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生理中のホルモンバランスってどうなっているの?腹痛や眠気のメカニズムを知ろう【医師監修】
■つらい生理の悩み…どう解決すればいい?
思春期を迎えると、女性には生理が来るようになります。
お腹の痛み、眠気、ダルさ…生理前や生理中は色々な体調不良が起こるもの。しかも、生理のモレが気になって思い切り運動することもできない…。
どうして女子ばかりがこんな思いをしなければならないの!?と思ったことがある方もいるでしょう。
確かに生理は女性にとって煩わしいものではあります。
しかし、生理が来るということは身体が健康的に成長している証拠。いずれ妊娠や出産を叶えるために必要な過程でもあります。
そこで今回は、生理とはどのような現象なのか、どうして体調が悪くなるのか…生理に関する疑問点について詳しく解説します。
■生理はどうやって起こるの?
まず、生理はどのようなメカニズムでやってくるのか詳しく見てみましょう。
生理は「血液」が膣から出てくるものだと思っている方はいませんか?
確かに生理には血液も含まれますが、大切な成分は「子宮内膜」と呼ばれる組織です。
子宮内膜とは、子宮の内部を覆うようにして増殖する組織のこと。
卵子と精子が受精した後に子宮の中に根を下ろす…つまり着床が生じる場です。生理はこの子宮内膜が子宮の壁から剥がれ落ち、血液と共に膣から排出される現象なのです。
・生理は女性ホルモンバランスの変化によって生じる
個人差はありますが、初めての生理が来てからしばらくすると不規則だった生理の間隔は少しずつ規則正しくなっていきます。
その周期は一か月に一度ほど。どうして定期的に生理が来るのか疑問に思ったことがある方も多いでしょう。
その理由は、生理が女性ホルモンバランスの変化によって生じるものだからです。
エストロゲンとプロゲステロンと呼ばれる二種類の女性ホルモンは約一か月の周期で分泌量が変化し、それによって子宮内膜の増殖と脱落を繰り返すのです。
具体的には、生理が来て増殖した子宮内膜が剥がれ落ちると、身体は次の生理に向けて準備を始めようとします。すると、卵巣からはエストロゲンの分泌が盛んに。
エストロゲンには剥がれ落ちた子宮内膜を増殖させ、卵巣内の卵子を成熟させる作用があります。
そうして2週間ほど経つと、成熟した卵子が卵巣の外に飛び出す「排卵」と呼ばれる現象が生じます。
すると、次は着床に向けて増殖した子宮内膜の環境を整えるプロゲステロンの分泌が盛んになります。
そして、さらに2週間ほどして着床が生じなければ身体は「妊娠の可能性はナシ」と判断。
エストロゲンとプロゲステロンの分泌量は一気に減り、妊娠に備えていた子宮内膜が剥がれ落ちて生理になるのです。
女性の身体は、生理を迎えて周期が安定すると閉経までこのようなエストロゲンとプロゲステロンの分泌バランスの変化が繰り返されます。
生理は女性にとって憂うつなものですが、妊娠に備える大切なものであることがわかりましたね。
生理が定期的に来るということは、女性ホルモンの分泌が正しく行われている結果。健康の証でもあるのです。
■生理前や生理中の体調不良はなぜ起きる?
生理はエストロゲンとプロゲステロンという2種類の女性ホルモンの分泌バランスの変化によって引き起こされます。
これらのホルモンは女性の体調の良しあしに深く関わっているため、生理の周期によってつらい症状に悩まされるという方も少なくありません。
生理前や生理中には身体にどのような変化が生じているのか詳しく見てみましょう。
・肌荒れがひどくなる
エストロゲンは「美人ホルモン」とも呼ばれ、お肌や髪の毛の状態を美しく整える作用もあります。
一方、プロゲステロンは体温や皮脂の分泌をアップさせたりする作用が。
生理前や生理中は肌荒れが目立ちやすく、生理が終わる頃になると改善するという経験がある方も多いでしょう。
これは女性ホルモンバランスの変化による影響なのです。
・だるさや眠気
上述した通り、プロゲステロンは妊娠に備えて体温をアップさせる作用もありますので、排卵を終えてから生理前はいつもよりも体温が高い状態が続くことになります。
そのため、生理前は身体がポカポカした状態となってだるさや眠気に悩まされるという方も多いのです。
・お腹や腰が痛い
生理の悩みとして最も多いのは、お腹や腰の痛みと言ってよいでしょう。中には学校生活に支障を来すほどの痛みに襲われるケースも。
このような生理の痛みは、剥がれ落ちた子宮内膜を残らず排出するために子宮が収縮を繰り返すことによって引き起こされます。
その際にプロスタグランジンなどの痛みを引き起こす物質が産生されるため、お腹や腰に痛みが生じるのです。
■生理は女性にとって大切なもの…でもつらい症状は我慢しないで!
