マイケル・サンデルの白熱教室 「民主主義って時代遅れなの?」。中国、復旦大学の学生たちが「中国は民主主義」と言うのはどういうことか。Facebook投稿転載。

高校の同級生、大原君が紹介してくれていたので、録画してあったのを見ました。面白かった。

NHK HPから。

〈マイケル・サンデルの白熱教室 「民主主義って時代遅れなの?」初回放送日: 2022年3月27日
ハーバード大学のマイケル・サンデル教授が「民主主義の危機」に迫る。民主主義はなぜ必要なのか?中国人はどう思っているのか?日米中の若者たちが熱い議論をぶつけ合う!
戦争やパンデミックで問い直される「民主主義の価値」を、サンデル教授が日米中の学生に問いかける。ウクライナ侵攻はなぜ許せないのか?国家主権はなぜ大事?アメリカでコロナ対策が遅れたのは、民主主義のせい?経済が発展し、生活が向上するなら、民主主義じゃなくても良いのか?世界は本当に民主主義と権威主義に分断されてしまったのか?自らも民主主義国だと主張する中国の学生たちにアメリカと日本の若者はどう反論する?〉



中国の復旦大学の学生六人が、中国は欧米型とは異なるが、民主主義のより優れた形であると主張していて、興味深い。大原君の投稿に書いた、僕のコメント、貼っておきますね。


「ありがとう、見ていなかったので、録画してあったの見ました。面白かったね。中国の学生たちが語っているのはルソー主義なのが面白かったよね。一党制か多党制かではなく、多政党のうちの一党は部分利益しか代表していない、特にアメリカのような二大政党だと、ほぼ50対50で対立していて、負けた方半分の国民の意見が代表されていないではないか、という批判が中国での西側民主主義批判の定番になっているらしいことが伺い知れた。
 ルソーは、個別利益(特殊意志)の単なる合算としての「全体意志」ではなく(例えば多数政党の連立政権というような形で民主主義が制度的にうまく機能したとしても全体意志にまあまあ近い線が政治的に実行されることになる)ではなく、「国民全体の、公共の利益を考えたときの意見を一般意志」に従って政治は行われるべきだと主張したわけだ。
 中国の学生たちが繰り返し言ったのは、中国の統治システムは、常に「一般意志」を志向して行われる。「特殊意志の総和としての全体意志」でしか政治が行われない欧米型民主主義よりも中国の統治システムは優れている」ということを主張し続けていたのだよね。ルソーの思想が独裁制を準備したという思想史上の批判、そのまま、中国は、批判的に言えば「独裁制」だが、中国学生は「一般意志を志向した民主主義なのだ」と語っているわけだ。
 その優位がパンデミックへの対応において示された、あるいはITの活用においてより速度の速い社会システムへの実装を可能にしている、というのが中国エリートの意見だよね。
 ルソー主義の弱点は、為政者が「一般意志」を志向しているかどうかがチェックできないことだが、それは「結果を見れば中国はパンデミックも制圧したし経済成長も続けていて多くの国民が生活の向上を実感しているからOK」というのが、今日の議論で、サンデルさんが日米の学生に投げかけて考えさせようとした問題。中国人学生はそのために呼ばれた、ともいえる。
 ハーヴァードの学生のうち何人かはこの議論を理解していたけれど、日本の学生はこれを議論するレベルになかったよね。残念な感じでした。

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