想いを受け継ぐ
ちょうど2年前、東京都内で蕎麦屋を経営していた祖父母が店を畳みました。
祖父にとって、父親から受け継いだ大切な店。祖母にとっても、長野から嫁いで50年間、祖父と共に守ってきた思い入れの深い空間。
しかし売り上げは年々減り、独立した子ども二人のほかに後継ぎもなく、かつては賑わっていた周辺の商店街も次々に店仕舞い。
80歳を目前にした祖父母が「廃業」の選択をした気持ちも理解できる気がします。
ですが、私は孫として何もしてあげられなかったことが心残りでした。
自分にもっと知識や経験があれば、もう少し役に立てたかもしれない。せめて少しでも負担を軽くしてあげることができたかもしれない。
ですが、当時大学生であった私が祖父母にしてあげられることは、時々会って話を聞いてあげることくらいでした。
大切な誰かが、目の前で頭を抱えて悩んでいるときに、ただ見ていることしかできない。振り返れば、いつだってそんな経験ばかりでした。その無力さは、もううんざりです。
そんな想いは二度としたくない。
だから経営コンサルタントをこころざしました。自分を支えてくれる人の役に立つために。そして、世の中に自分と同じ口惜しさを抱えた人を増やさないためにも。
たくさんの大切なものを授けてくれた人への恩返しがしたい。
純粋な想いだけでは、コンサルタントは務まらない。それは重々承知の上です。それでも、感謝や恩返しの気持ちを忘れずに努力したい。
店を畳んだ後、祖母が語ってくれた言葉は、私の胸を打ちました。
「我が家は真面目だけが取り柄だから」
私の中で、淀んでいた何かが浄化された気がしました。就職した今でも、この言葉は私の心の指針です。
祖父母が50年間守ってきた想いを、別の形で受け継いでいきたい。
出会えて良かった。話を聞いてもらえて楽になった。そばにいてくれて心強い。
そんな風に感じてもらえるコンサルタントを目指します。