ビジネス心理学①(返報性の原理)
僕ら人類が集団生活を送る中で、
その発展の一因となったのは助け合いの精神でしょう。
他の獣と違い強靭な牙や爪、筋力を持たない人類は、
集まって暮らすことで、太古から現代まで繫栄してきました。
各々が得意とする、あるいは生業とする分野で暮らしていく中で、
互いに協力し合うということを自然にするようになったと考えられます。
その助け合いの精神の根本となるのが、「貸した借りは返される」という
返報性の原理 への確信であり、もしも、返報性がなければ、
困っている誰かを助けるという行為自体の意味合いが
なくなってしまうかもしれません。
こう書くと反論のある方もいると思われますが、
実際の事例とある法則の話を通して説明したいと思います。
人間には大まかに3種類のタイプがいて、それぞれ
”ギバー”、”マッチャー”、”テイカー”となってます。
ギバーは、giver(与える人)
マッチャーは、matcher(与えられたら与え返す人)
テイカーは、taker(与えられるばかりの人)
その中のテイカーに対して、いくら何かを与えても、やってあげても何も返してくれることはなく、当たり前のように受け取るばかりです。
最初のうちは、テイカーに対して普通に与えると思いますが、
やがてその人のために何かを与えることに嫌気がさしてきます。
これは、無意識のうちに貸したものを返してくれることを望んでいるために
起こる感情だと思います。
実際には、そうした関係性にも利害の問題で、ハードルがあったりして
関係性の解消に至らないケースが多いんですけどね。
また、3者の中で、最も成功しやすいのがギバーであるという
研究結果もあります。これは僕の憶測ですが、ギバーが周囲に対して何かをしてあげたり、与えることで、周囲の人々に返報性の原理が働き、
結果としてギバーが成功しやすくなる。と考えています。
もう一つには”カルマの法則”と呼ばれる一種の思想ですね。
つまり、人間は自分の過去に積み重ねた業(ごう)により、
その未来が影響を受けるという考え方です。
一言でいえば自業自得的な考え方ですね。
詳しく書くと長くなるので、ここでは割愛させてもらいますが、
自分がやった行為が後に自分に返ってくるという思想は、
返報性そのものとも言えるかなと考えます。
むしろ、この考え方があるので、人にやさしくしたり、
助けたりするという行為が良しとされているんじゃないだろうか?
長く理屈っぽくなりましたが、もしあなたが、
「受けた借りは返さなければ居心地が悪い」
と思うなら、マトモな感覚のある人物であると言えますし、
そんな律儀なあなたの周りには同じように感じる人が集まることでしょう。
くれぐれもテイカーに搾取されるようなことの無きよう、
関わる人を見極めていきましょうね。
さて、返報性の原理には次の4種類があります。
好意に対する返報性 人は、好きなってくれた相手を好きなる。
譲歩に対する返報性 相手が譲歩すると自分も譲歩する。
敵意に対する返報性 敵対する相手には敵意を持つ。
自己開示に対する返報性 情報を開示してくれた人に自分も開示する
返報性の原理が働くのは、何も恩や贈り物だけではないということです。
最後になりますが、この「返報性の原理」を実際の生活の中で
うまく活用するにはどうすればいいでしょうか?
