雨の中の強者たち

ー"アゲハの季節"

ピロン。小雨が降りしきる朝、スマートフォンが鳴る。メッセージが届いたようだ。開くと、奥さんから。ベランダにあるグレープフルーツの鉢植えで、すくすく育つナミアゲハの幼虫の写真が数枚。3匹それぞれが自分なりにポーズを取っているようで可愛らしい。

怖いもの知らず

写真はいずれも、雨の中、グレープフルーツの葉っぱをがむしゃらに食べている様子だ。可愛らしさの一方で、たくましさもある。自分の頭ほどある雫がそばにあるが、それをまったく意に介さない。怖いもの知らず。

とはいえ、それ以上の強者がいる。コロナ禍の中、雨に濡れるのも恐れず、撮影した奥さんだ。そこまでするほどベランダの幼虫を愛でているのに、頑なに屋内で保護しようとはしない。そして、決め台詞もいつもの調子：

「自然界は弱肉強食が掟」

奥さんによると、4匹まで確認したはずの幼虫は、19日時点で3匹しかいないという。そもそもの数え違いかもしれないが、奥さんは認めない。あるいは鳥に連れ去られたか。早くも厳しい自然界の洗礼を浴びたかもしれない。

（写真〈トップ画像〉：ナミアゲハの幼虫3匹。葉っぱに付いた雨の雫にも動じない＝奥さんが撮影した素材を基にりす作成）

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