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『その本は』読書感想文

先日、夏の疲れが出て仕事を休み病院に行ったところ長いこと待たされて、その病院の待合室には本が充実していたので目についた又吉直樹とヨシタケシンスケの『その本は』を手に取った。何年か前に本屋でよく目についたけれど、買うことはなく今回、予備知識なしに読んだ。内容はショートストーリーを集めたもので、細かいことは省くものの、この読書体験でとても良い発見があった。それは難しい本ばかり読むな、ということだ。これは洋書や哲学などの専門書に手を出して、遅々として進まず結局嫌になって積読になり読書から遠ざかってしまう自分への戒めで、もっと軽い、気の抜けた本を読もう、ということだ。そういう本からも得るものはある。人目を気にしてお堅い本を買い埃をかぶらせておくより、立派そうな装丁をして中身はくだけていたり、嵩増しにページがやけに厚かったりする、そんないい意味で適当な本の方が、少なくとも読書はできる。働いていると本が読めないという人は、立派な本、読んで自慢できる本を選んでいるのかも知れない。もっとすかすかで、中身のない、気軽な本を読もう。それも楽しい。ちなみに私の積読は洋書が数冊と数学者の自伝で、どれも数ページ目で止まっている。読書も、硬軟織り交ぜて進んでいくのではないだろうか。

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