コスモスとしての文化と、カオスとしての文化 −岩田慶治著『コスモスの思想』を読む
文化人類学者 岩田慶治氏の著作『コスモスの思想』を読んでいる。
文化人類学が研究対象とする「文化」というものは、「自然」との対立関係の中で存在するようになるものだ。
例えば、山に大きな石が転がっていれば、私たちはそれを「自然」のものだと言うけれども、もしその石の表面がなめらかに整えられて規則的なパターンで線が刻まれていたならば、私たちはそれを文化的な何かだと考えてみたくなる。
つまり、どこかの誰かが、人間が、何らかの「意味」を表現しようとして自然物の石を加工したのだと考