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海の底で本に出会う。
「遠泳と潜水/青と緑/リフレクション」
はじめに。
幼い頃、目で見て緑色のものを“青い”と口にする祖母を不思議に思った事がある。彼女とわたしの見つめる先には野菜がひとつ。祖母の口では“青い”と表現され、私の目や脳みそは“緑”と認識している。ふむ…?それって何だか不思議。おばあちゃん、あれはどう見たって緑でしょう。
私たちが始めたマガジン「遠泳と潜水」は、ふたりの書き手が同一のテーマに対し、思い思いに思考を巡らせ、文章を綴っていく。
それぞれが異なる時間軸で巡らせた思考や考察は、”誰かに宛てる”事で可視化でき、この白いキャンバスの上で時に共鳴し、互いを反映し、絡まっては解ける。その化学反応を楽しむために、ただ、書けばいい。そう思っている。
読む人は重複するタイトルとビジュアルに、一瞬、混乱するのかもしれない。戸惑いの後には、これから読む文章を選ぶ楽しさや、食べる順番によって心に行き渡る熱量が変化する、などの二次作用が起こるだろうと想像する。 ああ、楽しみ。
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まだ暑い暑い夏のこと。私はふと、”特定の一人”に寄せた文章が書きたくなった。特定一人の”あなた”に向けて。
リフレクション【reflection】
① 反射。反映。
② 内省。熟考。
自分以外の何かと関わりを持つ喜びのひとつに、その相手に反射する自分を見る、というのがあると思う。同じものを見ても、まったく違う感触や感想が生まれる事を、発見し楽しめるようになったのは最近。
その事象に対して内省し、熟考したい。
という欲望を手土産に、ノックした図書館のドア。その主は口角を少しゆるめて、私を招き入れた。
それにしても、図書館か。
自分という海の中の図書館では、どんな棚作りをするだろう。
あ、最近行ったちょっと特殊な本屋さんで素敵な棚があったんです。普段あまり意識していなかったのだけど、本という印刷物には規格があって、それに応じて製作が進められるために、そのサイズは画一化されている。
だから本棚に並べる時に、背の高さや奥行きを揃えておくのが一般的。
私の好きな本棚は、棚の最上段に「写真」と書かれていて、大きさも厚さもバラバラ。
個性、個性、個性。
それを見た瞬間に、胸の奥で何かが泡立って、とても惹かれてしまった事を今思い出した。
ひとつの枠の中で、美しく調和する事より、はみ出したり、他と違う風貌で存在しているものが魅力的に感じるのは何故でしょう。
それはやっぱり、羨望という言葉が最適なのかなと、「羨望」Enter で導かれる解釈を今Wikipediaで読んで、自分が持つ矛盾みたいなものを鏡に映してあぶり出してみる。
ここで感じる嫌な感じ、に目を背けてはいけないと、いうか少し好奇心すら覚えつつ、そろそろnoteの公開ボタンを押しておく。
これから、どこに行きましょうかね。
という気持ちを込めて。