頭蓋仙骨療法(クラニオセイクラル・セラピー、CST)の観点から見ると、蝶形骨と仙骨は密接に関連しており、両者は「蝶形後頭底結合(sphenobasilar junction, SBJ)」と「硬膜管(dural tube)」を介して連動すると考えられています。以下にその関係を詳しく説明します。

1. 蝶形骨と仙骨の解剖学的なつながり

蝶形骨は頭蓋底の中央に位置し、脳を支える土台の役割を果たしています。特に、蝶形骨と後頭骨の接合部(蝶形後頭底結合, SBJ)は、頭蓋骨全体の動きにおいて重要な役割を担います。

一方、仙骨は脊柱の最下部に位置し、骨盤の中央にあり、脊髄を包む硬膜(dura mater)を介して頭蓋骨とつながっています。

2. 硬膜管を介した連動

脳と脊髄を包む硬膜は、頭蓋骨の内側から仙骨まで伸びる「硬膜管」を形成し、脳脊髄液(CSF)の流れを調整しています。この硬膜管を通じて、蝶形骨の動きが仙骨に伝わり、逆に仙骨の動きも蝶形骨に影響を与えます。

3. 頭蓋仙骨リズム(Craniosacral Rhythm, CSR)

クラニオセイクラル・セラピーでは、脳脊髄液の循環に伴う微細なリズム「頭蓋仙骨リズム(CSR)」があるとされ、蝶形骨と仙骨はこのリズムに従って協調的に動くと考えられています。具体的には、蝶形骨が前方に傾く(フレクション)と、仙骨も前傾し(ニューテーション)、逆に蝶形骨が後方に傾く(エクステンション)と仙骨も後傾(カウンターニューテーション)するという関係性があります。

4. 蝶形骨と仙骨のバランスの重要性

蝶形骨と仙骨の動きが制限されると、頭蓋仙骨リズムが乱れ、脳脊髄液の循環が滞る可能性があります。これが、頭痛、首や背中の痛み、自律神経の乱れなどを引き起こす要因になると考えられています。

5. 頭蓋仙骨療法による調整

CSTでは、セラピストが微細な触診を行い、蝶形骨や仙骨の動きを感じ取りながら、優しく調整することで、脳脊髄液の流れを最適化し、身体の自己調整力(自己治癒力)を引き出すことを目的とします。

まとめ
• 蝶形骨と仙骨は硬膜管を介して機能的につながっている
• 蝶形骨の動きが仙骨に影響を与え、逆も同様
• この連動が「頭蓋仙骨リズム」を形成し、脳脊髄液の循環を助ける
• 頭蓋仙骨療法では、このリズムを正常化することで、全身の調和を促す

この視点から、蝶形骨と仙骨のバランスを整えることは、神経系や自律神経の働きを改善し、心身の健康に良い影響を与えると考えられています。

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