仕方、サービスなどかなり好きです。
調べものの部屋という名前そのままの部屋があるのですが、分類番号の解説(1類は何が分類されているのかなど)が所々にあるため、資料探しがやりやすく、団体に向けて調べ物体験プログラムも行っているという図書館利用のチュートリアル的施設だと感じました。
また、世界を知る部屋という部屋には複数の言語で同じ絵本が並べられており、外国の親御さんが母国語でお子さんに読み聞かせをしてあげていました。他の図書館には外国語の絵本は少ないし、言語によっては入手が難しいであろうものも並んでいたので読み聞かせの場として良いんだろうなという感じでした。
金沢海みらい図書館
世界で最も美しい図書館やグッドデザイン賞を受賞したシーラカンス設計の図書館です。金沢旅行の際に訪問しました。
石川県立図書館の真反対であり、バスもあまり多くないため交通の便はあまり良くないので気を付けてください。
1階にイベントスペースが設けられています。2,3階が吹き抜けであるため解放感があります。
パンチングウォールを採用し、自然光を取り入れることで雪が積もっても明るいということだったのですが、照明が少ないので若干暗くないか?という印象でした。
かいけつゾロリを所蔵しています。
石川県立図書館
説明不要!すごい!面白い!図書館大好き人間は一回行け!
自分の中で一番好きな図書館です。公共施設として一番面白いのではないかと思っています。
観光スポットとしての役割も大きいためパンフレットは利用者用と見学者用があります。
中心の円形書架を含むグレートホールでは石川県にまつわる資料が展示されている石川コレクションの展示、本との出会いの窓といった展示がなされ、本・図書館に親しむことができます。中心の円形書架は独自分類ですが、それ以外の書架はNDCに基づいており、本・図書館との出会いから利用まで幅広くフォローされている施設だと言えます。
ただし、この円形書架は平面ではなく(スロープとは言え)積層的な構造なので身体が不自由な人などは使いづらくないか?というのが疑問点です。
かなり広いのでレファレンスブックも一般図書と同じ書架に排架(混架)されており、雑誌についても関連する分類の付近に排架されています。
さらに検索機や自動貸出機が至るところにあるという印象で、広いため歩き回らなければいけないということが起らないようにしてありました。
児童コーナーについてですが、こちらはNDC準拠で排架されています。
人生ゲームなどのボードゲームがあり、アスレチックまであります。ホントに図書館か?というレベルの自由さで子供たちが元気に走り回っていました。
児童コーナーがかなりにぎやかなのですが図書館全体としても声が常に聞こえるというにぎやかな印象を抱く図書館です。
そのほかにも閲覧席が非常に多く、その種類も多いくつろげる空間が非常に多い図書館です。検索端末もAIを活用していて多機能で面白いのでぜひ利用してみてください。
かいけつゾロリを所蔵しています。
誰か百万石ビブリオバウムって呼んであげろよ
TOYAMAキラリ
隈研吾設計の複合施設です。この施設に富山市立図書館と富山市ガラス美術館が入っています。
吹き抜けで窓が大きいため明るく開放感のある図書館です。通路も広く空間にゆとりを感じました。
美術館の展示室が図書館内にあるような状態で設置されているため図書館で美術館の作品を一部見ることができます。
ただし、個人的にですが美術館との連携があまり感じられずあまり意味を感じませんでした。
加えて、貸出カウンターなどの案内の可視性が低いと感じました。
かいけつゾロリを所蔵しています。
大和市文化創造拠点シリウス
図書館、生涯学習センター、芸術ホールなどを含む施設です。
館内に市役所の出張窓口や観光協会が置かれています。
地域資料コーナーが広めにとられており、地層などのモノ資料も扱っています。
特徴としては健康コーナーと漫画コーナーです。
健康コーナーにはパンフレットを含む医療情報が提供され、コグニバイクや体組成計も置かれています。健康コーナーが広く、1フロアの半分ほどがあてられています。
続いて漫画コーナーですが、健康コーナーほどではありませんが一般的な図書館と比べてかなり広く、収集している漫画が幅広いことが特徴です。話題の漫画の最新刊から昔読んでたわみたいなものまであります。
そして子ども図書館に元気っ子広場という室内遊技場的な施設があるのですが、私が行った時は雨だったこともあり子どもたちがたくさん遊んでいました。親御さんたちも雨の日に遊ばせる場所があって良さそう。
