慢性的なだるさや疲れ
こういう仕事をしているとよくあることなのかと思いますが、同じ疾患や症状のクライアントさんが立て続くことが多いです。ここ数ヶ月は甲状腺。
甲状腺の機能の異常が共通するクライアントが立て続いており、ただ、その結果で現れている健康問題が異なります。SIBO、不妊、うつ、単純に慢性的なだるさや疲れのみの人など。
特に甲状腺機能低下症は消化器の機能を含む代謝の低下を伴うためにSIBOになりやすく、また、甲状腺機能の低下は不妊の原因になったり、うつの症状を引き起こすことがあります。それぞれ異なるアプローチをしていきますが、甲状腺のホルモンを整えるアプローチも必ず必要になるのは共通です。
甲状腺の問題には、甲状腺ホルモンが過剰になる甲状腺機能亢進症と、甲状腺ホルモンが低下する甲状腺機能低下症があります。自己免疫疾患が元の要因であるバセドウ病(亢進)や橋本病(低下)もあります。
甲状腺は脈拍や体温などの新陳代謝や自律神経をコントロールする臓器です。なのでバランスが崩れた時に、それらに関係する症状で現れます。亢進と低下のどちらも、だるさ、疲れやすさ、足のむくみ、筋力低下、また、髪が抜けやすくなるなどのいずれかの症状が出るのは共通です。
また、ホルモンが過剰(亢進)の場合、脈が早く、暑がり、発汗、体重減少、手足の震え、イライラ、軟便、不眠、微熱、生理が少なくなるなどの症状が現れたり、
一方、ホルモンが不足(低下)している場合は逆に、脈が遅く、寒がり、汗をかきずらく皮膚が乾燥し、むくみ、体重増加、スローな動作、無気力、記憶力低下、眠気がとれず、便秘、生理が多くなるなどの症状が現れます。
甲状腺が腫れることもあり、その場合、首元に腫れがあったり、ものを飲み込みづらくなったりすることもあります。
甲状腺の問題は特にヨウ素が土壌に少ない海外で多く、オーストラリアでも消化器の問題と同じくらいか、それに近いぐらい、甲状腺も問題を持つクライアントさんが多かった様に思います。おそらく、薬でコントロールできる部分があるものの、長期間の薬の摂取になるので、特に他で何も働きかけないと服用量を増やしていくしかなく、そうなると副作用の問題も出てきてそのコントロールに限界があるため、自然療法を併用する人が多いからでしょうか。海外では特に慢性疾患では、薬物などの標準治療を行いながら、自然療法を受ける人も多いです。
もちろん、その他、様々な理由で薬を使えない人や使いたくない人が自然療法を利用します。これは甲状腺の問題に限らず、他の疾患でも、薬やホルモン剤で気持ちが悪くなる人やどうしても薬が合わない人たちもいるので、そのような人たちがナチュロパシーを利用することが多いです。ナチュロパシーでは伝統的なハーブの利用の他に、栄養素を最先端の分子栄養学的な使い方で利用することもできるので、その両方を利用してアプローチしていきます。
今回、甲状腺機能低下をお医者様に診断されたクライアントさんが去年の秋にコンサルを受けてくださり、その後、ナチュロパシーの対応で、薬を摂取せずに甲状腺ホルモンの値を改善できました。甲状腺ホルモンの値が基準値の真ん中に収まり、また、症状が明らかに改善し、朝のだるさがなくなり、睡眠の質も上がってきたとのこと。
別のSIBOのクライアントさんでは、どう見ても甲状腺機能低下の症状が認められるため、その方がかかっていた病院でなぜか調べられていなかった甲状腺ホルモンの値を改めてお願いして調べてみてもらったところ、甲状腺ホルモンが低下していることがわかりました。この結果如何でやはりアプローチは若干変わってきます。更に、このような場合、自然療法を行うにせよ、やはりその分野専門のお医者様に正しく状態を診断してもらいモニターしてもらいながら並行して行うことも大切。このクライアントさんの場合、別の内分泌科専門の病院のお医者様に数値をモニターしていただくことにしたので安心です。こちらはとりあえず、SIBOの改善と甲状腺ホルモン生成に必要な栄養素補給にフォーカスできます。発症当時から少し状態が変わっており、だいぶ長期化していたため栄養吸収不良も併発し、だいぶ拗れていたSIBOも少しずつ改善に向かっています。
甲状腺機能低下症の方でSIBOになる方はとても多いです。
