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糸氏家は代々「紙さま」を祀る社の宮司を務めている。 物心ついた頃自らの性に違和感を覚え、男児が偏愛する車や棒を好まずに女児の遊戯を愛した紙音は、この家で三つ下の妹と姉妹として育った。 「紙さま」のご神体は古い巻物だ。巻物は後世になって表として作られたもので、中に挟み込まれた紙片が真のご神体と言われている。昭和の頃に一度調査が入ったが、損傷しており開くこと叶わず、以後、中は誰も見たことがない。 紙音は幼い頃から「紙さまの声」を聴くことができた。 『魔女の宅急便』の
和志くんへ お返事の手紙を何度も読みました。 丁寧に伝えてくれて本当にありがとう。 私は、和志くんの正直な告白、 その誠実さに胸を打たれて、 もう一度だけ、 お伝えしなきゃいけないことが出来ました。 結論から申し上げると…… あなたは、決して悪くない。 和志くんのせいで、 大地が亡くなったわけではありません。 あの千羽鶴は、 雑に捨てることなど出来ませんから、 神社の宮司様にご相談して、 先月お焚き上げしました。 全校生徒の皆さんで 折り鶴を作ってくださった喜びは、