かいけつゾロリを所蔵しています。
本の森ちゅうおう
中央区立図書館の京橋図書館です。
東京駅から歩いていける(?)ような距離にあるため広い土地ではないのですが、屋上庭園があり芝生でゆっくりすることもできます。
建物自体が小さいため通路が狭かったり、上下の移動が多いのですが仕方ないのかなという部分があります。
地域資料室があり、戦前の資料なども所蔵・展示されているためちょっとした博物館の展示室のようになっています。
かいけつゾロリを所蔵しています。
武雄市図書館
初期のCCC図書館(いわゆるTSUTAYA図書館)であり、選書や地域資料の廃棄でも話題になりました。一応武雄市から郷土資料の廃棄は無かったという説明がなされています。
独自分類(ライフスタイル分類)が用いられており、先の二つほどではないにせよひと悶着あったようです。
完全に僕の思想なのですが、「文句を言うなら詳しく知ってから」というのがあり、とりあえず行ってみました。
第一印象としては綺麗で明るく、スタバもあるから居心地結構良いなでした。ただ明るいということは大きい窓があるということです。多くの図書館では大きい窓を低い位置にし、閲覧席などを設置して書架から離すことで本の日焼けを防ぐわけですが、武雄市図書館はその対策が行われている窓に加えて高い位置に大きめの窓があるため、児童書は日焼けしてタイトルが見えなくなっていました。そして、日焼け対策が行われているのもTSUTAYA書店の売り物の棚です。
以下ひたすらに好きではない理由が続きます。
まず、CCCが指定管理者ということでTSUTAYA書店としての機能もあるのですが、どこまでが書店でどこからが図書館なのか分からないというのも個人的に好きではないポイントです。
次に書架です。書架は4mほどあり、はしごを使わなければ利用できない資料があるため職員の方に頼む必要があります。
そしてそもそもの資料ですが、標準治療ではない医学を勧めるもの、疑似科学その他いわゆるデマ本が科学分野の棚に多く並びます。さらに全体的に資料が古く人文系の本は今それ誰が読むの?みたいなものにあふれています。
最後に併設されている歴史資料館ですが、会期以外は開室していません。なんでだよ。
これ以外にも嫌いな点は多くあるのですがこれだけで終わりそうなのでやめておきます。君の眼で確かめてくれ。
このように自分としては気になることが多い図書館だったのですが、スタバがあり、駐車場も広い綺麗な図書館であるためか利用者は比較的多いという印象でした。
図書館の良し悪しなどを気にするのは一部だけなんだなということを再認識しました。
かいけつゾロリはこども図書館で所蔵しています。
福岡県立図書館
福岡県の箱崎にある図書館です。
博多駅から電車で20分弱で周囲に地下鉄、JRの駅、バス停もある図書館としてはかなりの好立地にあります。
しかしながら好立地故に小さめです。
電子書籍の充実やパスファインダーの充実などサービスの面で結構頑張っているという印象です。
しかし、設備面が弱く、狭い・古い・暗いといわゆる図書館をイメージしてもらうと思いつく図書館です。雨漏り対策で階段の窓に毛布敷いてあるのは流石にヤバいって。
しかしながら悪いところだけでなく、全国的にも珍しいボードゲームの館外貸出を行っており(学校などの団体のみを対象)、何度も言いますがサービス面では良い図書館です。
さらに、ふくおか資料室という郷土資料室を併設しており、郷土資料の収集、保存を積極的に行っています。
そしてこれは図書館に関係のない私怨なのですが、福岡県は現在司書の採用を行っていません。福岡県は司書を採用しろ。北九州市もだぞ。
最後にかいけつゾロリを所蔵していますが、
開架への排架・貸出を行っていません。
福岡市総合図書館
福岡タワーのお膝元にある図書館です。国連寄託図書館として国連資料を所蔵しています。
点字図書館が併設されていたり、大活字本コーナーが広いなど読書バリアフリーを推進しているように感じました。
あと経緯を知らないのですが、レファレンスブックが多く、一般レファレンスカウンターに加えて、国際資料・郷土資料それぞれのレファレンスカウンターがありレファレンスカウンターが合計で7窓口くらいあります。なんでや。
さらに特徴としてCD、DVD、VHSなど映像資料が多くあります。さらに館内にはミニシアターがあり、毎日1回映画を上映しています。さらに、館外ではありますが同じ建物の映像ホールで映画を上映しているというように映像資料に力を入れている図書館です。
