#5 - Out of Bounds:Japanese Women Artists in Fluxus (Japan Society)
小野洋子(オノ・ヨーコ)、久保田重子、斉藤陽子(たかこ)、塩見 允枝子(みえこ)など、60年代のニューヨークでフルクサス(Fluxus)のメンバーとして活躍した日本人女性アーティストに焦点を当てた展示が、ジャパン・ソサエティで行われている。
以前から、小野洋子の作品を見てみたいと思っていた私は、興味が湧いた。(ほとんど彼女の作品はネットでしか見たことがなかった)フルクサスというアート・ムーブメントについてもほとんど知らなかったので、勉強として観に行った。
当日は、なんと展示会場でライブパフォーマンスが行われている日だったので、人が多かった。
まずは、小野洋子の白いチェスが入り口で出迎えてくれた。
実寸サイズのチェスセット、全部白い。
壁にはこんなメッセージが。
全部白い駒だと、自分の駒なのか敵のなのかもわからなくなる。同じ人間同士、白黒つけて争っているのが馬鹿らしいと思わせる作品。
調べてみると、ツイッターでもこんなメッセージを発信していらした。
展示には他にも、久保田重子と斉藤陽子のチェスをベースにした作品があった。彼女たちのメンターであったジョン・ケイジとマルセル・デュシャンが大のチェスプレイヤーだったことが影響しているとも言われているようだ。
展示室に入るとこんな感じ。映像や資料でフルクサスの活動の様子を伝えていた。
フルクサスノ創始者であるジョージ・マクイナスが制作した?小野洋子のリサイタルのポスター。
下は、小野洋子の有名な《カット・ピース》(1964)で実際に着用されていた服の一部とそれについての当時の雑誌の紙面。
会場では、Keiko Uenishi氏によるサウンド・パフォーマンスがライヴで行われていた。これは、塩見 允枝子の< boundary music > (1963)というパフォーマンスをギャラリー内で再現したもの。音をひろうデバイスを持って、いろんなモノに近づき、モノや周りにいる人によって反響する音が変わっていくインタラクティブなパフォーマンスだった。音自体はなんだかASMRのようで私には心地よく感じた。
boundary music について塩見 允枝子は以下のように指定している。
< boundary music >
Make your sound faintest possible to a boundary condition whether the sound is given birth to as a sound or not. At the performance, instruments, human bodies, electronic apparatuses and all the other things may be used.
—C. Shiomi 1963
(音が音として生まれるか生まれないかの境界の状態になるように、可能な限り微かな音をつくる)
というのが、この作品の軸なようだ。
他にも、オノ・ヨーコの有名な《カット・ピース》で実際に彼女が着ていた服の一端と、それについて書いた雑誌の紙面なども展示されていた。他にもたくさんの作品と資料が展示されていたが、テキストを読む量が多く、ちょっとヘビーな展示だった。パフォーマンスにも圧倒されてしまい、他のアーティストの作品を深く鑑賞することができなかったので、もう一度見に行きたい展示である。今回は前情報をほとんど入れずに見に行ったので、コンテキストを理解するのに時間がかかった。
サウンドアートやパフォーマンスに最近興味があるので、もっと勉強したいと思った。会場にはこの本が売られていた。
INTO PERFORMANCE: JAPANESE WOMEN ARTISTS IN NEW YORK
持って帰るのは重いので、オンラインで注文しようと思った。これを読んでもっとフルクサスについて知りたい。NYを舞台として活躍してきた日本人女性という側面から、自分の立ち位置を理解するためにも知識として持っておく必要がある。(この本はジャパン・ソサエティのウェブサイトから購入可能)表紙は草間彌生なので、どうやらフルクサスだけではなくハプニングやその他の女性によるパフォーミングアートの軌跡を学べそうだ。
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ニューヨークで学びアーティストとして活動するための資金とさせて頂きます。