【株・NISA】PER,PBR,ROEとは
個別株投資を行う方に向けて,投資家がよく参考にしている投資指標である,PER,PBR,ROCについて紹介したいと思います!
PER(Price-to-Earnings Ratio)とは
PER(Price-to-Earnings Ratio)は、企業の株価をその1株当たりの利益で割った比率であり、株式の評価や比較を行う際に使用される指標の一つです。
PERは企業の収益性を示す指標であり、一般的に高いPERは市場が高い成長や将来の収益を期待していることを示し、低いPERは逆に市場が悲観的な見通しを持っていることを示すことがあります。
以下に、PERの具体例を提示しながら説明します。
例えば、企業Aの株価が1,000円で、直近の1株当たりの利益が100円だとします。この場合、企業AのPERは以下のように計算できます。
PER
= (株価)÷(1株当たりの利益)
=1,000÷100
=10
この場合、企業AのPERは10です。この数値がどの程度の水準なのかは、業界平均や他の企業と比較して判断する必要があります。一般的に、同じ業界やセクター内で比較することで、相対的な評価が行えます。
例えば、同じ業界で競合する企業Bが株価が800円で1株当たりの利益が80円だとします。企業BのPERは以下のように計算できます。
PER
= (株価)÷(1株当たりの利益)
=8,000÷80
=10
ここで、企業Aと企業BのPERが同じであるため、市場はこれらの企業の収益性を同じだと見ていると言えます。しかし、単一の指標だけでなく、他の財務指標や将来の成長見通しも考慮することが重要です。
※EPS(Earnings Per Share)
EPS(Earnings Per Share)は、企業の1株当たりの純利益を示す指標です。
EPSは以下の式で計算されます。
EPS = (純利益) ÷ (発行済み株式数)
PBR(Price-to-Book Ratio)とは
PBR(Price-to-Book Ratio)は、企業の株価を1株当たりの純資産で割った比率を示します。投資家はPBRを利用して、企業の株価が実態に対してどれだけ評価されているかを判断します。
例えば、企業Jの株価が1,200円で1株当たりの純資産が400円の場合、
PBR
= (株価) ÷ (1株当たりの純資産)
= 1,200 ÷ 400
= 3
このPBRが3となることは、市場が企業Jの純資産に対して3倍の評価をしていることを示しています。この数値を用いて、株価が実態に対して高いか低いかを判断します。
低いPBRは、株価が純資産に対して割安であることを示唆します。これは、市場が企業の将来の成長や収益性に悲観的な見方をしている可能性があります。
逆に高いPBRは、市場が企業の将来の成長や収益性に期待しており、株価が実態よりも高く評価されていることを示します。
※BPS(Book Value Per Share)
BPS(Book Value Per Share)は、一株あたりの純資産額を示す指標です。BPSは以下の式で計算されます。
BPS = (純資産) ÷ (発行済み株式数)
ROE(Return on Equity)とは
ROE(Return on Equity)は企業の株主資本に対する収益性を示す指標で、投資家にとって企業の利益の効率を評価する重要な尺度です。
例えば,企業Kが直近の決算で純利益が2億円で、株主資本が10億円の場合、ROEは以下のように計算できます。
ROE
= (純利益) ÷ (株主資本) ×100
= 2,000,000,000 ÷ 10,000,000,000 ×100
= 20%
この場合、企業KのROEは20%です。ROEが高いほど、企業は株主の資本を有効に活用して収益を上げていることを示し、投資家にとっては魅力的な企業と見なされることがあります。
例えば、同じ業界で競合他社Lが純利益が1億円で株主資本が5億円の場合、
ROE
= (純利益) ÷ (株主資本) ×100
= 1,000,000,000 ÷ 5,000,000,000 ×100
=20%
企業LのROEも同様に20%です。ただし,ROEが同じでも、他の財務指標や将来の成長見通しを比較することが肝要です。
ROEが高い場合、企業は収益を生み出す能力が高いとされ、将来の収益の持続性が期待できます。
一方で、ROEが低い場合は、企業が効率的に資本を運用できていない可能性があります。ROEを総合的に分析し、企業の収益性や競争力を判断して投資判断を行う必要があります。
投資指標の注意事項
これらの指標を投資指標として使用する際にはいくつかの注意事項があります.
単一の指標だけで評価しない:PER、PBR、ROEは単一の数値による評価であり、企業の健全性や投資価値を十分に反映しきれないことがあります。これらの指標だけでなく、他の財務指標や業績の動向も総合的に評価することが重要です。
業界平均との比較: 同じ指標であっても、業界やセクターによって適切な評価水準が異なります。同業他社や業界平均と比較して判断することで、相対的な評価ができます。
将来の見通しを考慮: 過去の指標だけでなく、将来の成長見通しや業績の方向性も注視することが大切です。高いPERやPBRが将来の成長を期待している場合は、投資判断に影響を与える可能性があります。
ROEの持続性: ROEが一時的に高い場合でも、それが継続的であるかどうかを確認する必要があります。一時的な要因や特殊な事象によるものである可能性もあります。
業績の透明性と信頼性: 公表された財務情報が正確で信頼性があるかどうかを確認することが重要です。信頼性の低いデータを基に投資判断を行うことはリスクを伴います。
リスクの理解: 高いPERやPBRは市場が将来の成長や収益性に期待していることを示す一方で、その期待が過大である可能性もあります。リスクを理解し、適切なリスク管理を行うことが重要です。
以上のことを踏まえて,皆さんの投資判断に役立てていただければと思います.
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