旅行の通信簿
ーオレとアチキの西方漫遊記(50)
東京を起終点に高知、京都、静岡をクルマでめぐった全行程2500km超の旅行。それ以来、早くも1年が過ぎようとしている。当時を振り返ると、準備が不十分だったなど、反省すべきところがあるものの、仁淀川(高知・愛媛県)で川遊びしたり、民宿で郷土料理を堪能したりなど、とても充実した時間を過ごし、その記憶は依然霞んでいない。一方、旅行のパートナーである奥さんはどう感じただろうか。旅行の感想や評価を奥さんに聞いた。
前回のお話:「旅行後の切ない現実」/これまでのお話:「INDEX」
100点と50点
ーあと1カ月半もすれば、旅行から丸1年になります。
「もうそんなに経つんだね。ときどき当時の写真や動画を見ているので、昨日のことのようだよ。水晶淵(高知県仁淀川町)で転んでスマートフォンを落としたこと(※)を覚えているよね。あのとき、撮り溜めたデータが全部ダメになっていたら、ワンワン泣いていたはず。その後の旅行は、ずっと暗い気持ちになってかもしれない。無事で良かったよ」
ー退院からわずか10日で出発。不安はなかったですか。
「主治医の先生に大丈夫と"お墨付き"をもらっていても、どうしても不安は残るよ。ただ結局、水晶淵に入ってからはどうでも良くなった気がするわ。水晶淵は特に印象に残っているね。"仁淀ブルー"とは本当に上手く表現したよね。水が青く澄んでいて、とてもキレイ。それに冷たくて、どうにも気持ち良かったよ。ここはまた行きたい場所だね」
ー仁淀川には随分惚れ込んだようですね。
「泊まった民宿(※)も抜群に良かったしね。あの大女将は元気にしていらっしゃるかな。あそこの朝食、夕食はいずれもとても美味しかったし、ボリュームもあったし、本当に良かったよ。さすが元が料亭だけあるね」
「ただ振り返ると、それ以外にも明石海峡大橋から渦潮を見たり、観覧車(※)に乗ったり、それも楽しかったな。京都にも満足だよ。それぞれ一度行った場所だけど、そのときとは違う味わいがあって良かったよ」
ー桂浜(高知県高知市)の宿では"メガ盛り"鰹のタタキと戦いました。
「そうだよ。完食したものの、食べ過ぎてお腹がはち切れるかと思ったわ。女将さんは『地元の人はあの程度、ペロッと食べてしまいますよ(※)』と笑っていたけど、本当かな。さすがに5人前は厳しいよ」
ー立ち寄った玉子焼き屋(兵庫県明石市)では箸が進みませんでした。
「前日の鰹のタタキが全然消化できていなかったからね。美味しいのに食べられない(※)というのは本当に地獄だね。総じて旅行について評価するならば、100点満点の100点。自分自身には50点といった感じかな」
ー楽しんだ割には自分自身への評価が低いですね。
「食べ過ぎたこともあるけど、移動中、毎回熟睡してナビゲーターの役割を果たせなかったこと(※)が大きいかな。地図アプリを上手に見られなくて道に迷うなど、時間と燃料を浪費してしまったことも反省点」
ーそれでは次回以降は反省を踏まえて役割をきっちりと果たすのですね。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
2020年の夏休み
奥さんにとっても、今回の旅行は、反省すべきところはあるものの、大満足だった様子だ。2020年の夏休みは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、旅行は難しいかもしれない。どうにも腹立たしい。とはいえ、転んでもタダでは起きたくない奥さん。「アチキ(※)は東京都内で世界の美味しい料理を味わうツアーを敢行したい」と目を輝かせている。また食べ過ぎるに違いない。どうにも懲りない性分だ。(おわり)
(トップ写真:旅行の感想についてインタビューを受ける奥さん=フリー素材を基にりす作成)