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薄い記憶と濃い記憶

ーオレとアチキの西方漫遊記(43)

滋賀県甲賀市内にある温泉を調べようと立ち寄った道の駅。"グーグルマップ先生"に尋ねると、あっという間に候補地を探してくれた。奥さんと相談し、候補の中から、山あいにある緑に囲まれた日帰り温泉を選ぶ。ただ、慌ただしく入浴したせいか、この温泉については夫婦揃って記憶が薄い。

前回のお話:「同じ道ではつまらない」/これまでのお話:「INDEX

秘湯という妄想

セレブ感あるきれいな温泉だった。にもかかわらず、記憶が薄い。その理由は、のんびりお湯を楽しめなかったことに加え、東京都内の立ち寄り湯やスーパー銭湯に印象が似ていたからかもしれない。

郊外も含め、都内に新しく建てられたり、リニューアルしたりした入浴施設は、スペースこそ限られているものの、雰囲気や快適さはなかなかのレベルだ。そのため、ちょっとや、そっとでは驚かなくなっている。

思うに、地元の銭湯に行った方が記憶に残っただろう。銭湯のことを思い浮かべなかったわけではないが、「甲賀温泉」という響きの前に、忍者が入りそうな秘湯の光景を思い浮かべ、その妄想に銭湯は勝てなかっただけだ。

信楽焼のたぬき

たぬき団002_001

記憶に残っているのは、温泉よりも、むしろ立ち寄った道の駅だ。店の出入り口に置かれた信楽焼のたぬき忍者。そして店内に所狭しと並んだ信楽焼のたぬき。そこら中にたぬき、たぬき、たぬき。たぬきだらけだ。

その様子は記憶に色濃く焼きついている。京都・嵯峨野を走るトロッコ列車で、信楽焼のたぬきの一群(※)を見たが、それ以上のインパクトを感じた。おかげで甲賀市は信楽焼の産地であることを一生忘れないだろう。

スカーレット

NHKとの因縁も強く意識した。店内にあったチラシで、甲賀市はNHK連続テレビ小説(朝ドラ)『スカーレット』の舞台だったことを思い出した。女優・戸田恵梨香が演じたヒロインは信楽焼の陶芸家だった記憶。

先に立ち寄った高知県高知市は『龍馬伝』『功名が辻』、京都府亀岡市は『麒麟がくる』と、いずれもNHK大河ドラマの舞台(※)になった場所。今回の旅行は行く先々でNHKとご縁がある。これも強く印象に残る。

そして、最後にもう一つ残っている記憶がある。(続く)

(写真〈上から順に〉:道の駅で信楽焼のたぬき忍者がお出迎え=りす撮影・作成、陳列棚に所狭しと並んだ信楽焼のたぬき=同、戸田恵梨香主演のNHK朝ドラ『スカーレット』の一幕=オリコン)

関連リンク(前回の話):

「オレとアチキの西方漫遊記」シリーズ:


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りす=ハードボイルド
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