呼吸に関わる筋肉
今回は呼吸に関わる構造として、骨格に続いて筋肉に関してお伝えしたいと思います。
呼吸に関しては吸うときに主に働く筋肉と吐くときに主に働く筋肉がそれぞれあります。
主な吸気の筋肉
・横隔膜
・斜角筋群
・肋間筋群
主な呼気の筋肉
・腹筋群
・胸横筋
・肋間筋群
では、それぞれについて細かく見ていきましょう。
1.横隔膜
横隔膜は息を吸うときの70〜80%を担っていると言われており、呼吸に関わる最も重要な筋肉といっても過言ではありません。
横隔膜は3部構成
・下部の左右3本の肋骨の上縁から起こる肋骨部
・剣状突起の後面から起こる胸骨部
・第1、2、3腰椎に付着する脚部
これらの3つの部位の末端はドーム状になった筋肉の上で腱中心という部位を作ります。
横隔膜の作用
・横隔膜が収縮し下降することで胸郭の上下幅が広がる
・横隔膜が下降することで腹横筋などの腹筋群の張力が上がり、腹圧が上昇し下位肋骨は側方へ広がる
・腹圧が上昇することで横隔膜が安定されると横隔膜の肋骨部が続いて収縮して中位と下位の肋骨が挙上する
以上のことからわかるように、横隔膜が収縮することにより胸郭が広がり呼吸が入ると同時に腹部の内圧も高まるため、呼吸に伴って体幹の安定にも一役買っていることが考えられるのではないでしょうか。
2.斜角筋群
前斜角筋・中斜角筋・後斜角筋は第1・2肋骨に付着して、頚椎が安定しているときに両側性に働くと上位肋骨と胸骨を持ち上げて胸郭の容量を増やします。
特に息を吸うときには、横隔膜と一緒に活動することが知られています。
3.肋間筋群
外肋間筋と内肋間筋に分かれてそれぞれの肋骨の間に存在している筋肉です。
表面にある外肋間筋は外腹斜筋の走行と似て上から下方向へ走行しており、深層にある内肋間筋は内腹斜筋の走行に似て下から上方向へ走行します。
肋間筋は吸気と呼気のどちらにも関わっている筋肉です。
主に外肋間筋が吸気、内肋間筋が呼気に関わっていると言われています。
4.腹筋群
腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋からなりますが、呼吸においては主に強制呼気の時に作用すると言われています。
腹筋群が収縮すると胸郭が屈曲方向へ動き、肋骨と胸骨が下がります。このことにより咳やくしゃみを行うように胸郭の内容量を急激に減らしたり、限界まで息を吐く作用を行うことができます。
また、間接的に腹筋群が収縮することで横隔膜を持ち上げることもできるため、胸郭から空気を出すのを助けるために腹筋の作用で横隔膜をうまく利用することもできます。
まとめ
今回は呼吸に主に関わる筋肉に関して、簡潔にお伝えしてみました。
ボディーワークなどを実践する中で呼吸への意識は非常に重要になりますが、これらの筋肉の位置や働き方を知っておくことで、より身体への意識が明確になります。
指導の場においてもより的確に、どのような身体感覚を意識すれば良いかといったようなキューイングなどを行う上で参考にできるかと思います。
解剖学にもぜひ少しずつ慣れてみてください!