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文化人類学がおもしろい

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わたくしコミュニケーションを専門とする博士(学術)の筆者が”複数の他者のあいだのコミュニケーションを記述すること”という切り口から文化人類学の文献を読んで行きます。 わたしは文…
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2021年6月の記事一覧

「意味」の意味とは?? -クロード・レヴィ=ストロース著『遠近の回想』から考える

『遠近の回想』(De près et de loin)は、クロード・レヴィ=ストロース氏へのインタビューを収めた本である。インタビュアーはディディエ・エリボン氏である。みすず書房から竹内信夫氏による訳書が発行されており、日本語で読むことができる。 この本は、文化人類学や文化に関する学問に携わる人に限らず、ひろく「科学」で物事を理解することを願う人たちに読んでもらえるとよい一冊である。 この本の言葉は、話し言葉に対する書き言葉であり、印刷された活字の列でありながら、しかし、

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南方熊楠『燕石考』の4項モデル あるいは人類ができる思考の極み  ー 安藤礼二著『熊楠 生命と霊性』を手がかりに考える

安藤礼二氏の『熊楠 生命と霊性』を引き続き読んでいる。 (前回の記事はこちら↓ですが、今回の記事だけでもお楽しみいただけます) 南方熊楠の世界を垣間見ていると、思わずこんな思いつきがあたまをよぎる。ときどき目にする「猿でもできる」とか「猫でもわかる」とか「わたしにも写せる」とか、そういう言葉に「おいおい」「いやいや」とおもわず微笑んでしまうのが粋な読み手ということかなと思うのだけれど、もしかすると神仏の世界では『人類でもできる○○』のような本がロングセラーだったりするので

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