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文化人類学がおもしろい

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わたくしコミュニケーションを専門とする博士(学術)の筆者が”複数の他者のあいだのコミュニケーションを記述すること”という切り口から文化人類学の文献を読んで行きます。 わたしは文…
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2019年5月の記事一覧

クロード・レヴィ=ストロース著 『神話論理』の最後の1ページを読む ー構造の概念について

(本noteは有料に設定しておりますが、無料で全文をお読みいただけます) ※ ほうぼうで「レヴィ=ストロースはすごい!すばらしい!」と触れて回っていると「おすすめの一節を教えてほしい」とか「どの本のどこを読んだら良いか?」といった話をいただくことがある。 私も小さな一読者であり、レヴィ=ストロース氏の思想を一掴みにできるような一節を選び出せる力など持ち合わせていないので困ってしまうのだけれども、長大な『神話論理』の一番最後のページを読んでみる、というアイディアが結構行け

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関係が項に優先するー読書メモ ヴィヴェイロス・デ・カストロ『食人の形而上学』(4)

 最近の人類学がおもしろい。その中でも特に興味深いのがヴィヴェイロス・デ・カストロの『食人の形而上学』である。前回のnoteに引き続き詳しく読んでみたい。 構造の運動としての言語、音楽、宗教、科学、神話 人類学といえばレヴィ=ストロース、レヴィ=ストロースといえば構造主義、構造主義といえば『神話論理』である。  ところで「神話」というと、科学技術が未発達だった時代の迷信、取るに足らない間違い、科学によって克服され消えるべきもの…、という意味合いで捉えるひとも居るようだ。科