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小さな会社が外国人採用に挑戦した #4 新人インタビュー編

これまで、

#1 出逢い編
#2 コロナ禍突入編
#3 入国準備編

の3章でお届けしている、「小さな会社が外国人採用に挑戦した」シリーズ。最終回として、今回は入社したインド人メンバーと社長・花島とのインタビューをお届けします。


(花島)
今日は社長ブログとして、弊社のインド人学生採用第1号であるスチェータさんにインタビューを行いたいと思います。カジュアルに、いくつかのトピックについて話せればなと。

ではまず最初に聞いてみたいのですが、インドにいる時は、日本で働くことに対してどういうイメージを持っていましたか?どんなビジネスマンやクリエーターになるっていうイメージでした?

(スチェータ)
日本で契約を結ぶ前は「タスクをこなすこと」が自分の仕事になると思っていて、タスクとはつまり、AIやMLの領域でコーディングをしたり、ソフトウェア開発をすることであるという風に思っていました。ですが、会社に入ってからは会社というものが、実はそういう風に動くものじゃないんだということを知りました。実際にはクリエイティブシンキングがもっと求められるし、 1人でやらなきゃいけないことが多いし、仕事効率の管理も自分でやるものだったということに入社してから気づきました。
ですが、タスクをこなす以外にももっといろんな勉強をすることが求められてる環境は気に入っています。そもそも私は新しいものを色々冒険して、探っていくのが好きなので、そこは面白く感じながらやれています。

(花島)
この環境は日本の全ての会社がそうという訳ではなくて、ダフトクラフト特有のものだとは思いますけどね。普通、日本以外の国の仕事の仕方は多分ジョブディスクリプションによるもの。自分のタスクはここまでですっていうのが決まっていて、「ジョブジョブディスクリプションに書かれていないことはしません」っていうのが一般的だよね。
だけど、ダフトクラフトでは、エンジニアにもクリエイティブシンキングやUI/UXの知識、プランニングスキルが求められて、テストも自分たちでやっていて。ダフトクラフトのメンバーにはこの環境を面白い・楽しいと思える人であることが求められますね。

(スチェータ)
エンジニアなのにデザインやプランニングのスキルも求められるというこのダフトの環境は、私にとっては幸運なことで、新しいことを学ぶチャンスがたくさんあることをすごく嬉しく思っています。この幸運な環境のなかで、時間はかかるけど、少しずついろんな領域にスキルを伸ばしていきたいなと思っています。
要件定義やプランニング、顧客満足度の分析などについて、大学の授業で基礎的な部分は学んだことがありましたが、実際にそれらの知識を使って一つのアウトプットを作り上げるということはあまりやったことがありませんでした。それに、デザインの領域に関しては一番経験不足を感じています。ダフトクラフトにいればこれら全てのスキルを使ったものづくりを実践できると思うので、そこに特にチャンスを感じています。

(花島)
プログラミングやアプリケーションを作るということはいつからやってますか?何歳から始めましたか?

(スチェータ)
大学生になってからです。高校生の時は何かを専門的に学んだりせず一般的な教育を受けていて、高校卒業後2年間学べるPUC(Pre University College)ではコマースを学んでいました。

(花島)
インドではその幼い時からプログラミングを学ぶって聞いてたんですけど、スチェータさんは違うんですか?

(スチェータ)
今の世代の子供たちは5歳から7歳くらいの子もプログラミングを勉強すると聞きました。でも私が5歳だった頃はそんな制度はなかったです。

(花島)
そうなんだ。日本でも、小学生に対するプログラミング教育が始まったのはこの2・3年です。インドもこの数年で始まったことなのかな?

(スチェータ)
多分子どもへのプログラミング教育があるかどうかは住む地域によって全く違います。少なくとも私の出身の村では、昔も今もプログラミング教育へのアクセスはありません。だけど、もっと都心寄りに住んでいる子どもたちだったら、20年前からでもプログラミング教育へのアクセスがあったのかも知れません。

(花島)
なるほど。全研さんから聞いていた話とか、今のTwitter社のCEOがインド出身の方であることとかから、てっきりインドではみんなプログラミング教育を受けて育つものなのだと思っていました。だけどそれは一面的な情報でしかなかったわけですね。実際に話を聞いてみて初めて知りました。


(花島)
今はエンジニアでなくてもノーコードでアプリやサービスを作れる時代になってきていて、エンジニアの価値がシフトし始めていると感じています。そうなるとやっぱり、今僕がエンジニアに対して大事に思ってるのは、「ユーザーのことをしっかり考えられるかどうか」という点です。テクニカルな仕事ができる人はいっぱいいるんですよ。だけど、クリエイティブに考えられる人ってすごく少ない。
スチェータさんには、製品を使うユーザーのことをしっかりイメージしてUXを作れるエンジニアになってほしいと思っています。

(スチェータ)
それでいうと、日本のセルフレジサービスは日本に来てからすごくクリエイティブに感じたもののひとつです。インドではあんなの見たことがありません。

(花島)
セルフレジね……。 日本のセルフレジは日本独特の安全性とお客さんへの信頼があるから成り立っているのかなと。他の国では商品が盗まれるリスクが高くて、セルフレジをつくろうみたいな発想にならない。だからむしろ他の国では「Amazon Go」のような全く新しい買い物体験が生まれるんだよね。まさかの「レジ」そのものが存在しないという。
セルフレジサービスは、日本のお客さんに頼っているという点で、僕はクリエイティブだとは感じないかな。逆に、人に頼らずテクノロジーだけで完結できるAmazon Go はクリエイティブだと感じます。

