ベジタリアンが目指す世界の多様性
四月から引っ越しをし、小規模ながらべランディングを始めました。
今うちには大根、アボカド、バジルがあり、日々の小さな成長に気付くのが毎日の楽しみです。
元々、地球にやさしい生活や自然の恵みを享受した暮らしに関心があり、できることから少しづつ「つくる」ことに取り組むようにしています。
そんな中、先日Netflixでokjaという映画を観て、ベジタリアンというキーワードについてよく考えるようになりました。
ベジタリアンはどちらかというと「えらぶ」ことにおけるスタイルだと思っており、これまではっきりとこの観点から自分の生活をみつめたことがありませんでした。
ただ、「ベジタリアン」は実に多種多様であり、各々が目指す世界もまた異なるなと思います。
一般的に「ベジタリアン」が目指す世界は「動物や魚を食べるなんてかわいそう!やめよう!」といったイメージが強いと思います。ただ、今やベジタリアンはそういった道徳レベルから、様々なキャンペーンを経て「なんかこういう生活ってスタイリッシュじゃない?」といった文化レベルにまで達しており、ベジタリアンを選択する人たちの中でもグラデーションがあるなと思います。
そこで、今回はベジタリアンになる目的やベジタリアンが目指す世界像について、自分なりの考えを記します。
【1】ベジタリアンの種類
まず、「ベジタリアン」には選択する食事の内容によって様々な種類があります。
よくいわれるのが「ヴィ―ガン」と「ベジタリアン」の違いですが、ベジタリアンはヴィ―ガンを含む「野菜寄りの食事を選択する人達」の総称としても用いられることがあり、本記事では特にことわりがない場合、ベジタリアンは総称として用いています。
ベジタリアンの種類をいくつか以下に紹介します。
1. フルータリアン:野菜も食べず、主に果実・種子・ナッツを食べる
2. ヴィ―ガン:肉も魚も卵も乳製品も食べず、野菜だけを食べる
3. ラクト・オボ・ベジタリアン:肉と魚を食べず、卵や乳製品や野菜を食べる
4. ペスカタリアン:肉を食べず、魚や卵や乳製品や野菜は食べる
5. マクロビアン:ヴィ―ガンに近いが、季節や土地に馴染んだ食事を摂るため、肉や魚を食べる場面もある
この他にも、細かく分けるともっと多くのタイプがあります。
日本エシカルヴィ―ガン協会のHPには、もっと多くの分類がされているので、詳しく知りたい人はぜひご覧ください。
ちなみに、4. ペスカタリアンの人には、僕が最近よく見ている暮らし系YouTuberのあやおさんがいます。あやおさんは能登島に移住しリノベした古民家に暮らしながら自家菜園を営んでおり、動画ではグリーンウッドなエッセンスを伝えてくれるすてきなチャンネルです。
【2】ベジタリアンが目指す世界
次に、ある人物がベジタリアンになる目的として、大きく2つあるかなと思います。
A:動物や魚など知能が高い生き物を、自分たちの食事のために殺すのは良くない
B:ライフスタイルとして、身体や地球にやさしいフードデザインを実践していこう
Aはどちらかといえば倫理観に基づいており、Bは医学観や実践論に基づいているといえるでしょう。
さらには、両者の中にも様々なタイプがあり、その分類特性が異なってきます。
Aの分類では、【1】の1~4ように、食材のレベル感に依ってきます。この場合、ヴィ―ガンに近づくことが一種の理想形であり「無理しない範囲で変えていこうね」という動きが主流になってくると思います。
*もちろん、Aの中にもグラデーションはあり、必ずしも「ヴィ―ガンが正義」と考える人ばかりではないと思います。
Bでは、【1】の5のように、どのようなスタイルを重視するかに依って分類されます。ここでは人間の生き方に立脚しているため、個々のありかたは並行していると考えられます。
僕がここで重要だなと思うのは、ベジタリアンであることに対し「食事を断っても油や皮製品は残るし、どうせなら美味しい料理をたくさん食べられる方が良いでしょ」という見方は、ベジタリアンが目指す世界とは大きな乖離があるなということです。
なぜなら、スタイル先行型のBにおいては、場や気分に合わせたフードデザインが行われるし、裏を返せばエゴによる実践でも全く問題がないからです。自分がどのように豊かになるのかに価値があり、そのうえで自然との共生を選択を行うという行動原理のメカニズムを捉えることが重要でしょう。
また、エシック先行型のAにおいても様々なグラデーションがあることは既に述べました。人によって、レベル感によっては魚や卵、さらには革製品等を受容することになります。大事なことは、「自分ができること」を実践していくという行動原理でしょう。
さらには、一人ひとりが生き物共生の在り方を実践し、そのスタイルが拡がっていくことで、大きなムーブメントとなりやがて企業や政府の指針を変えていくといったソーシャルメカニズムを捉えることも非常に大切です。
【3】豊かな生活を実践するメッセージ
ベジタリアンに様々な種類や価値観、それらを捉える目線等についてお話してきましたが、本記事を通し「食事の豊かさ」みたいなものに気付くヒントになれば良いなと思います。
地球環境や知能ある生き物を守るといった大きな話だけではなく、「自分がどういった食生活を送りたいか」「どうすれば豊かな食事ができるか」といった視点からフードデザインを実践していくこともすごく大切なことだなと思います。
僕も野菜の育て方や家具の作り方等、たくさん勉強してもっともっと共生型の暮らしに近づいていきたいと思っているのですが、やはり「今の段階でできること」や「自分にマッチしていること」という感覚は常に意識しています。
ベジタリアンの選択を、大きく物事を変えていくためにするのではなく、自分自身の精神を豊かにするためや生活文化を楽しく積み上げていくために行っていくことも良いんじゃないか、そんな風に思っています。