人体を支配するしくみ「体に良い/悪い?効く/効かない?」⑨
毎週水曜日は、Newton「人体を支配するしくみ」を、見開き2ページずつ読み進めるシリーズです。
今回はP.120~121。
昨日までの自分より一歩だけ成長したいと思います。
日差しが強い季節になってきましたが、みなさんは日光浴をすることはありますか?
「日に焼けた肌=健康」というイメージはありますが、どんなものでも程度というのがありますよね。
今日は「日焼け」について、科学誌ではどのように書かれているのかを紹介します。
母子手帳から消えた「日光浴のすすめ」
子どもは日に焼けている方が健康という一方で、大人は日差しを避けることで健康を保とうとする傾向があります。
私も知らなかったのですが、数年前の母子手帳には「日光浴のすすめ」という項目があったそうです。
ビタミンDの合成を助ける効果を期待してのことですが、あえて日光浴をしなくても、日常生活で自然に浴びる量で十分ということが分かったことから、今はその項目は削除されています。
紫外線が体に与える悪影響を考え始めたのは、つい最近のように感じます。
じっさい私が学生の頃は、早くキレイに焼くためのサンオイルや、日焼けサロンが流行っていた記憶があります。
ちなみに、
当時の商品がどうだったかはハッキリ覚えていませんが、今のサンオイルは⇩のように一部の紫外線をカットする性能があるそうです。
「日焼け」でおこる変化
太陽光にはいくつかの光線が含まれていて、日焼けに関わる紫外線は、波長別にUV-A・B・Cの3種に分かれます。
そのうちUV‐Cは殺菌灯などに使われるほど、人体に強い作用をもたらしますが、太陽光に含まれるものに関してはオゾン層で吸収されます。
日焼けをすると、皮ふが赤くなる「サンバーン」と、その後に黒くなる「サンタン」という2つの現象を起こします。
サンバーンは一種の火傷状態で、おもにUV-Bを浴びることで起こります。
赤くなるのはDNAの損傷が原因
過度にUV-Bが皮ふ細胞に吸収されると、DNAの構造が変化し傷ができ、複製できなくなってしまいます。
それを防ぐため、細胞にはDNAを修復する機構が備わっています。
皮ふが赤くなるのは、この修復機構がおこす炎症反応です。
さらに、この炎症反応によってメラニン細胞が合成され、皮ふが黒く見えるようになり、それによって細胞の核を日差しから守れるようになります。
この修復反応は万能ではなく、長期にわたって繰り返しDNAがダメージを受けると、復元異常をおこし癌化の原因になるそうです。
日光浴で老化は進む!?
例えば、顔にシミやシワが目立つ高齢者でも、日光が当たらない内ももは色白で柔らかい場合が多いのは、ヒトは加齢による老化だけでなく、「光老化」というものの影響を受けるあらわれとされています。
光老化は、UV-BだけでなくUV-Aの効果によっても起こります。
UV-AはBよりも皮ふ深部にまで到達し、活性酸素を発生させ老化を促進させます。
日焼け止め「SPF・PA」の意味
日焼け防止対策として、真っ先に浮かぶのが「塗るタイプの日焼け止め」だと思います。
さまざまなタイプが市販されていますが、必ず記載されているのが「SPF・PA」の2つの記号です。
SPF
・UV−Bに対する防止効果を示すもの
・SPFの数値は、使用の有無を比較し、肌が赤くならない時間が推定できるようになっています。
PA
・UV-Aに対する防止効果を示すもの
・PAは「PA+」〜「PA++++」の4段階で表示され、「+」が多いほど防止力が高まる
SPFと異なり、PAは絶対的な防御時間を表すものではありません。
日焼け止め選びの 注意点
「SPFもPAも数値が高いものを選んでおけば安心」と言われる方がいますが、それはちょっと誤解しています。
もちろん、あれもこれも買うわけにはいかないという気持ちはわかりますが、日焼け止め選びで大切なのは、「どのくらいの時間、紫外線を浴びることになるか」ということです。
数値が高くなるほど、肌への負担は大きくなるので、特に乾燥肌や敏感肌の方が数値だけで選ぶと肌トラブルを引き起こす原因になります。
またSPFは、塗ってからの時間を基準にしますので、例えば午前に2時間、午後に3時間外出するのであれば、SPF30を一度塗るよりも、SPF15を2回に分けるほうが、肌に優しい選択となります。
いかがでしたか?
若い時には気にもしませんでしたが、歳を重ねると「少しの手間で老化を遅らせられるのならやってみよう」という気になるものです。
さて、今回紹介してきた「人体を支配するしくみ」という本も、今回が最終回になります。
来週から何を読むかは決めていませんが、自分が成長できる何かを一緒にシェアできればとおもいます。
それではまた