職場や私生活、あらゆる場面でまずやるべきは、
先に相手にに与えること
そのうえで
恩に着せない。やってあげたことは忘れましょう
与えたからといって、必ずしも相手が返してくれるとは限りません。
いつまでも相手に返してもらうことを気にするより
忘れてしまった方がいいんです。
もし、その時与えた相手から返ってこなくても、
別のタイミングで返ってくるようになっていると思いますので、
きれいさっぱり忘れましょう。
注意事項として一つだけ、くれぐれもテイカーに対して
与え続けるのだけはやめましょう。
相手に与えることであなたに何かしらのメリットがあるなら構いませんが、テイカーは基本もらうことが当たり前と思っていますので、
ギバーにとってしんどいだけの関係性になることが多く、
成功の妨げになることさえありますので、
しっかりと相手を見定めてくださいね。
それでは以下に、返報性の原理を利用したマーケティング手法と
ビジネスシーンでの具体的な例を、それぞれ5つあげたいと思います。
返報性の原理を利用したマーケティング戦略
1. 試供品の贈呈
返報性の原理に基づいて、製品に興味を持っている顧客に対して
無料で試供品を提供することができます。
顧客は、この試供品を受け取ることで何らかの価値を受け取ったと認識し、お返しとして製品を購入する可能性が高まります。
2. 社会的貢献に対する報い
社会貢献について積極的に取り組む企業は、
ユーザーに対して社会的な貢献を報告することができます。
これにより、ユーザーは自分自身が社会貢献に参加したと認識し、
企業に対する好意を感じ、製品・サービスを選択する可能性が高まります。
3. ギフトの提供
お客様に対して、プロモーションで特別なギフトを提供することは、
返報性の原理を利用したマーケティング手法の一つです。
お客様は、このギフトを受け取ったことで
自分自身に情報助けを提供してくれる対応をすることが期待できる場合、
企業に対する好意を感じることができ、
購入を検討する可能性が高まります。
4. 機密情報の共有
顧客に対して製品の開発過程や商品に関する機密情報を共有することで、
顧客に対して製品開発への参加意欲を高めることができます。
このように、プロセスに参加する機会を提供することで、
顧客は企業に対する好感度を高め、
製品・サービスを購入する可能性が高まります。
5. イベントの開催
顧客が参加できる無料のイベントを開催することは、
接客やクーポンの配布によってファンになる力を高めます。
特に、社会的なイベントに関与することにより、
顧客は自分自身が企業に貢献できたという自己認識を持つことができ、
企業に対する忠誠度が高まることが期待されます。
返報性の原理を利用した具体的な例
1. ネットワーク作り
ビジネス上で人脈を広げるために、自分から積極的に相手に好意を示し、
情報やアドバイスを提供すると、相手も自分に好意を抱き、
協力的になる可能性が高くなります。
2. ギフトの贈り物
取引先やパートナー企業に、自社のオリジナルグッズや賞品を贈ることで、相手に好意を持たれるだけでなく、
自社のアピールやブランディング効果も期待できます。
3. 無料トライアルの提供
自社の商品やサービスを無料で提供することで、顧客に対する好意を示し、顧客がその商品やサービスに興味や必要性を感じるようになれば、
継続的な課金や購入へとつながります。
4. お礼の手紙やメール
何かを頼んだ際、相手が快く引き受けてくれた場合には、
後日お礼の手紙やメールを送ることで、相手に好意を抱いてもらえます。
この手法を通じて、長期的な関係を築くこともできます。
5. キャッシュバックサービス
顧客が購入する商品やサービスに対して、
一定のキャッシュバックを提供するサービスにより、
顧客に対する好意を示すことができますし、
リピートやアップセルに繋がることが期待されます。
以上が、ビジネスシーンで返報性の原理を利用した具体例です。
会社員が職場で使える返報性の原理
1,協力意識の高いチームメンバーとの積極的な連携
チームの一員として、他のメンバーに協力的な態度を示し、
助け合いの精神を醸成します。
他の人の仕事やプロジェクトにも関心を持ち、積極的に協力することで、
将来的には他のメンバーからの協力や支援を得られるでしょう。
2.メンターとの関係構築
経験豊富なメンターを見つけ、その助言や指導を受けることで
成長が促進されます。メンターとの関係を築きながら、
自身のスキルや知識を磨いていきましょう。
メンターに対して感謝の気持ちを示すことで、
彼らもあなたに対してさらなるサポートを提供する可能性が高まります。
3.思いやりのある行動
返報性の原理は、人間関係においても重要です。
同僚や上司に対して思いやりのある行動をとることで、
信頼と好意を築くことができます。
例えば、他の人の負担を軽減するために手伝いを申し出たり、
感謝の気持ちを積極的に示したりすることが大切です。
4.自己啓発への投資
出世を目指すなら、自己啓発を怠らずに行うことが重要です。
自身のスキルや知識を向上させるために、
セミナーや研修に積極的に参加したり、
教育コースを受講したりしましょう。
成果を上げたことや成長したことを上司や周囲に共有することで、
彼らからの評価やサポートを得ることができます。
5.他者へのフィードバックの提供
チームメンバーや上司に対して、
建設的なフィードバックを提供することも重要です。
他者の成長や改善をサポートする姿勢を持ち、
フィードバックを通じて彼らの成果を評価することで、
相互の信頼関係を深めることができます。
このような関係構築は、将来的には出世にもつながるでしょう。
以上、最後まで読んで頂きありがとうございました。
ここにあげた具体例は、数ある例の一部にすぎません
興味がある方は、ご自身で調べてみるのも勉強になると思いますので
どうぞチャレンジしてみてください。
以上、もしも、この記事があなたの今後の役に立てるなら幸いです。