また、これは余談になりますが、よくTSHだけを測る場合がありますが、きちんとFT3とFT4の値を調べてもらう必要があることを今回改めて実感。この方の場合は一般的に甲状腺機能低下で上がるTSHが正常値にも関わらず、甲状腺ホルモンのFT4が低いレアなケースで、FT4を調べないと甲状腺ホルモンにも影響が出ていることがわかりませんでした。海外だと、基本的な血液検査の項目に、隠れ貧血がわかる体内の鉄の状態を示す貯蔵鉄のフェリチン、甲状腺に関わるTSH、FT3、およびFT4、また、ビタミンD値など、お願いしなくてもたいてい入ってくるのですが(お願いしても全く問題なく調べてくれます)、なぜか日本では基本の検査対象には入ってきません。早く日本の血液検査が世界標準になることを祈ります・・・
甲状腺の話に戻りますが、甲状腺機能低下で薬を使う場合はお医者様から甲状腺ホルモンを補充する薬を処方されると思います。甲状腺ホルモンの生成と活性には、甲状腺ホルモンやその原料になるヨウ素やチロシンだけでなく、甲状腺ホルモン活性の酵素に必要な亜鉛やセレン、その他ミネラル類、また、一部のビタミン類などが必要になります。ヨウ素は足りなくても、摂りすぎても、甲状腺機能にはよくないのですが、亢進の場合も低下の場合も亜鉛やセレンは必要になります。
薬を長期で摂取する際、これらの栄養素を補充することで最低限の薬の量でその働きを最大限に有効化できます。自己免疫疾患の場合に出されるステロイド剤なら尚のこと、長期使用で副作用が出るものに関して低容量でコントロールし、薬に頼りすぎずに、栄養や食を整え上手に薬を利用することが大切。
ヨウ素が豊富な日本ではヨウ素の摂取をコントロールしながら、これら栄養素の補充によりその活性を促すことができ、程度にもよりますが薬に頼らずにコントロールできるケースも出てきます。食と栄養で補充しきれない部分を薬で補う、と考えるとわかりやすいでしょうか。
当然、甲状腺機能の異常で他の症状が結果的に出てきている場合、不妊であればホルモンの調整であったり、SIBOであれば代謝の調整であったり、うつも然りですが全てに共通する腸内環境を整えるなどのアプローチも必要になります。ただ、どれも、甲状腺機能を正常にしないと一時的に良くなってもいずれぶり返し、長期的には改善が難しいので、同時に対処していかないといけません。また、これら二次的に現れている症状に対し、例えばうつの場合、甲状腺への対処をしないままに心療内科のお薬を摂取していても症状のコントロールが難しく、薬の服用量を増やして起こる副作用を抑えるために薬が増える、などということになりかねません。
そして、そもそも、甲状腺の機能が乱れた本当の本当の根本要因はストレスであることが多いです。甲状腺が悲鳴を上げたのは、副腎が悲鳴をあげているから。その場合は、ストレスと副腎疲労の対応も必須になります。
甲状腺や副腎の機能をサポートする栄養素、亜鉛、セレン、ビタミンB全般、ビタミンC、ビタミンA、ビタミンD、マグネシウムや、不足している鉄などの栄養素を補充し、副腎ハーブやアダプトゲンハーブなどの力を借りて気を蓄え、リーキーガットを治して腸内細菌叢を整えて腸内環境を改善し、身体が自己治癒力を働かせてそのバランスを取り戻せるよう促していきます。
(※薬を摂取している人はサプリとの相互作用がある場合があるので、分子栄養学の先生やナチュロパスなど専門家に相談してください。)
自己免疫疾患であれば、免疫を過剰反応させている原因を突き止め除去することもとても大切。お腹での免疫の過剰な反応が、自分の免疫の甲状腺への攻撃につながる。それを止めないといけません。
日本でも意外と甲状腺の問題を抱える人たちが多いことに気づきました。
だるさや疲れやすさなどが続く時、その悪化を自覚する時はたいていストレスの渦中かと思います。今が一番動かないといけない時のに、動けない。そうすると皆、自分に鞭を打ちます。責任感があって、こつこつと、黙々と頑張る人たち。
「自分が悪いから無気力なんだ」「自分の心が弱いからうつになるんだ」「だるいのは自分が甘いんだ」「自分の気合いが足りないんだ」、鞭を打ちながら自分を責める。
いやいやいや、気合いの問題ではなく、甲状腺かもしれません。副腎疲労かもしれません。お腹の問題かもしれません。
あまり自分を責めすぎないで、ちょっと休んで一息入れて、人の助けを借りて、自分の身体を見直す時間を作ってみてください。
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