生理は女性の健康バロメーターとも言われており、定期的に生理が来るということは健康な証拠です。
生理の周期がバラバラ…もう何か月も来ない…という場合は女性ホルモンが正常に分泌していない可能性が考えられます。
しかし、生理はだるさや眠気、腹痛などさまざまな不快症状を引き起こすのも事実。憂うつなものですね。
生理のつらい症状に悩まされたときは、無理をせずに痛み止めを飲んだり、ゆっくり休んだりして身体を労わってあげるようにしましょう。
これから閉経までの長い間、皆さんは生理とうまく付き合っていかなければなりません。自分なりのやり過ごし方を見つけるとよいですね。
Q.生理が来ない。これって変?
生理はエストロゲンとプロゲステロンの分泌バランスの変化によって生じます。
エストロゲンとプロゲステロンの分泌バランスは約1か月の周期で変化しますが、思春期頃はまだまだ卵巣の機能も未熟。一度生理が来たのに再び来なくなった、3か月以上生理が来ない…ということはよくあることです。
ただし、女性ホルモンの分泌バランスは非常にデリケート。
過度なダイエットやストレスなどの影響でバランスが乱れると生理が来なくなってしまうこともありますので注意しましょう。
また、もちろん、生理が来ないということは妊娠の可能性も考えなくてはなりません。思い当たる行為がある方はすぐにご両親や先生などに相談しましょう。
Q.生理が終わらない。これって変?
通常であれば生理は3~7日ほどで終了します。8日以上続く場合は「過長月経」と呼ばれる病気の可能性も。
ホルモンバランスの乱れや子宮の病気などが背景にあると考えられます。出血する量が増えることで貧血になってしまうケースもあるため、生理がダラダラと続く場合は早めに病院に行くようにしましょう。
女性ホルモンの分泌を安定させて生理周期を整えるため、低用量ピルなどによる治療が行われます。
Q.生理中のイライラの抑え方は?
生理前や生理中はついイライラしてしまう…という方も少なくないハズ。
このような心の不安定さも女性ホルモンバランスの急激な変化によるものです。
イライラしてしまうのは仕方ないことと考え、うまく付き合っていくしかありません。趣味に没頭したり、おいしいものを食べたりと自分なりの解消法を身に付けましょう。
どうしてもイライラがおさまらない…という方は抑肝散や加陳皮半夏などの漢方薬が気持ちを落ち着かせてくれることもありますよ。
生理は女性ホルモンの変化によって生じるものです。
みなさんはこれから長い期間、毎月訪れる生理と付き合っていかなければなりません。正しい知識を知って、これからの生活に取り入れていきましょう。
生理前にイライラ。
— ~本当に知りたい性実践~私たちの性教育 (@WATASEIKYOUIKU) November 21, 2020
八つ当たりしたり、ユウウツになったり。
自分でもコントロールできない…
なぜ?
もしかしてPMS(月経前症候群)?#わたせい #性教育 #~本当に知りたい性実践~ pic.twitter.com/Lf888YCf13
生理中にイライラ…
— ~本当に知りたい性実践~私たちの性教育 (@WATASEIKYOUIKU) November 26, 2020
食欲は止まらないし、
何をしてもユウウツ。
これって、私だけ? #わたせい #性教育 #~本当に知りたい性実践~ pic.twitter.com/9vFwELfAIN
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・医師監修:成田亜希子先生
一般内科医として幅広い分野の診療を行っている。
保健所勤務経験もあり、感染症や母子保健などにも精通している。
日本内科学会、日本感染症学会、日本公衆衛生学会、日本健康教育学会所属。