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幻獣戦争 2章 2-3 英雄は灰の中より立ち上がる⑦

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幻獣戦争 英雄は灰の中より立ち上がる⑦

「了解。でも、陸将がやられたりしませんよね?」
「ああ。こんなことで吹っ飛ばされるほど間抜けじゃない」
 朱雀の心配に俺はそう言って笑みを向ける。

「わかりました。必ず撃破して見せます」
 朱雀はそう断言して通信を終えた。必ず撃破する。か……大丈夫だな。
 作戦開始5分前、11月1日午前5時55分。
 空に日が昇り始め綺麗な朝焼けがのぞき始める。俺は神霊機関に火を入れ鎮座していた機体を起こす。森から立ち上がった機体は遠方からでもわかるほど目立っていた。

「黄泉、神霊機関最大出力」
 俺はそう告げ左手に装備している楯を正面に構える。
「了解。神霊機関フルドライブ」
 黄泉の声と共に、神霊機関が徐々に出力を上げていく音がコックピット内に響く。

「大型幻獣の様子はどうだ?」
 俺の問いかけに、黄泉は無言で映像をコックピットモニターに表示する。
 大型幻獣の動きは鈍いようだが、確実にこちらに目を向けている。どうやら、タケミナカタ側への注意は逸れてくれたようだ。

「敵幻獣、射撃きます」
「楯の出力を最大。力場を展開させるぞ」
 黄泉の声と俺の言葉がシンクロしてコックピット内に響くと、楯を軸に機体周辺に力場が展開され衝撃と爆発が届く。轟音がコックピット内に伝わる。

「今よ!」
 揺れるコックピット内で冷静に黄泉は朱雀に合図を送る。
 11月1午前6時1分、神来作戦発動を伝える一撃が敵大型幻獣へ放たれる。
 数十秒後、隠岐の島中央に光の柱と大きな爆発が発生。

「効果観測を開始しろ」
 俺の指示に黄泉は無言で天照を経由して、大型幻獣が居た地点の映像をコックピットモニターに表示する。土煙が視界を遮りどうなっているかわからないが、巨大なクレーターができていることから察するに直撃してくれたようだ。
「やったな。朱雀」
 俺は小さく呟きながら映像を凝視する。

 さらに数分後、土煙が晴れ巨大なクレーターがくっきりと姿を現し、同時にボロボロになった大型幻獣が確認。形が残っているということはまだ生きている証でもある。
「一撃では倒せないか……」
 俺が苦虫を潰していると、続けて爆発が起き映像が途切れる。すかさず朱雀が2射目を撃ったようだ。
 俺は満足げに映像が更新されるのを待つ。

「対岸の幻獣、蜘蛛型を中心にこちらへ渡河を開始」
 黄泉が連絡するように伝えてきた。
「各員に戦闘準備! よく引き付けてから迎撃すると通達しろ」
 俺は黄泉に指示する。同時に天照からの情報が更新されさらに深くなった巨大なクレーターが映し出される。大型幻獣は跡形もなく消滅したようだ。

「――よし、作戦の第一目標撃破を確認。後方の艦隊に連絡。支援砲撃を求む。場所は隠岐の島那久沿岸部一帯」
 俺は黄泉に指示して朱雀に通信回線を開く。黄泉が指示している間にコックピットモニターに朱雀が映し出される。
「やりましたよ陸将!」
 通信に出た朱雀は満面の笑みで興奮気味に第一声を発する。

「ああ、よくやった。朱雀達砲撃部隊は準備が出来次第、順次隠岐の島裏側へ砲撃を始めてくれ」
「了解!」
 俺は笑みをこぼしながら答え指示すると朱雀は大きく頷き通信を終えた。
「主力部隊から連絡。作戦は予定通り継続する。貴官らの働きに感謝する。以上です」
「さて、ここからだな」
 黄泉の受信した暗号電文を聞きながら俺は小さく呟き、機体を旧比奈麻治比売命神社(跡地)海岸近くの山中から、機体を防御陣地へ移動させた。 

ここまでお読み頂きありがとうございます! 

次回に続く

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