新規事業の実践論 - チェックポイント
社内起業に至るためのWILLは後から形成可能
1. ゲンバに触れて深く対話
根深い課題がないのではなく、知らないだけ
2. ホンバを訪れ、刺激を受ける
新規事業開発の最前線
ゲンバとホンバでの体験を誰かに話す。なるべく領域に近い人。
会話を終える前に、小さくても前に進む約束をする。
創業メンバー
人数と役割が重要。
WILLが同じ、役割の違う少人数
コミュニケーションスピードの点から、3人以下がベスト
ウィークリーでもデイリーでもなく、アワリーで情報共有
新規事業開発は、既存事業ではない情報量を、必要なだけ期限内に集め切ること
チームレジリエンスがチームの力として備わっている。
レジリエンスの観点からは、ある程度多い方がよい。1人だと挫ける。
人数が多ければ多いほど捌ける業務量は増える。
自分たちの事業で必要な役割を書き出す。
絶対に外部委託できない役割はなにか?
外部委託しないと決めたことが、その事業の競争優位性。
創業チームに必要な3つの力。どれに偏ってもだめ。
1. 異分野をつなぎ、ネットワークする力(ビジネスチャンスは産業を跨いでいるので、異業種の人との交流が重要)
2. やりきる力(新規事業を実践する過程は、細かな作業と局地戦での勝利)
3. 自分たちが何を知らないかを知っていること(新規事業とは自組織が未知の領域。知らないことを把握するには越境的な厚い教養が不可欠)
新規事業6つのステージ
新規事業立案の段階で、「儲かるのか」「具体的なのか」「やる意義があるのか」という質問は禁止。
判断ロジックは新規事業の段階によって異なる。
Entry期
事業仮説を構築する。
顧客 - 顧客は誰か?そういう人・企業が本当に存在するか? -
ペルソナなどできめ細やかな顧客イメージを生み出す。課題 - 課題は何か?どれほど根深いか? -
課題について明らかにする。
お金を払ってでも解決したいと思っているか?
創業リーダーは思い込みで課題を大きく認識している可能性もある。ソリューション仮説 - その顧客のその課題はその方法で解決可能か?代替手段はないか? -
実現できるかはわからないが、そのソリューションで確実に課題が解決されるかどうか?検証方法:顧客、課題、ソリューション仮設が成立するための検証方法は何か?期間、予算内でできそうか?
「顧客」が「課題」を「ソリューション」で解決できて、そこに対価を支払うことを実証する。
MVP期への昇格条件
顧客が課題を持っていて、ソリューション仮設によって解決できそうであること
上記を予算と期限内に検証できそうであること。
そのプランにイメージが持てること。
MVP期
実際に課題を持った顧客に対して、ソリューション仮説の実証。
投資可能であり、将来儲かる構造を持っていることの実証。
顧客がどのくらい支払うか、支払い続けられるか、ソリューションにかかる費用、どのくらいで黒字化可能か。
SEED期への昇格基準
事業仮説が実証され、事業計画が成立する。
SEED期
実際に商売を成立させて、グロースドライバーを発見する。
実際に製品を組み立てて、リリース。
MVP期で実証されていてもSEED期でひっくり返ることが半々であり得る。
SEED期で撤退となっても人材が育つし、失敗自体が資産となる。
セールスやマーケティングを行う。
LTV > CACが成立するかは注意が必要で、達成のためにはセールスやマーケティングでの「発明」が必要。
ALPHA期への昇格基準
商売が成立し、グロースドライバーを発見していること。
ALPHA期
顧客が増えれば利益が増える状態。
資金を投下して顧客数と売上・利益を拡大。
獲得可能な新規顧客は徐々に減り、LTV > CACの式が成立しなくなる。
マーケティング・セールス方法や事業計画を見直す。
人員増加により、立ち上げ経緯の知らないメンバーなどとのコミュニケーションコストが増加。
情報共有の仕組み化、マニュアルや業務フローの整備が求められる。
競合が出現する。
スタートアップに比べて、企業内新規事業は上司や経営への説明責任を果たしながら意思決定しなければならない。
