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文化人類学がおもしろい

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わたくしコミュニケーションを専門とする博士(学術)の筆者が”複数の他者のあいだのコミュニケーションを記述すること”という切り口から文化人類学の文献を読んで行きます。 わたしは文…
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2018年8月の記事一覧

呪術が常識をコードするー読書メモ:安藤礼二『折口信夫』

 「意味とはなにか?」  随分前から、この問いに取り憑かれていたのであるが、それに答えを出してくれたというか、それ以前にまず、そもそもこれが「問いとして成り立ちうる」ことを教えてくれた本がいくつかある。  まずはクロード・レヴィ=ストロースの『神話論理』や『神話と意味』といったところ、そして井筒俊彦著『言語と呪術』と、この安藤礼二著『折口信夫』である。 意味はダイナミズムである 20世紀の思想史における「意味」の捉え方として、意味を多義性へと発散していく傾向を持ちながら

意味とは「置き換え」である。 -レヴィ=ストロース『神話と意味』を読む

(このnoteは有料に設定していますが、最後まで無料でお読み頂けます) クロード・レヴィ=ストロースといえば、20世紀屈指の文化人類学者である。 レヴィ=ストロースが"人類の文化"について記述する方法は「構造主義」と呼ばれ、文化人類学の専門領域を飛び出して、ひろく人間について、社会について思考するための枠組みとして広まった。 レヴィ=ストロースの「構造」とは、雑で申し訳ないが大きくいうと、人類(ホモサピエンス)の思考の動き方の癖のようなことである。 私たち一人一人は、

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