「スケキヨじゃねえか」
真っ直ぐに立てた梯子の上で曲芸する「梯子乗り」を見学してきた。東京消防の出初式などでも馴染みある伝統行事で、年始の風物誌とも言える。奥さんや子どももいるだろうに、命綱なしで果敢に技を披露する人の姿には素直に拍手を送りたくなる。ただ、その技の中に一つ、気になったものがあった。空に向けて足を突き上げ、股を大開きにする決めポーズだ。それを見た瞬間、唖然とした:「まんま、スケキヨじゃねえか」
滑稽なポーズ
スケキヨは、市川昆監督の映画『犬神家の一族』の犬神佐清(いぬがみ・すけきよ)のことだ。作中、佐清は湖で、このポーズとまったく同じ体勢で死体として発見された。サスペンスとホラーが入り混じったこの作品には、およそ似つかわしくない滑稽なポーズで印象に残る。
梯子乗りの技について、どの人も一生懸命に練習し、命がけで披露している。ただ、万が一、この"スケキヨポーズ"に失敗して大事故にでもつながったら、見てる側としては複雑な心境だ。技の滑稽な印象と事の深刻さが混ざり合い、適切な言葉が思い浮かばなくなりそうだ。
過去に東京消防庁の出初め式で、梯子乗りを披露した男性が落下してケガを負ったことがあるという。スケキヨポーズはもちろん、それ以外の技でも、ケガしないように披露してもらいたい。そして、こうした伝統行事が末長く継承されていくと良い。
梯子の段数
今回、見学した梯子乗りは、江戸消防記念会が東京都内で行った梯子の「禊(みそぎ)祓い」の一環。関係者によると、梯子を立てると高さ6mにもなるそうだ。奥さんが梯子の段を数えたところ、15段だったという。この数に何か深いワケがあるのか疑問に思った奥さん。こちらに視線を向けてくる:
知るはずがない。ただ、少なくとも13階段にはしないとの予想はつく。
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