(スチェータ)
確かに、今の説明を聞いていて日本のセルフレジサービスはただのソリューションであり、Amazon Goのようなモデルの方がクリエイティブだと感じました。そして、花島さんにとって「クリエイティブである」というのはどういうことなのか、もっと聞いてみたいと思いました。私にとって「クリエイティブとは?」という問いへの答えは「セルフレジサービス」レベルのものでしかなく、花島さんの答えのレベルとの違いを感じたので。

(花島)
やっぱり使う人のことをしっかり考慮してしているものを見ると美しいなあと感じますね。
コーヒーカップの取っ手の大きさとか、些細なものにも「機能美」は宿るじゃないですか。機能性を持った美しさを感じられると、あぁクリエイティブだなーと思います。

(スチェータ)
例えばどういうものですか?何か画像を見せてもらうことはできますか。

(花島)
そうですね。例えば、これはメルセデスベンツのシートアジャスターのボタンなんですけど、これは僕の中で不動のGood UXであり、ビューティフルデザインです。というのも、このシートを倒したいという時にこのボタンを倒せばよさそうだっていうのが直感的にわかる。イメージとアクションがマッチしている状態に機能美を感じます。
この例をみて、スチェータさんが思い出したGood UXは何かありますか?

(スチェータ)
説明を聞いて、「機能美」のアイディアがわかりました。だけど何か思い出せるかと言われるとちょっとまだ思いつかないです。こういったデザインに気づけるようになるには、経験が必要だと思いました。

(花島)
そのためにはBad UXを見てみるのもいいですよね。よく議論に挙がるのがエレベーターのボタン。これは見た目としては綺麗だけど、ユーザーが求めている情報量を満たしているかと言われるとそうではない。記号ではなく「開」「閉」の漢字にしても、日本人でも間違えるくらいによく似ているもんだから結局わかりづらい。ボタンの色を分けてみたりしても、結局「開く」「閉まる」というアクションとその色の結びつきが弱いし、色のイメージは人によって違ったりする。とまぁ、色々課題があるんですよね。
こういう例をみて学んだことをシステム開発にどう活かせるかというと、インターフェースの設計中、見た目と機能がちゃんとマッチしているか?ユーザーが期待しているであろう動きがそのまま作れているか?という点を考えるときかなと思います。
今スチェータさんが作っているプロジェクトで言えば、「サウンドをミュートにしたい」と思っているユーザーが、どんな動きを期待していそうか?を考えること。具体的には、ミュートボタンが押されている状態はどう見えるべきか、どのくらいの時間表示されるべきか、アイコンだけでなくテキストでも表示するべきか、などですね。

(スチェータ)
そういえば、みずほ銀行の来店予約サイトの中で、エンジニアとして「これはもっとこうするべきでしょ」って思うところがたくさんありました。問題に感じるところをどんどん見つけていくことで、アプリの質を上げていくことができそうです。

(花島)
そうですね。他社が作ったシステムも、自分が作ったシステムも、クリティカルにチェックしていけるといいです。 「指示通りに動くものが完成しました」で終わりではなく、指示通りに動くし、なおかつユーザーにわかりやすいようにテキストメッセージも出るように作りました、とか言えるようになるといいね。さらに、「本当はもっとこうした方がいいんじゃないですか?」っていう質問や提案が僕に来るようになるとすごいいいエンジニアだと言えると思います。

(スチェータ)
今日の花島さんの話を聞いて、今から「機能美」というものを実現していくためにできることとして「もしこれを自分が使うとしたらどっちの方が便利かな?」という考え方を日常的にして、モノの見方のところを育てていくことができそうだと思いました。そこから段々と「他のユーザーだったらどう思うか?」を想像するところに意識を移していくやり方がいいんじゃないかと思います。

(花島)
今ならObject Detectionのプロジェクトを僕が一時的にストップさせた理由がわかりますか?

(スチェータ)
はい、今なら分かります。あの時は「オブジェクトの検知」がタスクであり、それ以上のことが求められているという認識をしていませんでした。

(花島)
そうですね。あの時依頼したタスクは部分的機能のR&Dでした。なので最終的には先輩エンジニアに引き継ぐものなのですが、スチェータさんが作ったオブジェクト検知の仕組みを他のメンバーがUnityで使えるようにするとき、どのような形で渡したら連携がしやすいか?最終的に自分が担当した部分がサービスに組み込まれたときに、どのように機能するものなのか?「全体を俯瞰する」という意識を持って取り組んでほしいと思っていました。

だけどやっぱりOJTとしてはあのプロジェクトは難しいなぁと思い、他の先輩のプロジェクトを手伝ってもらうように方向転換する判断になりました。今はチーム開発の勉強としてミニゲームを作るミッションに取り組んでもらっていると思いますが、その中でひとつひとつちゃんとものを作って行けば、オブジェクト検知のミッションに戻った時に色々役に立つと思います。


(花島)
最後の質問です。来年の春、入社して1年経つ頃には、ダフトクラフトのエンジニアとしてどんな活躍をしていたいですか? 

(スチェータ)
まず会社の成長を助けるような人になりたいです。また、完璧なメンバーとして認められたいです。これまで会社で取り組んできたプロジェクトやサービスを見る限り、どれもユニークで、インドでは見たことがないものばかりでした。こんなサービスを作るエンジニアならば、先輩たちはみんなクリエイティブなエンジニアであることに違いないと思います。
私も来年の春にはそんなエンジニアになっていたいと思います。

(花島)
はい、頑張りましょう。
来年の春にはきっと日本語ももっと喋れるようになっているといいですね。


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