#40 無意識にハードルを上げるクセ
「相手の期待を上回る仕事」といったニュアンスのことを聞いたことはありませんか?
仕事は、「相手の想定している期待値を上回る成果を出すのが素晴らしい」という考え方です。会社員だったら、一度は新人研修やOJTで言われたりするんじゃないかな~。
私もこの考え方に何ら疑問を感じませんでしたし、自分自身が ”常に相手の期待を上回りたい” という思いで仕事をしていました。
しかし、この考え方はどの仕事にも当てはまるものなのか?
この考え方を常に貫いてしまうと無意識に自分を苦しめるのではないか?
と思うときがあります。自営業になってからは特にそう感じる機会が多い。
たとえば、体験に来たお客さんが日頃からものすごく運動をしている人だったらあまり満足してもらえないんじゃないか、とか。私より筋肉量が多かったり強かったり、柔らかい人だったら、期待に応えられないのではないか、とか。
など、いろいろ考えてしまう場合があります。
相手の期待値を上回るというのは、自分をブラッシュアップさせることもあるけど、自分で自分にプレッシャーをかけて、ムダにストレスにしてしまうリスクもあります。
事前に「誰に向けたサービスで何ができるか」というのは書いているので、通常どおりのプログラム内容でもまったく問題ないはず。
ただ、そうは言っても、やっぱり目の前にいるお客さんには満足してもらいたい、という気持ちが出てしまうのも事実。
この2つの気持ちに折り合いをつけつつ、ストレスを感じないようにするにはとても難しい・・と日々、感じています。
私は、どちらかというとボランティア体質というか、特に個人のお客さんに対してはあまり商売人になれないという気持ちがあります。
団体や企業のお客さんに対してはガツガツいけるんですけどね。
これは、私がこれまで企業向けに仕事をしてきので法人のほうが慣れているから。あと、個人のお客さんは、サービスに求めているものがバラバラで、「何をしたいのか」ということが本当に明確になっているひとは少なく、あまりいないからです。
目的が明確ではなさそうな様子のひとに、満足していただくためにはアプローチを変えて反応を見て、という繰り返しになります。それを私自身が楽しめているうちは問題ないけど、プレッシャーに感じたり、あとで落ち込んでしまうようでは、いかんなーと思っています。
頭ではわかっていても、割り切りは難しい。
「相手の期待値を上回る」は、無意識にハードルを上げてしまい、功罪両方あると思います。
自営業に限らず、他の仕事でも同じことはいえますね。
パッと思い浮かぶのは、最近のコンビニはものすごい色々なサービスが増えていて、明らかに顧客の期待値を上回っている、上回りすぎているような気がします。
私も高校生のときにコンビニでアルバイトをしていたことがあります。
休日の、早朝から昼過ぎまでで時給は1,000円。ド田舎の割にはめちゃくちゃ売れている店舗で忙しかったというのもありますが、20年以上前のサービスと今とではかなり差があります。なのに、時給は2割程度しか上がっていない。
店舗運営は多くの固定費がかかったり、サービスが増えればそれに関する費用が増えるのも分かるけど、人件費の上昇はもう少しあってもいいのではないか?と思うし、接客レベルは「普通」で良いと感じます。
おもてなしの心とか、そういうのはいらない。
「相手の期待値を上回る」という言葉は、仕事内容によっては、適切に設定されていたサービスと対価のバランスを歪めることもある。
そして、それが長年に渡ってアタマに刷り込まれていると、そのことに対するストレスを感じている自覚がなくなって、よくわからないプレッシャーや不安に潰されてしまうひともいるのでは・・ちょっと気になったので、いまの自分と照らし合わせて書いてみました。
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