良い買い物
ー洗濯機に異常あり
新しい洗濯機を買った。われわれ夫婦が思っていた以上に、合理的な値段で買うことができて気分が良くなり、予想と実際に支払った価格の差額で外食することにした。すると、今度は差額を超える金額になり、トータルでは想定外の高い買い物をしたことに。まさに"お調子者あるある"。ただ、不思議と損した気はしない。
関連リンク(「連載『洗濯機に異常あり』シリーズ」):「別れの時」「後悔」「スリル満点」
努力と祝杯
長年、使い込んできた洗濯機が壊れて以来、合理的な値段で買えるよう時間を見つけては情報を集めてきた。どのメーカーのモデルがコストパフォーマンスが良いとか、モデルチェンジ後の型落ち製品がお買い得とか。その努力が実を結んだと言える。
もちろん購入当日も、スマートフォンで価格ドットコムのページを開いたまま、複数の大手家電量販店に足を運んで価格交渉。われわれ夫婦が想定していた"落としどころ"に比べ、5000円程度抑えた値段で買った。思わぬ結果に、奥さんは終始ニコニコ顔の大はしゃぎだ。
隣で喜んでいる姿が見て、こちらも嬉しくならないはずがない。店員との話し合いもゴリ押しすることなくスムーズに進んだこともあり、有頂天になり、気も大きくなる。洗濯機を買った量販店の近くにイタリア料理屋があることを思い出し、祝杯をあげることに。
それほど激しく飲み食いしたわけではないが、もう食べられないという程度には注文。良い買い物をしたという"勝利の美酒"も堪能した。差額分をそれなりに超える額になったが、どういうわけか、気分は楽しいままだ。買い物は常にこうでありたい。
振り返りと振り払い
買い物から自宅に戻り、しばらくして店員とのやり取りを反芻する。相手の言葉の節々から、やりようによっては、もう少し安く買えたかも知れない。そんな悔いが襲ってきた。さらに、結局は手の平の上で転がされていたかも知れないとも。ただ急いで、その思いを振り払う。
洗濯機が動かない間、コインランドリーに通って洗濯してくれた奥さんへの感謝と思えば、大した出費ではない。実際、店員の口車に乗せられていたとしても、それなりに値段は合理的な枠で収まっているので、それ以上、気に病むこともない。
今晩は良い気持ちのまま、ベッドに潜り込めそうだ。
(写真:『りすの独り言』トップ画像=フリー素材などを基にりす作成)