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ストーブリーグの歓声と認知バイアス

11月、冬の近づく寒空の甲子園でビールを飲む。


甲子園に来るのも数年ぶり、なんてくらいにすっかり阪神ファン成分の薄まってしまった自分だが、チケットが余ったという友人に誘われて、初めてファン感謝祭に行くことになった。

もはやにわかファンということで、やや恐縮する気持ちを抱えつつも、久しぶりの甲子園グルメに、偶然テレビで観て気になっていた相席食堂野球チームとの試合にと、存分に楽しんだ。


さて、そんなファン感謝祭でやたらと歓声を向けられていたのが、大山悠輔選手だ。

今となっては残留することが無事確定した訳だが、ちょうどファン感謝祭のこのときは、巨人へ移籍するんじゃないかとささやかれていた頃だった。

ファン感謝祭の最後、甲子園に響く大山コールは、行かないで〜というファンの叫びのように聞こえた。


さて、阪神ファン成分のすっかり薄くなってしまった自分は、いま1番応援している野球チームも別にあったりする。

日本ハムである。

以前にも書いた通り、日本ハムのチーム編成力みたいなものに魅力を感じて、気づけば阪神よりも日ハムを応援するようになっていた。

チーム編成力に魅力を感じてファンになるように、自分は野球のストーブリーグが大好きだ。なんならいつもペナントレースよりも熱心に情報を追っている。

そんなストーブリーグの真っ只中、日本ハム関連で盛り上がっているのが上沢直之。

ウワサには聞いていたけど、メルカリで92万円でグッズが大量に出品されている、、、

メジャーに挑戦したいという自分の夢を叶えるべく、わずか92万円の譲渡金を日ハムに残して退団。メジャーに挑戦したが、わずか1年で日本球界に復帰。日ハムに帰って来るのかと思いきや、ライバル球団のソフトバンクに移籍しそう、、、ということで大盛り上がりだ。

外からみれば、何とも色々と悲しい話ではあるが、出戻りの人間にそこまで大枚をはたけない日ハムと、欲しいからお金を出すソフトバンクと、単純にお金の高い方と契約する選手と、、、という感じで考えてみれば、まぁ、自然な流れなのかな、なんて風にも見えてくる。


日ハムの出るもの拒まずの精神は凄い。それこそが自分が日ハムの編成力に魅力を感じている大きな要因だ。

そもそも普通のチームなら、わずか92万円の譲渡金で、そんな1年で帰って来て他球団に行ってしまうような中心選手を放出しないだろう。

しかしそこで、全力で慰留に努めて無駄なリソースを割くくらいなら、空いたポジションを埋める面白い選手の育成にリソースを充てる。といった感じの合理的な選択をしているように思える日ハムが、自分は大好きなのだ。

そんなチームだからこそ、主力選手が抜けていっても、次から次に面白い選手が出てくるに違いない。


阪神のファン感謝祭で聞いた大山選手への大きな歓声が物語るように、人間には利益による喜びより、損失による悲しみのほうを大きく感じてしまう、損失回避バイアスなんて思考が備わっているらしい。

そんな認知バイアスに引きづられることなく、合理的な選択を取れる日ハム球団のような思考に自分もなりたいもんだな、なんてことを思ったりする。

温かい声援が飛び交う仲間に優しい虎か、合理的な選択を続ける戦士か、資金力にモノいわせヘッドハンティングに余念がない鷹か、どのチームが1番理想のチームなのかはわからないが、自分としては認知バイアスに負けず合理的な選択を続けるチームにこそ、成功が訪れて欲しいと思うのでした。

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