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関節の可動域について考えてみる

私たちの身体を動かす部位である関節ですが、ヨガやピラティスを行なっているとこのような質問をよく受けます。

どの程度まで動かしたら安全なのか
ストレッチは痛みを我慢しないと効かないでのはないか
そもそも関節が緩い人にはどう対応すれば良いか    など

今回は関節の構造を踏まえて、どのように関節の可動域を捉えれば良いかについて考えていこうと思います。


【関節の構造】

まず関節の構造についておさらいしてみましょう。

こちらの記事でもあげていますが、今一度確認です。

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靭帯
 ストッパーとしての役割を持ち、関節を安定させる。
 強靭な結合組織で、主にコラーゲン線維
 硬さは遺伝の影響も受ける
 緩くなってしまうことの問題の方が大きい(関節弛緩性:Laxity)

関節包
 2層構造になっていて関節を覆う
 関節の内外を分ける仕切り

滑膜
 滑液を出し、関節の潤滑や水分・栄養供給などに関わる

関節軟骨
 摩擦係数は非常に小さく、ほぼゼロに近い
 0.5〜2mmの厚さで荷重関節でより厚い


【いわゆる正常可動域】

私たちの各関節の可動域はある程度の基準が決まっています。

(参考)関節可動域表示ならびに測定法

この測定方法ですが、原則としては他動運動の可動域を測定することになっています。
測定の時には対象の方の関節を検査する方が動かして計測する形になるので、そのときに筋肉の出力などは考慮しない形になります。
純粋に関節周囲に抵抗を感じられる範囲や痛みの出ない範囲であることを確認して、関節周囲の組織の柔軟性を評価します。

他動運動で抵抗感が少ない範囲のはずなのに、自動運動になると動かすことができないということは、そこには筋出力がうまく発揮できない原因が隠れていることが多いです。

また、このときに具体的にどの組織が抵抗となっているのかはEnd feel(エンドフィール)という考え方が重要になります。

エンドフィールとは、関節を動かした最終域でどのような抵抗感が感じられるかといった考え方です。

大きく分けて次の3つがあります。

骨性:骨と骨がカチッとぶつかる感覚
関節包性:関節内で靭帯や関節包が引き伸ばされる感覚
軟部組織性:関節周囲の筋肉や皮膚など浅い組織の抵抗感

ある程度の経験は必要ですが、これらの抵抗感を意識しながら動かして、関節のどの構造が制限因子になっているのかを確認することも大切です。


【関節可動域の制限について】

関節可動域の制限についてですが、上で記載したように主にエンドフィールで把握する組織が制限因子となってきます。

ピラティスやヨガなどのボディーワークで主に解決することが期待できるのは軟部組織性の制限であると考えています。

軟部組織性の制限は主に、筋肉・筋膜・皮膚などになります。
また、このうちの筋肉の硬さについては筋緊張の影響も大きく受けます。
伸ばしていて痛みを感じたりすると、無意識だとしても筋緊張は高まり効果的に組織を伸張させることが難しくなります。
原則は痛みの出ない範囲でゆっくり動かすことがポイントになります。
このときに自動運動も交えて行えると、相反神経抑制をはじめとした生理学的な筋緊張の抑制作用も期待できるため、ボディーワークの有効性が発揮されると思います。

骨性の制限については、そもそもの骨格の形状や関節の形状による部分になってしまうので、これを無視して無理な関節運動を行うと不要な怪我につながってしまう可能性が高いです。

関節包や靭帯の制限についても、基本的にこれらが制限されるほどの関節可動域の制限は動かさない期間が4週間以上持続した場合になります。
その場合は、ある程度専門的な徒手的介入などが必要な場合も多いです。


【まとめ】

関節可動域を把握する上では、関節構造を頭に置いた上で、具体的にどの組織が制限となっているのかをその都度考察することが重要です。

注意すべきなのは骨格の制限などの場合に不用意に動かしてしまわないこと。それを無視して動かすと本来あるべきでない代償などが二次的に起きて、結果として身体の痛みなどに繋がるケースも多いです。

伸ばす時は気持ちの良い範囲で、過度な痛みは筋緊張を上げてしまうだけなので、無理なく動かすようにしていきましょう!


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