さくら
さくらの花がさく この春の季節
待ちこがれる人は たぶん多いだろう
さくら好きじゃない 好きになれない
たのしいことばかり 思い出すから
見なれた風景に おわかれを告げて
知らなかった道を 歩きはじめる
いちからはじめなきゃ ならないことに
不安がこみあげるかもしれない
さくらさかないで お願いだから
もうすこしこの場所で過ごしたいから
新しい世界に 胸はふくらむけど
さくらさかないで もうすこしだけ
さくらの木にはまだ つぼみもみえない
だのになぜいきなり さきくるうのか
さくらの花きえる 一か月さきは
もうちがう生活のなかにある
あたらしい仕事に あたらしい仲間に
慣れるまでなにかと たいへんだろう
はじめはひとりきり 孤独だろうけど
気づかぬうちに味方はできるのさ
さくらさかないで お願いだから
もうすこし君たちと過ごしたいから
次の世界にも 期待はあるけれど
さくらさかないで もうすこしだけ
さくらさかないで お願いだから
もうすこしこの場所で過ごしたいから
あたらしい世界に 胸はふくらむけど
さくらさかないで もうすこしだけ
校舎の窓から 校庭みおろせば
ならしたグラウンドに つむじ風
さくらの花びらが 舞いあがっていく
いつもと変わらない 青い空のした