この先に幸多からんことを
ー玄関先のナミアゲハ
わが家の玄関先にナミアゲハを見かけた。よくいるナミアゲハに比べ、どこか小さい感がある。近づいても動じない。というより、むしろ動けないといった方が正確か。逃げることもなく、羽を上下にゆっくり動かしている。ちょうど離陸直前の飛行機が、主翼にあるフラップを動かす動作によく似ている。奥さんに知らせると、興奮気味に階段を駆け下りてきた。しばらくして、再び奥さんが様子を見に行くと、ナミアゲハはそこにはおらず、飛び去った後だったという。雨の中の旅立ち。この先に幸多からんことを。
関連リンク:「『芋活2020』シリーズ」「『芋活2018-19』シリーズ」
わが家初の羽化
このナミアゲハがわが家で育ったのだとすると、これがわが家から巣立った初めてのナミアゲハになる。実に喜ばしい。奥さんはそうに違いないとほぼ決めつけているが、その確証はない。よその家で育った青虫が、たまたまわが家の玄関先で羽化した可能性もある。
わが家で育った青虫であってほしい。個人的にもそう思う。これまで毎年、わが家のベランダにあるグレープフルーツの苗木でたくさんの青虫が育ったが、いずれも羽化までたどり着くことがなかった。ほとんどはいつの間にか"失踪"し、影も形も残っていなかった。
青虫にとっての"死のベランダ"という印象を拭い去ろうと、青虫を一匹保護して羽化させようとしたこともある。どうにか蛹にまでなり、冬を越し、わが家初の羽化に期待が膨らんだが、その思いが叶うことはなかった。そのときの失望感は、今でも心の引っかかりになっていた。
切なる願い
旅立ったナミアゲハは体長およそ2−3cm、羽を広げた横幅5cm程度。初見の感想は「うわっ、ちっさ」。近づいても動けず、羽を試運転しているように、ゆっくりバタバタと動かしている。羽化したばかりではないかと思ったのは、それが理由だ。旅立ちの瞬間を見逃したのは残念だ。
ただ切に願う。気持ちよく空を舞い末長く自由を謳歌してほしい。
(写真:わが家の玄関先で見かけたナミアゲハ。このナミアゲハがわが家で育ったのだとすると、これがわが家から巣立った初めてのナミアゲハになる=りす撮影)
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