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読書日記2020

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2020年に読んだ本について書いてます。
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#青山ブックセンターで出会った本

発酵で知る日本の奥深さ(小倉ヒラク『日本発酵紀行』)

読んでいてなぜか懐かしさを覚える、そんな本だった。 『日本発酵紀行』は発酵デザイナーである小倉ヒラク氏が実際に47都道府県を巡って、その地の発酵食品と出会った記録だ。 発酵食品は日本では身近な食べ物。 お味噌汁、お漬物、納豆などはごく自然に毎日の食卓に並ぶ。 そしてそのバリエーションは非常に豊富で、お味噌一つとっても、赤味噌、白味噌、八丁味噌など地域によってかなり違う。 食品の違いは生活の違い。 日本は海に囲まれ、山が多く、島も多い。 また南北に長いため、その土地土地で

情熱を持って創った人たち(木村泰司『印象派という革命』)

明るい風景画 世間を映し出した主題 筆の動きがわかる筆致 私が抱いていた印象派のイメージは「明るく、軽やか」だった。 印象派以前の絵画は宗教画や宮廷画であり、宗教(=キリスト教)や時の為政者のための、いわば権威を表すもの。 そこにいきなり「日常」描く人たちが現れて新しい風を吹かせた、そんな風に思っていた。 しかし現実は政治や権力との闘争があり、信念を曲げずに描き続けた人たちの熱狂なくしては歴史に残ることがなかったことが、この本を読めばわかる。 マネ、モネ、ルノワール、ドガ。