雲の上の図書館
隈研吾デザインの高知県梼原町立図書館です。覚悟と免許がないなら行くな。
私は友人の運転で行ったのですが、福岡から車とフェリーを使い、休憩などを抜いても6時間かかりました。遠い。山奥。そもそも梼原町は人口3000人ほどの地域なのですが隈研吾とゆかりが深く、隈研吾建築が複数あります。普通にいいとこだった。
図書館は床の木の質感を味わうために靴を脱いで利用するスタイルで館内にカフェが設けられています。
独自分類を採用しており、ゆすはらウォールという本棚で地域資料に関心を持たせる排架となっています。
教育委員会施設と隣接しており、図書館内には生涯学習課があるためか子育て支援室がえほんコーナー(キッズスペース)にあったり、トイレにSNSダイヤルのカードがあります。リカレント教育のコーナーもあります。
町の図書館ということで、図書館職員と利用者の距離が近いように感じました。私が行った時には小学生がボードゲームをしながら職員の方とポケモンの話をしていました。
資料に請求記号は振られておらず、カメレオンコードのようなもので管理されています。初めて見た。
ボルダリングの壁があるなど特徴的で面白く、地域の人が集まりやすい図書館なのですが、井戸端エリアというYAコーナーやえほんコーナーが階段でしか行けないというのが少し残念に感じました。
かいけつゾロリを所蔵しています。
オーテピア高知図書館
高知県立図書館と高知市立図書館が合併した図書館で、科学館、声と点字の図書館が同じ建物に設置されています。
行った日が図書館の休館日で利用できなかった悲しさ。
茨城県立図書館
水戸駅に近い中心地にある県立図書館です。入ると大きな階段と星乃珈琲が目に入ります。
ボードゲームの展示や講演会といったイベントを高頻度でおこなっており、行政書士の相談会なども行っています。また、館内の複数箇所で展示を行っています。
比較的本を読まない人にも利用しやすいサービスが多いのかなという印象です。また、児童図書室にLLブックや点字図書が置いてあり少し珍しく感じました。
自分の感覚なのですが、県立図書館としては少し小さいように感じました。
かいけつゾロリを所蔵しています。
水戸市立西部図書館
映画「図書館戦争」の武蔵野第一図書館の一部として登場した図書館です。
十日市情報館と同様に図書館訪問というよりもロケ地巡りの色が強かった図書館です。
全体が円形であり、書架も含め円形になっています。
円形の書架の外周部分が展示に使われており、展示や役者さんたちのサインがあります。
2階部分の本棚が高く、若干利用しづらいと感じました。
かいけつゾロリを所蔵しています。
おわりに
7000字を超える駄文を読んでいただきありがとうございます。暇なんですか?
図書館はそれぞれの自治体で工夫がなされ県立・市立で違いもあるためそれぞれの図書館の色があるため旅行先で行ってみると楽しいと思います。
最近は石川県立図書館のように観光スポットとなっている図書館もあるのでぜひ図書館を利用してみてください。
かいけつゾロリについてはある授業で先生が「かいけつゾロリは東京子ども図書館で研修を受けた職員の方がいる図書館では所蔵していないことがある」(要約なので間違っている可能性があります。授業で確認してください。)とおっしゃていたので所蔵を確認しています。
詳細はTwitterで先生が補足してくださることを祈ります。
また、『税金で買った本 67冊目 かいけつゾロリのチョコレートじょう』も参考に読んでみてください。
おまけ(図書館インターンについて)
長いわとか話多すぎだろという批判は甘んじて受け入れますがもうちょっとだけ書かせてください。多少有益なことを書いておきたい。
先日メールでお知らせがあったとおり現klis2、3年生は来年度図書館インターンシップに参加することができます。
図書館インターンシップとあるように全国の県立・市立・大学・私立図書館でインターンシップをさせていただけるのですが、実際には指定管理者を行っている一般企業や、図書館システムなどに関わるIT系、専門図書館を持つ研究所などかなり幅広い所にインターンシップに行くことができます。
そのため、「図書館に興味がない・司書にはならないよ」という人もとにかく1回目の説明会に参加し、どこに行けるのか聞いてみてください。
最後に一番大事なことですが、説明会を一度でも欠席すると参加できなくなるため、周囲の人と声かけをしながら確実に説明会に参加してください。
でわでわ