人が幸せそうなこと以上の説得力はない(仮暮らし:愛媛県南予地方宇和島市)
今回は愛媛県南予地方へ。
私たちの希望をもとに愛媛県がツアーを組んでくれるという、なんとも贅沢な旅。
滞在中のスケジュールを立てるのは、この生活を始めてから初めてのこと。
いつもその土地で出会った人からのおすすめや、仕事の状況、家族の残HP(体力)などによって臨機応変に動けるようにしているので、予定が入っていることに期待や不安を抱えながら初日スタート。
愛媛県南予地方滞在初日は宇和島市
前日夜に千葉を出発し、途中で香川で朝ごはんにうどんを食べ、愛媛県宇和島市に到着。
車で約14時間。
宇和島市の道の駅で待ち合わせをしたのは宇和島市役所の岡田さん。
宇和島市伝統の牛鬼を見て、
宇和島市で採れる真珠を見て、
スーパーで食材を見て、
おすすめのお魚屋さんでお魚を見て、
闘牛場を見て、小学校や中学校を見学して、
子どもが遊べる場所を見て。
文字にすると予定がパツンパツンに入っているように思えるけれど、のんびりした気持ちで過ごせたのは、岡田さんの人柄はもちろん、宇和島市に流れるゆったりとした空気のせいだと思う。
予定が入っていることへの不安は宇和島市に着いてから1時間もしないうちに消えていた。
全体的にのんびりしていて、会った人、見かけた人はおじいちゃんもおばあちゃんも若い人も子どもも、みんなナチュラルで飾らず明るい。
私たち家族にも昔からの知り合いかのように話しかけてくれる。
ひとしきり宇和島市を見た後は、宿泊する民宿へ。
民宿のお父さんお母さんの明るさや気さくさは一瞬で子どもたちの心をつかみ、隙あらばお父さんお母さんのいるところに行こうとする我が子たち。
興奮する子どもたちをなんとか落ち着かせ、あっついお風呂に入った後は釣りたての魚をふんだんに使ったお料理をいただきながら、お父さんお母さんと話し込む。
いろいろ話した中でも、
「ここには何もないけど全部あるよ。海のものも山のものもあって、食べる物には困らないしね。人生の中で何が豊かで何を贅沢と自分の心が思うかよね。」
という言葉が残っている。
人が幸せそうなこと以上の説得力はない
人のよさとか、自然とか、宇和島のごはんのおいしさとかはもう言わずもがななのだけど、
一番印象的だったのはお父さんお母さんも市役所の岡田さんも、ここで暮らしていることに心底幸せを感じていそうなことだった。
何を見て何を食べてどんな言葉を聞くかは大事だけど、そこにいる人が幸せそうなこと以上の説得力はないと感じた。
不便と言ったら不便なこともきっとたくさんあるんだろう。でも、私たちももしここに住んだのならきっとここで幸せに暮らせるだろうと思った初日。
宇和島市2日目
「観光よりも、もしここに家族で住んだらどんな生活を送るのかをイメージしたい」と県と市役所の方に伝えたところ、普段使いできるたくさんの遊び場を紹介してくれることに。
木育に力を入れている、木のぬくもりを感じる児童館「こもりん」を見学。
ここは廃園になった旧保育所を活用している児童館。子どもたちも早速木のおもちゃに夢中になっていた。
他にも、大人も子どももすごく体力がつきそうなリーズナブルなボルダリング場や、コミュニティスペースでもあるおしゃれなコワーキングスペース、プール、近くの公園を巡る。
どんなお祭りがどんな時にあるのかなど、岡田さんが、自分の子どもの頃の思い出を交えながら宇和島のディープな楽しみ方を教えてくれる。
人の思い出を聞きながらめぐることで、私も夫も子どもたちも二日目にしてずっと一緒にここで過ごしてきたかのように錯覚してしまいそうなほど親近感がわいて、岡田さんとも宇和島市とも離れがたい。岡田さんとは、二日目の宿泊先を案内頂いたらいったんお別れ。
廃園を活用しているみまきガーデン
案内頂く場所全ての方が気さくに迎えてくれて、いつの間にか抱えきれないみかんを持たせてもらっている子どもたちと一緒に、二日目の宿泊先「みまきガーデン」へ。
みまきガーデンは、廃園になった旧保育所が生まれ変わったお泊り処。宇和島市の山の方にある。
初日は海、二日目は山と、贅沢な感じだ。
泊まるは「あおぐみ」
私たちが泊まる部屋は「あおぐみ」。
部屋からは園庭が見えて、荷物をおろした子どもたちが早速遊びはじめる。
保育園のかたちをそのまま残しているこの宿に大興奮の様子。
ひととおり遊んだら、車で5分くらいのところにある「秡川温泉」へ。
途中、綺麗な川を見つけ寄り道。足だけちゃぷちゃぷとつけて遊ぶ。
ちょうど良い川の水温の気持ちよさにゆっくり過ごしていたけど、夜ごはんが迫っていることに気づき慌てて秡川温泉へ再度向かう。
こじんまりしているその温泉はアトピーなどにすごく効く温泉らしい。
ここでも地元の方が話しかけてくれて、
100円均一の時計をお風呂に入れたら壊れた話とか、
最近いいシャンプーに変えた話とか、
トマトの実があまりにできすぎてちょっと辛いという話とか、
なんだかあまりにも日常で、とても心地が良かった。
温泉であたたまった後は、洗濯をして園庭に干させてもらうことに。
食事は「きいろぐみ」
その後、食堂がある「きいろぐみ」で夕飯を。
ごはんはみまきガーデンのお母さんたちの手作りの、山の幸メインの料理。
いつも小食な子どもたちもよく食べる。
宇和島市では、海の人と山の人の交流も多いとのこと。
海の人は海の幸をもちよって、
山の人は山の幸をもちよって交流するらしい。
前日に宿泊した海の民宿のお母さんの話をすると、お友達とのこと。楽しそうだ。
この暮らしを始めて、初めて朝夜と自炊をしなかった2日間もここまで。
翌日からは、また地域の食材で自炊予定。
少し寂しい。地元のスーパーで食材を購入して自炊することに少しこだわっていたけれど、こういうふうに、その土地の人の話や思い出を聞きながらご飯をいただくのもとてもよかった。
ここの人たちは、あなたたちをきっと大事にする
「この土地にもしも来てくれたときは、ここの人たちはあなたたちをきっと大事にするからね」
とお母さんたちは言う。
なんだか泣きそうになる言葉だった。
宇和島市は、2日では足りない。一カ月でも足りない。
寂しく思い、足りなく思うならまた来るだけだな、と思い、今を楽しみ切ることにする。
次の日からは西予市。楽しもう。
つづく
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