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VTuberの歌とダンスが生み出すムーブメント。轟はじめさん/しぐれういさん ゲーム実況・VTuber鑑賞

広報を仕事にする身としては、VTuberファンの枠を超えて広くトレンドとなる歌やダンスを発信するVTuberのことをとにかくすごいと思います。

私なんて日々企画考えて予算取って代理店に相談して……何ヶ月もかけてやっと出したコンテンツやプロジェクトのアウトプットであってもまぁそこそこ、所詮社内で新しいチャレンジをしたね、と評価がもらえる程度。そうそうバズらない世の中において、個のキャラクターとスキルで輝くVTuberにはリスペクトしかありません。

最終的なアウトプットになっている曲やダンスだけ見てもとてもエネルギーに圧倒されます。が、もう少し解像度を上げて見ていくと、そこに至るまでの流れが、偶然の要素も含めしっかり「物語」しているというのがとても興味深いと思っています。

けれども、知らない人にはきっとまだ知らない世界。
この動きを、オタクカルチャーにとどめておくのはとってももったいない!全然知らない人にもこのコンテンツのすばらしさをお届けしたい!という想いでこのnoteを書いています。

特に最近、歌やダンスで活躍する個性的なVTuberとしてマイブームなのが轟はじめさんとしぐれういさんです。

私が彼女たちを知っていく流れと共にどんなコンテンツが多くの人の心を動かすうねりをつくっていたのかも紐解いていきたいと思います。
※私自身の好みの話なのと、とはいえお二人についてもにわかに過ぎず、とても詳しいわけでもない点、あらかじめご了承ください。


1)ダンス界隈にその名を轟かせ、歌とトークのギャップも地道に魅せていく「轟はじめ」さん

歌もダンスも異彩を放つ、気になる存在

最初に目にしたのはYouTube Shortsで流れてくる彼女のダンスでした。

VTuberでいつも見ている感じのアイドル然としたダンスとはちょっと違うヒップホップ感というか…ダンスのことは何もわからないけど、不思議と心惹かれるものがある…と思ったのがファーストインプレッションでした。

次に歌をききました。
中でも「踊り子」に衝撃を受けます。

ちょっとダウナーな雰囲気を放ちつつ、めちゃくちゃ声がいい。かわいい。
Vaundyを女性が歌う場合の理想形だと思いました。というか、原曲よりもこっちの方がいい、とすら思いました。

ホロライブ勉強中だったので、そこからもっと彼女について知りたくなり、さらに彼女の3Dデビュー後に発表されたダンスを見ました。

すごーーい!!!!かっこいい!!!!
これほど繊細にダンスの動きを再現できるホロライブの3Dに関する技術力もあいまって、唯一無二のダンスを見た感覚に震えました。私はダンスが素敵だと思って誰かを好きだと思ったことないので、魅了されつつも未だに不思議な気持ちです。

3Dお披露目までダンスを封印していてもあふれる魅力

でも轟はじめさんは最初からダンスでアピールしていたわけではないんです。

VTuber、特に事務所所属のVTuberは最初から3Dでデビューすることはほぼなく、基本的には二次元を動かし、ちゃんと実績を積んだ上で華々しく3Dお披露目するというカルチャーがあります。

轟はじめさんの場合、2023年9月デビューで3Dお披露目したこの動画が2024年9月。
つまり、一番の武器であるダンスを1年封印して活動していたということです。その上で人気の地盤を築いてきたこともすごいですし、そこから怒涛のペースでダンスのshortsを公開し始めて、すっかりダンスが得意なVTuberとして認知を広げている点もブランディングが上手です。

ちなみにこの3Dライブの同接は20万人!とんでもない数です。
今回は深く言及しないですが、ホロライブの中でもhololive DEV_ISという枠組みの中で、「ReGLOSS」というグループでデビューしていて、3Dお披露目もまとめて行うことでより華々しくお披露目し、またそれにホロライブ内の先輩がたくさんのレスポンスを返すことで相乗効果で認知をあげていくという、箱の強みをいかしたコミュニケーション戦略も何かの真似ができるわけじゃないけれど、プロモーションのお手本として参考になります。

特徴的なふにゃふにゃのしゃべり方とのギャップにやられる

というわけで、歌はもう見ましたが、轟はじめさん、3Dお披露目までにどんな活動をしてきたんだろう?というのが気になって過去の切り抜きを見始めました。

そして再び衝撃。こちらをご覧ください。

え、本当に…!?
ふにゃふにゃボイス!!!!この感じであの歌が歌えるの!?
驚きすぎて、本当に同じ人か確信できるまで立て続けにいくつも切り抜き動画を見てしまいました。
なんでも、活舌が悪いというよりは気を抜くと、訛り的な感じでこういう話し方になってしまうそうです。

いや、でも、それもまたいい!

