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【インタビュー】脳腫瘍の病経験を理学療法士として対象者とつながる自身の武器にしたいと考える田中祐介さん

 わたころメンバーの田島です。
 今回のエッセイでは、理学療法士の田中祐介さん@ yta7na6ka2をご紹介します。 インタビューは、2023年6月11日19時から1時間程伺いました。

 田中祐介さんは、2年前、理学療法士として勤務中にけいれん発作で意識を消失し、勤務先の病院に検査入院をしました。CT画像を見ながら医師から状況を説明され、脳腫瘍があることを初めて知りました。ただ、田中さんご自身、当時、その説明はすんなりと受け入れることができたそうです。 

 専門病院で精密検査を受けると、脳腫瘍は悪性度が低いことがわかり、手術はせず経過観察をすることになりました。しかし田中さんは、その結論に納得感を持つことができず、セカンドオピニオンを立て、脳腫瘍を取り除く手術を受けることに踏み切ります。それには、手術を受けなければ、いつけいれん発作が起こるかわからない状況が続くことの懸念とともに、入院・手術の経験をしてみたいという思いもありました。患者様の経験に近づきたいと思ったのだそうです。

 手術後は、理学療法、作業療法、言語聴覚療法の処方がなされ、歩行訓練や知能検査を受けたりしたそうです。入院中はほとんどすることがなく、リハビリテーションをとても楽しみなものに感じたそうです。手術から1年が経過し、ほとんど問題のない生活を送っていますが、開頭をした傷は、1年が経過をした現在でも痛みが残っているそうです。住んでいる地域柄、自動車は移動手段として必須であるものの、けいれん発作を起こしてから2年は運転が禁止となるため、自動車運転には制限のある状況です。

 脳腫瘍のリスクを完全に取り除いたわけではないので、先々について心配や不安は残ります。2年前よりも、今の方が病気を受け入れることに困難を感じています。脳腫瘍による身体や社会生活の変化を経験し、家族との時間を一層大切なものと感じるようになったと言います。リハビリテーションは、個人モデルの観点から、本人の機能回復に焦点をあてがちだけれども、もっと当事者の視点から、周囲や環境が変わることも必要ではないかと感じるようになり、社会モデルの観点にも足場を置いて、当事者経験を持つ自分にしかできない研究や活動を行っていきたいと未来への思いについて最後に語って下さいました。


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