言い換えを試す余地を無力な個人にも ー読書メモ:『声の文化と文字の文化』と『ピダハン』
ウォルター・J・オング氏の『声の文化と文字の文化』という本がある。
私がこの本を最初に読んだのは大学生の頃だった。当時、電子情報工学系の学部に属していながら、人文系の「メディア」の理論に興味を持ち始めたところだった。
電子情報の技術を開発しようとする場合、通信機と通信機の間で信号を送ることが課題になる。送信側の機械が作り出した「電気」のパターンを、受信側の機械でいかに正確に再現するか、そのための技法を探求するのが仕事である。
ところが私はあろうことか、通信機の「端末」の