全体的に滑舌がもにゃもにゃで伝説になった8番出口の実況もよいですし。

にじさんじの滑舌よわよわなでびでび・でびるさんとのコラボは何回もしていて、最強のコンテンツです。
たとえばこのコラボは最近ですが、悩み相談にのろうとするたびにお互いの声が聞き取れず、少しカオスな展開になるのが面白く、ただ基本的に真面目な彼女の魅力も存分に発揮されています。

そう、このGAPが武器になるのがVTuberです。むしろ声に特徴があるのは、VTuberとして大切にすべき才能です。

やる気でないソングを踊ってみた界隈でバズらせる

そして彼女の特徴的なしゃべり方とダンスをうまく生かしてみんなに「踊ってみた」で広められたのがこの「やる気でないソング」

ダンスの動画をたくさん出す方に踊ってもらえたらそれを喜ぶshortsもしっかり流して、その方のファンに届くように工夫しています。

チャンネル登録者数80万人を超えるプロのダンスグループに紹介していただくことにもなり。

しっかりうれしい気持ちを発信して、その界隈に想いを届けていきます。

こうやってダンスコンテンツで繋がっていこうとする姿勢もファンをさらに広げることにつながっているように思います。

ダンスへの想いを熱く語る姿にほろり

そして轟はじめちゃんを次々見ているうちに彼女のダンスへの想いを切り抜いたshortsも届き始めます。

とにかくダンスへの想いが熱い。現状に甘んじることなく努力する姿勢がひしひしと伝わってくるし、ダンスについて話す時の語彙の豊富さから、普段いかにダンスについて考えているかが伝わってきます
いつか自分で振り付けしてホロライブみんなとライブがしたいとも話していて、ライブに一番強みがある事務所、ホロライブにいる意義も非常に感じられます。

そして2025年1月、ついに「Countach」というオリジナル曲を自身の振り付けのダンスで発表。再び鳥肌が立つようなクールなMVにすっかり心を鷲掴みされます。
執筆時点で公開2ヶ月近くでしょうか?もう200万再生を達成しており、オリジナル曲の再生回数がここまで一気に伸びるというのはなかなかないことなのです。

活舌悪くないもん!!と言いながらしっかりそれをコンテンツ化するところも、最強のパフォーマンスを発揮する姿も、どちらも輝いていて、これからの活躍が楽しみで仕方ないVTuberだということがおわかりいただけたでしょうか。

2)VTuberは趣味!イラストレーターなのにオリ曲1億回再生のつよつよ個人V「しぐれうい」さん

いや、今さらですみません。VTuber界隈に詳しい人でしぐれういさんを知らない人はほとんどいないかもしれません。
けど、今がマイブームなので説明させてください。

別のライバーのライブ映像からロリ神に出会う

しぐれういさんってもしかしてすごい人?と思い始めたのは「粛清!!ロリ神レクイエム」のカバーを見たところからでした。
そう、本人ではなくて、にじさんじとホロライブのVTuberが3Dでダンスしているこちらの動画。

サビくらいしか知らなかったので改めて歌詞を見て、なんていう曲だと思いました。
これはやりすぎでは!?

ただ、「二次元のロリ」的存在を愛するオタクカルチャーを真正面から「きもちわるい」と宣言するのは逆に今まではオープンにできなかった癖を認めてもらえているような快感もあるのかも……(きもちわるいと明言できる側もファンだからと遠慮しなくて良いのは楽しいのかも)などと思ったりして。

そこからその曲が(天宮こころさんと仲良しのイメージのあった)しぐれういさんのオリジナル楽曲だということ、賛否両論、時に炎上しながらも、1億回以上再生されていることを知りました。

いや、わかる。
歌詞より何より曲とMVのクオリティが高すぎて中毒性が高く、ついつい何回もきいてしまうんですよね。

VTuberが趣味で本業イラストレーターってどういうこと?とさらに深掘りが進む

そんなきっかけを経て、結局しぐれういさんってどんな人!?と調べていくうちに、彼女が本業イラストレーターでホロライブやぶいすぽの人気VTuberのママ(絵師としてその子を生み出した人)をしており、VTuberは趣味だと主張していることを知りました。それ故に配信も週に1回程度なんだとか。

