最高の映画が“音楽とは何か”を教えてくれるよ! - 『音楽(原作:大橋裕之・監督:岩井澤健治)』を観て
今日紹介する映画 『音楽』 大橋裕之 原作, 岩井澤健治 監督
2020/02/03 作成
今日はあまりに最高の作品に出会ったので、珍しく純粋に作品のポジキャンをします。
サクッと読めるので、作品紹介だけでもご覧になって、名前だけでも覚えて帰って、そして検索してみてください。
(※後書きで映画の見所も紹介しています)
1.音楽ってなに?
ひと言では説明できないもの。
たとえば“恋”とか“青春”とか。
「どうしたらこの気持ちを恋と言えるの?」
「恋と愛の違いは?」
「青春ってなんだ?」
散々議論されてきた、答えのない問い。
僕たちの中に、なんとなく答えはあって。でもそれは掴みきれなくて、言葉には到底できるはずもなくて……そしてもどかしくなります。
でも、たまに、本当にたまに、それらをすっかり説明し得るものに出会うことがあります。
「あぁ、これを恋と呼ぶのか」って。
「間違いない。あの瞬間こそ青春だった」って。
その時の快感ったらありません。頭のもやもやがパーっと晴れて、自分の中の大切なものに直接触れることを許された感覚。忘れられるものではありません。
みんなに伝わる説明じゃなくてもいい。
自分にだけ分かればいい。
……ところで、みなさんは“音楽”ってなんだと思います?
言葉の意味は簡単ですよね。“音を楽しむ”って書いて音楽。
それでは、“音を楽しむ”ってどう言うことだと思います?
……説明しようと思っても、難しいですよね。
今日は、「音楽とは何か?」という問いに対する、僕なりの答えになっている作品を紹介します。
2.作品紹介
(↑photo @ 新宿武蔵野館)
今日紹介するのは、大橋裕之 原作, 岩井澤健治 監督作品の『音楽』です。
こちらは世界最高峰のアニメーション映画祭であるオタワ国際アニメーションフェスティバルで、長編部門グランプリを受賞した作品です。
邦画では『夜は短し歩けよ乙女』以来2作目の快挙となります。
今作は7年を超える製作期間をかけて、4万枚以上の手書き原画によって構成されています。
熱の入り方が尋常じゃない。
漫画原作なのですが、それだけクリエイターに愛された作品と言えるでしょう。
著名人のファンも多く、山田孝之や峯田和伸(銀杏BOYZ), 斎藤工, Bose(スチャダラパー), いとうせいこうetc……壮々たるメンバーがコメントを寄せています。
(↑コメント付き予告編。これだけでも見て。コメント全文は下のリンクへ)
なぜこれほどまでに『音楽』が多くの人を惹きつけるのか?
それはこの作品の登場人物たちが“音楽の楽しさ”を体現しているところにあります。
3.映画館で分かる。これが“音楽”だと
『音楽』がどんなお話かと言うと、「音楽経験のない不良3人組が、バンドをやってみる」ってだけです。本当にこれだけ。
でも、だからこそ彼らが体現する音楽の楽しさや初期衝動が、作品の中でストレートに表現されています。
不良3人組が、かっぱらってきた楽器で初めて演奏するシーン。
そこでメンバーの太田がベースを鳴らして「おっ 音が出た」と言って笑います。「せーの」でセッションした3人が、その衝撃に痺れて固まってしまいます。
なんだか観てて微笑ましくなります。
そのシーンは僕に、幼少期の初めてボールとグローブを買ってもらった日, 初めて自転車に乗れた日, 欲しかったゲームを買ってもらった日を思い起こさせました。そして僕は当時の衝撃、ワクワク、魂の震えまで思い出しました。
そんな力が、この3人にはあります。
そして最後の演奏シーンの末に訪れる、叫び出したくなる衝動……。
それを経て、僕は唐突に理解しました。「あぁ、これが音楽なんだ」と。
この映画は“音楽は何か?”と言う途方もない問いに、これ以上ない答えを提示してくれたのです。
久しぶりに、こんなに満足して劇場を後にすることができました。
きっと、みなさんにとっても素晴らしい体験になると思います。
そんな最高の作品 : 『音楽』は、都内では2月中旬まで新宿武蔵野館で、2月7日からはユナイテッド・シネマ アクアシティお台場で公開です。
……ってかオタワで賞とった作品が、ここまでクリエイターの熱のこもった作品が、これだけの映画館でしかやらないなんて。
じわじわとシアターは拡大しているようですが、この作品がもっと多くの人に広まればいいなぁって思います。
(↑上映後に展示物に集まる観客たち @ 新宿武蔵野館)
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今日紹介した映画
音楽
大橋裕之 原作 岩井澤健治 監督
↓公式サイト↓
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映画の見所を後書きに変えて
①余白の表現
大橋裕之の原作漫画がコチラです。
はい。そうです。
お気づきの通り、めっちゃ絵が下手くそです。
しかもほとんどインクを使いません。
それでも大橋裕之は、絵こそ拙いですが「余白や間を表現する名手」と言われています。
(↑ボーカルに指名されたヒロインが、断りながらも家でこっそり練習するシーン。言葉や表情で説明しなくても、余白や間でキャラの心情を表現するのが本当に上手)
その余白や間を、映画でしかできない方法で完璧に表現していました。
②圧巻の演奏シーン
映画でしかできない表現といえば、なんといっても演奏シーン!
……なのですがこのバンド、謎にベース2人にドラム1人と言う構成なのです笑。
「こんなの映画で音を表現したところで、かっこよくなるの?」と思いましたが、これが全くの杞憂でした。
オープニングから既にめっちゃかっこいいし、最後の演奏シーンは圧巻です。
本当に、岩井澤監督の原作へのリスペクトが伝わってきます。
メディアミックスで、こんなに原作を忠実に再現し, 純粋にパワーアップさせた作品は観たことありません。
あと、岡村靖幸兄さんが最高のタイミングで声の出演をしているので、エンドロールまでお楽しみに。
みなさんも是非、観に行ってみて下さい。
もう1回ぐらいなら僕もついて行くので、声かけてもらっても構わないから。
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