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資金調達のシリーズ、ラウンドからサロンの成長を考える

美容業界のことを考えるのに、別の業界のことや他の領域のことを「抽象化→具体化」の思考をよく行います。

他の業界や別の物事を美容業界に置き換えることが、美容業界を俯瞰で捉え、新しい気づきや価値観を生み出す目的で行っています。

今回は、企業が成長のために必要な資金を調達する段階のプロセス「資金調達のシリーズ、ラウンド」をフレームワークとして美容室の成長に置き換えて考えてみます。


【結論から】

美容室の成長を「企業の資金調達のラウンドやシリーズに置き換えて」考えてみる。

重要なのは「成長の段階を明確にして、具体的な行動を導き出す」ことだと結論づける。

美容室に資金調達のラウンドやシリーズは、不要かもしれないが「フレームワーク」として取り入れることには、十分な意味を感じる。

美容室の成長段階を整理し、外部のステークホルダーや従業員とも共有できる共通言語を作ることができる。

【資金調達のシリーズ、ラウンドとは】

今回は、企業が成長のために必要な資金を調達する段階のプロセス「資金調達のシリーズ、ラウンド」をフレームワークとして美容室の成長に置き換えて考えてみます。
美容室の成長を、ただなんとなく経過するのではなく、成長ステージに応じて目的や行動を整理するために置き換えます。

事業の成長や企業の拡大を示すものなので、美容室の成長にも役立ちます。これをフレームワークとして捉えてみます。

[主なラウンドの簡潔な説明]

1. シード(Seed)ラウンド
• 目的: 事業の立ち上げに必要な資金調達。アイデアを形にする段階。
• 資金源: 自己資金、家族や友人、エンジェル投資家。
2. シリーズAラウンド
• 目的: 事業モデルの確立。収益化を目指し、顧客基盤やプロダクトを拡大するための資金調達。
• 資金源: ベンチャーキャピタル(VC)など。
3. シリーズBラウンド
• 目的: 事業の拡大。新市場進出や規模拡大、組織強化のための資金調達。
• 資金源: VC、投資ファンド。
4. シリーズCラウンド以降
• 目的: 成熟段階での規模拡大や新分野への進出。場合によっては上場準備や買収資金調達も含む。
• 資金源: 投資ファンド、機関投資家。

各ラウンドは事業の進化に合わせて行われ、投資家から資金を得る代わりに株式の一部を提供するケースが多くみられます。
このように事業の成長を可視化できる、定量的に測ることができます。このような明確な内容を美容室の成長に置き換え、フレームワークとしてみます。

【美容室のシリーズとラウンド】

美容室の成長や事業の成長に、スタートアップの「資金調達のシリーズ」や「ラウンド」の概念を置き換えるアプローチです。
この置き換えのアプローチを行ってみると、、
美容室の成長段階を整理し、外部のステークホルダーや従業員とも共有できる共通言語を作ることができると感じました。
以下、考え方を整理してみます。

1. 資金調達ラウンドを美容室成長に適用する視点

スタートアップでの資金調達は、成長のための外部資本を集めること。。。さらに、各段階での事業モデルの成熟度を示します。これを美容室に置き換えると、各「ラウンド」が美容室のビジョン・規模・市場戦略の進化を表すように定義します。

1、シードラウンド:設立・初期準備段階
2、シリーズAラウンド:事業モデルの確立と拡大の始まり
3、シリーズBラウンド:拡大期
4、シリーズCラウンド:成熟期と多角化

2. 美容室の成長ラウンドの例

《シードラウンド(Seed Round):設立・初期準備段階》

美容室の設立に向けた基盤作りのフェーズです。美容室のビジョンやサービスコンセプトを形にし、初期運営をスタートするために必要な資金やリソースの確保としています。

• 内容: ビジョンの明確化、初期資金の準備(個人資金・親しい投資者、公庫)

[ 美容室の場合]
①ビジョンの明確化: 開業準備、コンセプト策定
「どんな美容室にしたいか?」という軸を固める段階。
例: 「地域密着型のファミリー向け美容室」「高価格帯のラグジュアリーサロン」それをもとに「ターゲット顧客層、価格帯、提供するサービス」を決める。事業のセンターピンになるところです。
ここを明確化することで無駄が少なく、今後の事業展開のやりやすさが変わります。
さらに、地域特性(立地条件、周囲の競合など)を分析し、賃料やアクセス性を考慮して物件を選ぶ。

②内装や機材の購入資金を自己資金または借入で確保
自己資金の投入や親族・知人からの支援を受ける。
必要に応じて公庫、銀行から小規模融資を受け、店舗の賃貸保証金、内装工事費、機材購入費を準備。

③ 顧客基盤の確立
前職からの顧客への連絡や来店促進。
再来店につながる施策を開始。

④指標: 最初の収益が発生、初回の顧客フィードバック
来店者アンケートや口コミサイトでの評価を収集し、改善点を洗い出し、行動。PDCAのサイクル回し。

《シリーズAラウンド:事業モデルの確立と拡大の始まり》

• 内容: 収益化モデルの実証、マーケットフィットの確認

シリーズAラウンドは、美容室の基盤がある程度整い、収益モデルを検証・確立する段階です。このフェーズでは、顧客のリピートを促進し、安定した売上を作るとともに、成長のための施策を進めます。具体的な指標を活用して事業モデルの持続可能性を判断し、拡大への準備を整える、、、このように定義してみました。