え、本業イラストレーターなのにオリ曲があって、1億回再生されてるのなにごと!?とさらに驚きます。

他の「歌ってみた」曲やオリジナル曲も100万回再生を必ず達成。事務所に所属しない個人勢にもかかわらず交友関係の幅も広く、各大手事務所のトップクラスのVTuberともたびたびコラボをしています。

そうしてみていくうちに、彼女はただ「ロリ神」の話題性だけでここまで上り詰めてきたわけではない、というのがだんだんとわかり、気付けば彼女の発信に夢中になっていました。

視聴者を楽しませるスキル十分!トーク力も企画力もずば抜けてる

たとえばこちら。

お正月には毎年視聴者から絵馬を募集し、それを全力でいじってリスナーとおしゃべりを楽しみます。
一言でずばっといいツッコミをしてくれます。

系統としては似てるのですがずんだもんを使ってリスナーと会話しながらゲームするのも、そのツッコミスキルに加えて、持ち前のゲームの下手さまで活かした神企画でした。

チャンネル登録100万人クラスの大手事務所トップVTuberたちとも臆せずからみます。

たとえば最近ではお絵かきコラボをして盛り上がっていました。

直接のコラボではないものの、とても面白かったのはこちら。Xでのやりとりからおえかき企画を考案、コメント欄や再びXに舞い戻ってのトークのやり取りはネット民の盛り上げ方を心得すぎています。

インターネットで影響力の高い人や動きにうまくのっかり、時にミーム化しながら、楽しい企画を考え、視聴者といい感じのプロレスができるそのコミュ力!これはVTuberをやるために生まれてきたみたいなステータスをお持ちなのだとわかってきました。(趣味だけど)

視聴者に媚びない!つよつよな姿がたまらなく魅力的なんです

「つよつよ」という形容詞をしぐれういさんをウォッチする中で、彼女が自己紹介で用いることで知りました。この言葉はしぐれういさんオリジナルのものではありません。
意味としては、決して強くなくても「私は強い!」と自信をもっていろんなことにチャレンジしたり、アンチコメントに屈しない、どちらかというと、そのメンタルの強さを象徴しているように感じます。

そしてそんな「つよつよ」VTuberさんが、マルチな才能で、唯一無二の魅力を発揮して活躍する姿が私はとても好きなんだと不意に納得したのでした。
その代表格がしぐれういさんで、だから応援したくなるんだと。

特に2024年にヒットした「うい麦畑でつかまえて」はそんな彼女らしさがぎゅっと詰まった名曲です。

こちらの曲、普通に聞いてもロリ神なみに耳に残る、歌詞もつよつよないい曲なのですが。
歌詞の中にロリ神で生まれて本人は恥ずかしがってひたすら使用を取り締まっているういビームが隠されていることが発覚してさらに話題化します。ほんとすごい。

本業でないがゆえにリスナーに媚びすぎず、(収入はほかで得ているからこそ)活動から得たお金はライブなどVTuber活動に再投下していくところは、大きな強みになっています。

個人Vとして史上初の偉業を成し遂げるに至る

そしてチャンネル登録者も個人勢のVTuberで初めて200万を達成します。ロリ神のMVが2023年に出てから2年になろうとしても勢いはとどまることを知りません。

この200万達成を見守る回にも彼女がどうVTuber活動と向き合っているのかが詰まっていてとても素敵です。

複数の才能を尖らせ、独自の世界観を構築する彼女たち

この2人をまとめて紹介したのは、単に私が注目する2人だからというだけなのですが、後付けながらVTuber界隈を飛び出すような話題を作り、急成長していくVTuberとして共通項も見出せるなと思いました。(本当にえらそうなこといえるほど詳しくないのはご容赦ください)

とにかく才能は複数あるものの掛け合わせで唯一無二な認知をとっていくこと。
影響力の高い人たちとの良好な関係性やリスナーがいじりたくなる特徴を効果的にいかしてコンテンツをつくること。

そして、それぞれにVTuberという形で存在しつつも、その先に明確な夢や意思を持っていて、努力、行動し続けていること。その「物語」を横で追い続けるという楽しみやワクワク感があること。

VTuberというだけで偏見を持たれることも多く、一挙手一投足を批判されることが当たり前のインターネットの世界で、それは決して容易なことではないと思います。

というわけで、最大限の敬意を払いつつ、規模感としてはアイドルにも引けを取らない、個で輝く彼女たちが巻き起こすムーブメントをコンテンツを通じて楽しんでいきたいと思います。

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