ミュージカル「ムーランルージュ」を観劇した
私の第一趣味は観劇。
その中でもミュージカルが一番好き。
なのだけれど、コロナ禍を経て急激に値上がりの傾向にある。
そりゃまあ、いろんなものが値上がりしてるんでね。
納得はしてるんだけど。
客席は満杯。
うわー、この人たちみんな金持ちだねぇ、と思ってしまった。
平日料金で17500円、諸手数料入れると17830円だった。
1200円ほどのランチが半月食べられる。
むー。
そんな考え方は虚しい。
ランチでは得られないものを得るために来ているのだ!
などと言えるのはやはりとりあえずお金に困っていない人だけだよなぁ。
なんだかんだ考えながら、とりあえず劇場前に。
めっちゃチカラ入れてるのがわかる。
大阪では20公演しかやらない。
なのに装飾が凄い。
昔はこういうことをしてある公演も多かった。
近年では稀である。
ポスターのみ貼ってあるのが普通になった。
でもやっぱりこういうのを見ると上がるよね。
今から観るものへの期待値が膨れ上がる。
だって…
だって…
17500円だもの。
ついついそっちに気持ちが流れるの、よくない。
劇場内に足を踏み入れるとそこは赤の世界。
東京公演の噂を聞いていたからこういう写真を撮りたくて少し早めに来た。
私の席は後方のライトの下辺りなので、赤いライトがぐる〜とゆっくり回って自分を照らすのをもろに感じる席。
わー、今私全身真っ赤でこの赤の世界に溶け込んでるわ。
上手にはド派手な象。
下手にはド派手な風車。
なんだこりゃああ。
そう、これがムーランルージュ。
わかったようなわからんような。
開演前から舞台上に妖しい紳士と妖しい淑女がウロウロしたりジーっと止まったりしている。
映画を見てきてよかった。
世界観がわかってここに居るのと、わからなくて居るのでは少し違う気がする。
映画ではサティーンを演じるニコールキッドマンが、この世のものとは思えないくらい美しくて、私はメロメロになった。
男たちが狂わされてしまうのも無理はない、と素直に思った。
サティーンはその美しさがあってこそのムーランなのだ。
ここからは私の感想であり、私の好き嫌いであり、もしかしてファンのかたを嫌な気持ちにしてしまうかもしれないけれど。
先に謝っとく。
だけど私は舞台が、ミュージカルが死ぬほど好きなのだ。
だからなんだと言われたら、まあそんな感じで許して欲しい。
平原綾香のサティーン。
歌は上手い。そりゃ、あの上手い歌手、平原綾香だもの。
歌手だもの。
舞台の人ではないのよね。
いや、もう沢山舞台に出てらっしゃるけど。
私もこれが初めてではないけど。
やっぱりいつも歌手なんだなぁと思う。
芝居も舞台上での見せ方も物足りない。
いや、これは自分の好き嫌いだけかもしれないけど。
私の中のニコールが大き過ぎるのかもしれない。
相手役の甲斐翔真。
観るたびに成長を感じて驚かされる。
彼は10年後には間違いなくミュージカル界を引っ張っているだろうね。
彼の演じるクリスチャンはサティーンを慕う年下の青い青い青年役。
それがピッタリだった。
逆にダブルキャストの井上芳雄がこの歳若き未来しか見えない役をどう演じているのか、とても興味がある。
もちろん巧みな芳雄氏のことだから、上手いんだろうなぁ。
想像するだけでワクワクする。
観てないのにワクワクさせてくれる役者、それが井上芳雄なんだよなぁ。
でもやっぱ、この役は甲斐君がしっくりくると思うけど。
ダンサーさんたちが凄かったねぇ。
あの人たちの踊ってるのを観てるだけでもう満足だわ。
客席もウォ〜とかヒューヒューとか日本ぽくない。
ブロードウェイみたい。行った事ないけど。
何度も観てる人達が盛り上げてる感じね。
手拍子もそういう曲の時は間髪入れずに始まる。
どんな世界も「大好きだー!」っていうオタクたちに支えられてるんだよね。
他人事みたいに書いてるのは、多分今回後方席だったから。
私にとって梅田芸術劇場の1階20列より後方は「俯瞰席」と呼んでいる。
少し引いて舞台と舞台に魅了される人々を観る席。
ここに座って尚、もう一度観たいな〜って思わせてくれる舞台は私的に素晴らしく気に入った舞台ということになる。
最近だと「アナスタシア」
23列目で観たけど、引き込まれてしまって目の前で観ているかのような気分になった。
再演を待ち望んでいる。
ムーランはというと。
私的にはだけど、くどいほど私的にだよ、と付け加えつつ言うならば、もう一度観たいとまではいかなかったなぁ。
前評判や観た人の感想やらで勝手にイメージを作ってしまっていたようだ。
もっとショーナイズされた作品だと。
普通にお芝居なのか…と。
エリザベートのように音楽で綴っていたりするものではないのか…と。
面白かった。
上手くできていたし観られて良かったと心から思う。
だけど再演かかっても、行かないだろうな。
充分堪能できたからね。
ただ、「劇場に入って座席に腰掛けて開演を待つ」という行為が最高に好きなんだけど、その時間の豪華さはムーランに勝るものはないのかもしれない。
それを味わえた事に感謝。
ありがとう、ムーラン・ルージュ。