[美容室の場合]
①定期的な顧客を持ち、安定した売上が発生
来店サイクルが安定している、または短期間の顧客(VIP客)が持てているか、、そのVIP客から安定的な売り上げが発生しているか、、ここの測定となります。

② 従業員の増員や、初めてのサロンキャンペーンを展開
席数、利益に余裕があるならば雇用を行い、さらに利益拡大を狙う。
②店舗管理システムや予約アプリ導入などの効率化を図る
ここで重要なのは、業務の効率化ですね。人が増え、仕事の量が増えると無駄が発生します。そこで業務の効率化を行います。

③指標(美容師の3大数値)
月間売上、来店サイクル、総単価(技術+店販)
この3大数値をまとめ上げ、精度との高い予算を組み、実行します。
また、新規顧客獲得コスト(CAC)と顧客生涯価値(LTV)の管理を行い「CAC を下げ、LYVの最大化」を図ります。

《シリーズBラウンド:拡大期》

• 内容: 規模の拡大と効率化の両立

この段階では、美容室が安定した運営基盤を確立した後に、規模拡大や事業の効率化を進めるフェーズです。単なる売上増加ではなく、複数の要素(従業員の満足度、顧客体験の向上、ブランド力の強化)をバランスよく追求し、次の成長ステージに進む準備を行います。

[美容室の場合]
①2店舗目やフランチャイズ展開を開始
②高単価のサービスを開発し、客単価の向上を図る
③ブランド力を活用した新規顧客獲得戦略
大きく予算も必要な取り組みが手がけられるようになります。
まさに拡大時期、リスクを取りながらもリターンを大きく得られるような準備をします。

④指標
• 店舗の売上全体の成長率
「既存顧客のリピート率が向上し、月間売上の70%を占める」「新規顧客の獲得が前年比20%増」など、店舗として新規客が当てになっている不安定な経営ではなく、顧客からの支持を得て芯のある経営ができているかなどを確認します。
• 従業員の満足度や離職率
美容室の成長に直結する重要な要素。特にスタッフが美容室の成長を支える基盤ですよね。席はあるけどスタッフがいない、、、固定費が圧迫して成長できない。または倒産、、、なんてことも美容室は往々にしてあります。従業員満足と離職率は無視できない指標です。
ここの数値も安定した経営体制かを定量的に判断できます。
• ブランド認知度(地域内での知名度)
美容室の競争力を高めるため、ブランド力の強化は見過ごせません。これには、地域内での知名度や顧客との関係性を深めるための施策が重要です。
ブランド認知度の解釈は「対美容師」と「対顧客」に切り分けています。それぞれが成長すると合わさることもありますが、基本的には切り分けて運用を考えています。

《シリーズCラウンド:成熟期と多角化》

 内容: 大規模化や多角化

シリーズCラウンドは、美容室事業が大規模化し、成熟した経営基盤を持ちながら、さらなる成長や収益多角化を目指す段階です。このフェーズでは、規模の拡大や業態の広がりを通じて、安定収益を確保しつつ、新たな市場機会を探ります。

[美容室の場合]
①全国展開、他業態(エステ、ヘアケア製品販売など)への進出
 サロンの規模に応じたターゲット設定
高単価店舗と低価格店舗のエリア別展開など。顧客セグメントの細分化をすることで、エリアの中でも競合せず拡大できる。

② 投資家を巻き込む資本提携や事業売却も視野に
投資家(出資企業など)を巻き込むことで資金調達だけでなく、ブランド価値向上や経営リスク分散を目指す。
美容業界に強い投資ファンドや大手美容企業と提携し、さらなる成長資金を調達。たとえば「大手ヘアケアメーカー」と共同で商品を開発することで、知名度と信頼性を向上など。
また、M&A(買収・合併)を通じて、既存店舗ネットワークの拡大を迅速化。美容業界もM&Aがありますが、まだまだ少ないです。筆者はゼロから美容室を作ることよりも、M&Aをして1からnに成長させる方が興味があります。

シリーズCラウンドを成功させることで、ビジネスモデルが完成し、他業態展開や地域拡大が可能となります。また、上場やさらなる資本提携の準備も視野に入れることができます。これにより、美容室が単なる「個人事業」から「事業体」として社会的影響力を持つ存在へと成長する土台が築かれます。

資金調達のラウンドやシリーズをフレームワーク化して活用すれば、サロンの成長の大まかな目安、具体的な行動などに落とし込めます。また、外部説明や従業員との成長ビジョン共有が格段に進むと思います。

【まとめると】

美容室の成長を「企業の資金調達のラウンドやシリーズに置き換えて」考えてみる。

重要なのは「成長の段階を明確にして、具体的な行動を導き出す」ことだと結論づける。

美容室に資金調達のラウンドやシリーズは、不要かもしれないが「フレームワーク」として取り入れることには、十分な意味を感じる。

美容室の成長段階を整理し、外部のステークホルダーや従業員とも共有できる共通言語を作ることができる。


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