なるはやで危機を察知してアラートを上げ、修正計画の立案と承認。
BETA期への昇格基準
グロースが実現できたかどうか。
BETA期
持続的な事業活動。
成長率を落とさず、既存事業と比較可能な最小規模まで到達すること。
経営が無視できない規模の売上。
1つの事業部として、営業・マーケティング手法や社外との多様なプレイヤーと柔軟に成長戦略を作り続けること。
既存事業と遜色ないガバナンスを構築すること。
社内外からの圧力が増え、見過ごされていた小さな問題が大きなリスクになりうる。
ステージ6への昇格基準
既存事業と比較可能な最初規模まで事業が拡大し、既存事業と遜色ないガバナンスの構築
EXIT期
既存事業を凌駕する規模になるために、投資戦略を策定。
買収や提携なども考慮。
新規事業が本業の1つになるために、他事業との関係性の整理が必要。
社外向けに位置付けを整理。
新規事業を卒業する基準
本業を凌駕する規模への投資戦略と、経営陣が本業としての説明責任を果たせるほどに位置付けが整理されている状態。
ENTRY期~MVP期の新規事業の立ち上げ方
既存事業での正しい進め方は、新規事業立ち上げ時のやってはいけないこと。
仮説を顧客に持っていく、それをだいたい300回転。
それにより才能や経験を問わず新規事業が立ち上がる。
6ヶ月間で300回転なら1日に2回転。
確認・事例・調査・会議・資料・社内・上司・先輩・競合が入る余地はない。
MVPの6レベル
ペーパー
手書きのコンセプト、ただの企画書など。想定顧客に見せる。アナログ
実際のシステムを手作業で実現。コンビネーション
他社製品を組み合わせる。オンリービジュアル
3のありものの組み合わせに対して、表面上のデザインをオリジナルなものにして提供プロトタイプ
ちょっとだけ作る。ワードプレスやペライチ。MVP
検証すべき項目だけを作り、その他はペーパーやアナログ、コンビネーションで。
ラフなものから重いものまで、徐々に移行して300回転。
日本企業は1回転が遅すぎる。いかに作らず、高速に検証するか。
顧客のところへ行くスキル
次に会うべき顧客を見つけるスキル
ヒアリング時には常に、この人以上に根深い課題を持った人はいないか?を意識する。
構造や関係者をヒアリングする中で、次にヒアリングしようという人が浮かび上がってくる。アポイントを獲得するスキル
この人だと思った人には、何としてもアポイントを取る。あらゆる手段で。深い情報を引き出すスキル
= 仮説を押し付けないスキル。(つい顧客を説得してしまう)
事実のみをヒアリング。
バイアスのかかりにくい質問の仕方をする。(いくらなら払いますか?ではなく、類似商品のこれにいくら払っていますか?)
市場規模のシミュレーション
MVP期に必要なシミュレーションは、理論上到達可能な最高売上。市場規模ではない。
いち顧客あたりの平均売上 × 獲得可能な顧客数
SEED期の新規事業の立ち上げ方
SEED期では、サービスをローンチしただけで成果を上げた気になるが、間違い。
LTV < CACの状態でマーケティングに予算を投下することは、予算の食い潰しでしかない。
LTV > CACにするために、CACを下げずLTVを高める。
LTVの上がる見込みのないサービスの営業コストを高めて売るよりも、まずサービスの質を向上させれば、かけられる営業コストが増えて打ち手も増える。
SEED期に必要なのはマーケティングの4Pではなく「3P」。
Product, Price, Primary Customer Success
リリース直後はProduct, Priceを柔軟に修正しまくり、一番最初の顧客に対して買ってよかったという体験を作り上げる。
Primary Customerとは、イノベーター理論でのイノベーターの中のイノベーターの一人。
リスクが高い中で、製品にお金を払うクレイジーな存在。
その唯一の顧客をもとに、2人目以降の顧客にコミュニケーション可能。2人目の顧客にとっても、以前に顧客がいる状態は安心。